2024年11月28日木曜日

【宮古木曜会合唱団】難しい距離感

  11月28日(木)19:00からの宮古木曜会合唱団のレッスンのために,宮古市の山口公民館に向かいました。16:15頃に盛岡を出発したのですが,この季節はもうすっかり暗くなっていました。そして区界峠は1℃でみぞれ。先日見ることができた紅葉はもう全く見えませんでした。宮古市には1時間以上前に着いたので,早めに山口公民館に行きました。

 前回は11月10日(日)の強化練習でした。あれから2回間をあけて,今回の通常練習の参加はS3,A3,T0,B1。テノールは相変わらず0です!!大丈夫かな?

 人数が少なかったので少し丁寧に発声練習し,はじめに毎年参加させていただいている12/24に日本基督教団宮古教会で行われるクリスマス・イヴ礼拝の際に歌う3曲のうちの1曲である讃美歌第259番「いそぎ来たれ,主にある民」(当日演奏する他の2曲はJ. S. Bach作曲《Jesus bleibet meine Freude》とJ. ラター作曲《ともしびのキャロル》)を,声を楽器にしてハモらせてみました。続いて,当日会衆賛美で歌われる讃美歌の音取りをしました。讃美歌第62番《天にいますわたしたちの父》,第264番《きよしこの夜》,第258番《まきびとひつじを》,第263番《あら野のはてに》,第261番《もろびとこぞりて》,第26番《グロリア,グロリア,グロリア》です。いつも会衆賛美の最中に「合唱団がいるのに副旋律を歌ってハモることをしないのはなんだかへんだなぁ。」と思っていたからです。加えて,ヨーロッパの人たちは礼拝での讃美歌を通して和声や読譜や音楽そのものを学んでいると私は考えているからです。そこで,移動ド唱法で各讃美歌を歌って音取りとしました。これが意外に難しい!というか思った以上にできませんでした。音程の感覚を身につけ(読譜力を高め)るには,階名唱に馴染むしかありません。合唱団員のための練習曲集《Chorübungen》でもフランツ・ヴュルナーが音程を鍛える段になって「NO.18以降の音程練習はドイツ音名でも歌うと良い。歌い方練習ではイタリー音名が良い」としています。(あらためて《Chorübungen》などで音程練習をするのではなく)機会をとらえて音程感覚を育て,読譜力を上げたいと思っています。

 そうこうするうちに時間が過ぎ,あわてて定期演奏会の曲の練習に切り替えました。テノールがいないので《Glaspolskan》は今回もできないので,言葉に慣れるために練習回数が必要と考えて《O Musica》から始めました…。が結局,《O Musica》の途中で時間切れとなりました。毎回,初めて言葉をつけた時のように呂律が回らないのです。発音は筋肉運動ですから何度も繰り返して筋肉に覚え込ませるしかありませんそのためには意味や統語をよく理解しておかなくてはなりません。一方で,言葉を発音しようとすると共鳴腔が狭まり音質が低下します。これをフレーズ(2〜3小節)ごとに修正しながら繰り返しました。

 アドバイスすると修正できて,(二転三転するものの)いい感じになっていきます。でも①同様のことが他に活きない,②少し時間をおくと元に戻る,といった課題があります。程度の差こそあれ自分も含めアマチュアなら誰にでも起こりうることです。だからこそ練習を重ねるのですから。しかし同じことが何度も繰り返されるということは指導に問題があるわけですから自分で自分に「メタ指導」をしなればなりません。部分部分の導き方が誤っているのか,逆に細かく教えすぎることで歌い手自身の音楽活動になっていないのか…。「合唱団員との距離感って難しいなぁ…。」と思いながらR106を運転して帰りました。つぎは12月1日(日)の強化練習です。多くの方がご参加くださることを願っています。

2024年11月24日日曜日

【演奏会・聴いてきました】コール・ネネム演奏会 結成50周年記念

 

 11月24日(日)の午後,盛岡市民文化ホールの小ホールでコール・ネネムの演奏会を聴きました。少人数でルネサンスのア・カペラ合唱を続けているところで,今回は結成50周年記念とのことでした。私が大学生の頃も活動していて,とても上手なアンサンブルを聞かせてくれる団体でした。今回は15名ほどがステージに立っていました。

 プログラムは次のようでした。

第1ステージ:現代イギリスの作曲家によるクリスマス・キャロル集
 現代イギリスの作曲家(David Willcocks(1919-2015), John Tavener(1944-2013), John Rutter(1945-), Philip Stopford(1977-), Bob Chilcott(1955-))により編曲されたクリスマス・キャロル集 5曲
第2ステージ:50年の歴史を振り返って
 Josquin Des Prez(1450/1455?-1521) 《こおろぎはすばらしい歌い手》
 Heinrich Isaac(1450-1517) 《インスブルックよさようなら》
 Giovanni Pierluigi da Palestrina(1527?-1594) 《バビロンの河のほとりで》
 Orlando di Lasso(1532-1594) 《いとしのマドンナ》
 Tomas Luis de Victoria(1548-1611) 《おお 栄光に輝く王国》
 Orlando Gibbons(1583-1625) 《銀色の白鳥》
第3ステージ:《4声のミサ》 William Byrd(1540?-1623)作曲

 50年にもわたってルネサンス期のア・カペラ合唱を聴かせてくれるコール・ネネム。生ではなかなか聴くことのできない楽曲・響きを体験することができました。第1ステージは現代的な編曲だったためか指揮者(高校&大学合唱団の大先輩!)が指揮していましたが,他の楽曲はルネサンス期のオリジナルなスタイルである(指揮者を置かない)アンサンブルでした。これは,①どんな音楽を響かせたいかという楽曲の全体像や各部分の音楽の仕方のイメージの共有や,②他パートと共に自分の声(音楽)を聴き音楽を作っていく「聴覚フィードバック」の能力や,③それを実現する声楽的な能力,そして④(少人数なのでなおさら)2時間近くにわたって音楽に集中する持続力がないと達成できないことでしょう。すばらしいことと思いました。

 第2ステージのいくつかの楽曲はだいぶ前に宮古木曜会合唱団でも取り上げたことがありました。「なるほど,こうすると音楽が生きるのね」と,自分の様式感の未熟さを思い返し反省しながら聴きました…。学びの多い演奏会でした。

2024年11月23日土曜日

【合唱研第33回:活動報告】理解が深まるとよりよくなります

 

 11月23日(土・祝)の午後,奥州市の日本基督教団水沢教会で合唱音楽研究会奥州の第33回の活動に取り組みました。奥州市といえば大リーグの大谷翔平選手の実家のあるところ。活動に行く前に,テレビでニュースとして取り上げられていた市役所の大きな横断幕を見にいきました。やはり同じような方が数名いらっしゃって写真を撮っていました…。

 前回の第32回は参加者が少なめでテノールが0名でもあったのですが,今回はテノール2名,バス1名と4パート揃っての活動となりました。そして,前回の移動ド唱法の理解とトレーニングが生きていたのか,「前時想起」にほとんど時間がかかりませんでした。

 はじめ,パレストリーナのミサの"Gloria"に取り組む前に,「カデンツ」の練習をしてみました。出だしのトニックの和音がなかなか響き合わなかったからです。「カデンツ」の練習とはⅠ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰの和音を4パートで分担して出してハモらせる練習です。ほとんどの方が初めてのようでしたがすんなりと理解してくださり,(ここも移動ドで)全パートをさらってからハモらせてみて,さらにいくつかの調に変えて(移調して)何度か合わせてみました。そのうちに音程が清潔になり,きれいに響き合うようになりました。声を出しながら耳で聴けるようになってきたということでしょう。

 その後,《Gloria》を歌詞なしで合わせてみましたが,案外すんなりとハモって,かつほとんど止まらずに進みました。そこで歌詞の発音を練習し意味を確認しました。ラテン語は馴染みがありませんが,英語やイタリア語などに同じような意味の言葉があるのでそれを紹介することで歌いながら意味を想起しやすいように(つまり意味をも覚えやすいように)ヒントを出しながら進めてみました。

 歌詞をつけて歌うと途端にハーモニーが崩れてしまうと思ったので,例によって「入れ歯外し歌い」をお願いしました。すると,ハモリもなかなかいいし,曲の最後までピッチの下りもほとんどありませんでした!前回から(もっと前から)続く移動ド唱法や歌詞の発音や意味への理解が深まったことが,よい音楽に繋がっていると感じました。

 後半はラター。まず前時想起として《For the beauty of the earth》を復習しました。合唱になる部分を取り上げて音を確かめ,ほぼ全体を通して歌えるようになりました。最後に出てくる3/8拍子のところが難しいとの声がありました。課題が見えて提案できるのはとても良いことで嬉しいことです。そこで手拍子をしたりしながら八分音符の括り方を変える,ということを繰り返し体験してもらいました。

 最後に《Look at the world》に取り組みました。久しぶりのような気がします。しかしこれも移動ドによる階名唱を以前ちらっとやっておいたおかげと思いますが,歌詞なしですんなりと全曲を通すことができました。

 この日はいつもお世話になっているピアノ伴奏のYEさんがお休みだったので,3時間ずっとピアノ伴奏なしで合唱に取り組みました。ルネサンス期のアカペラ合唱,しかもラテン語で歌っているのにピッチの下りがなくハモれるようになったこと,久しぶりに触れる楽曲なのにすぐに思い出して合唱できるようになったことなど,これまでの活動の積み重ねが活きているように感じられ嬉しく思いました。

 なお,11月17日の菊池葉子さんのリサイタルのこと,12月8日の岩手県合唱祭12月14日の盛岡市民クリスマス12月15日の一関第九演奏会,そして来年4月29日(火・祝)の《ヨハネ受難曲第2稿》演奏会など,地域の音楽についての方法交換の場となっていることも嬉しく思います。また,この日は新しく1名(ソプラノ)の方が入会されました!中学以来の合唱活動とのことでした。そういう方々が歌うきっかけとしてくださっていることも嬉しいことです!そろそろ次の研究発表会の計画を具体化していきましょう!

2024年11月17日日曜日

【MBKV】「コラールは暗譜」が課題


 11月17日(日)の午後,盛岡市にある高校会館3階大ホールで,盛岡バッハ・カンタータ・フェライン(以下,MBKV)の強化練習を行いました。毎週火曜日の夜の練習に加えて,月に1回強化練習を設定しています。MBKVの練習はバッハフェスト・ライプツィヒ以降,《ヨハネ受難曲第2稿》に取り組んでいましたが,ここで話題にするのはなんと4月23日以来ですね。

 この日は先生は都合でお休み,コンサートマスターのOK先輩ほかパートリーダーの数人も他のお仕事でお休み。そこで,コンサートミストレスのOAさんと私と二人で全体練習のかたちで《ヨハネ受難曲第2稿》の練習に取り組みました。

 先週火曜日のOK先輩の全体練習では,演奏順に進んだ「27b."Lasset uns den nicht zerteilen"」までやったのですが,この日の強化練習ではまず初めに,先生から予告されていた「22.Choral "Durch den Gefängnis, Gottes Sohn,"」から始めて,その後のコラールを取り上げて練習しました。というのは「コラールは暗譜」というのがMBKVの「合言葉」(なのになかなかできていない)からです。

 《受難曲》にはコラールが何曲も出てきます。合唱団員は受難の記事に出てくるユダヤ人などの役をやりながら,会衆賛美としてのコラールも歌います。福音朗読者(エヴァンゲリスト)が語るストーリーの途中に突如として挟み込まれるコラールを,その立場を切り替えて表現しなくてはなりません。ですから,歌い始めてから「あのコラールだったのね」と気付くのでは遅く,前の記事の間に「次はあのコラールが来るぞ」と理解して歌い出さなければ表現できないのです。そういう意味でも「暗譜」が必要で,音と歌詞を覚えて歌うというレベルの「暗譜」では表現に至りません。間違えずに歌えた,という程度のことになってしまいます。ここが難しいところです。(音や発音も難しくはありますが,これまでの練習でだいぶ身に付いてはきたように思います。)

 コラールの位置付け=バッハがそこにコラールを挟み込んだ理由を解釈し理解するためには,聖書の記事との関連が自分なりに明確になっていないといけません。「意味的記憶」のためです。キーワードだけでもいいので記事とコラールをつなぐ内容をつかめるようにと,練習を進めてみました。もちろん繰り返すことで身体や口に言葉や音を馴染ませることもねらいつつです。

 「21g.Rec.」ではピラトがイエスを「解放」する「権限」があると主張します(イエスはそれを否定しますが)。そこで続く「22.Choral」は「あなたの捕らわれによって(Druch dein Gefängnis)…私たちに自由がおとずれた(Die Freiheit kommen)」と歌い出します。
 「25.Rec.」ではイエスの十字架状上の罪状名(INIR)が争われます。そこで「26.Choral」では「あなたの名前(dein Nam)」や「十字架(Kreiz)」がキーワードになります。
 「27c.Rec.」では十字架上のイエスが弟子やマリアらに気遣いを示します。そこで「28.Choral」では「彼はすべてのことに十分に心を配り(Er nahm alles wohl in acht)…」と歌い出します(そして「O Mensch, mache Richtigkeit,…」と呼び掛けます)。
 「36.Rec.」では,受難の記事全てを振り返るようにしながら,聖書の記事が「真実(Wahrheit)」であることや「実現する(erfullet würde)」こと,だから聖書を「信じる(glaubet)」ことを説きます。そこで「37.Choral」では,第2部冒頭と同じコラールを使って枠構造を作りながら,キリストに救いを求める(「O hilf, Christe,」)という聖書全体の思想を歌います。
 こんな確認をしながら繰り返し歌って,覚える練習に取り組みました。

 「コラールは暗譜!」本番のステージでは指揮者からどんなイメージが示されるかわかりません。それについていき,それを表現できる合唱団になるためにも,より深い理解を伴った「暗譜」が必要なのです。(加えて,「暗譜」すると耳がよく働くようになります。ハーモニーやアンサンブルの息遣いがよく揃ってくるのです。これも大事な「暗譜の効果」ですね。)本番は来年2026年の4月26日(土)は仙台の日立システムズホール仙台コンサートホールで,4月29日(火・祝)は盛岡市民文化ホール大ホールです。あと半年あまり,より良い演奏目指して練習に取り組むので,お時間のある方はぜひ予定を空けておいて聴きにいらしてください。お待ちしています。

2024年11月10日日曜日

【宮古木曜会合唱団】連続3回の成果は??

  11月10日(日)宮古サーモンマラソンの日の午後,(金曜日に連合音楽会を聞いた)宮古市民文化会館の隣にある磯鶏幼稚園のホールをお借りして,宮古木曜会合唱団の強化練習を行いました。3月の定期演奏会で一緒に歌ってくださる団友(?)の方1名(テノール)や,サーモンマラソンで10km走ったあとに練習に足を運んでくださった団員の方もいました。

 以前も書きましたがこの会場は響きが良いのでとても歌いやすいのです。そこで発声練習の後,Victoria作曲の《Taedet animam meam dominum》から始めました。ここ2回の練習で取り上げられなかったからでもあります。発声練習直後で喉に力が入らずに音が出ている状態だと,とてもよく響き合います。これはひと月ほど前にやった時と同じ感じです。でも階名で音を探りだしたり音が不安だったりすると喉に力が入って音色が固くなり溶け合いにくくなります(はみ出します)。その修正に取り組みつつ全体の音を確かめていきました。その後,歌詞の読みと意味を確かめました。ラテン語は慣れない言葉なので単語も覚え難いです。そこでいくつかの単語については身近な英語や聞いたことのありそうなイタリア語とかフランス語の語源になっている(と思われる)関連性もプチ情報としてお伝えしながら発音練習をしました。「意味的記憶」に少しでも役立てばと思うからです。

 そして歌詞唱です。みなさん真面目なのでどうしても「カタカナ的な明確な発音で」を「音符を正確に」歌おうとしてしまいます。その結果音楽が凸凹になるのです。そこでいつものように「入れ歯を外して歌いましょう」とやったら,音符やシラブルに囚われずだいぶ息の流れが生まれ,口腔内の形状が保たれることで響きが安定し良くなりました。この日は非常にゆっくりテンポでしたから,今後は歌い慣れて,意味も浮かぶようにして,早めのテンポに対応できるようにしていきましょう。

 続いて,久しぶりにモーツァルトの《雀のミサ》です。《Kyrie》《Gloria》と思った以上に歌えていて安心しました。が,《Credo》で口がついていかなくなったので,部分部分を取り上げてリズム読み及び意味の確かめをしながら練習し,一通り通せるようになりました。

 外国語ばかり歌っていたので,最後に日本語の曲《いのちの歌》と《岩手県民の歌》の初見大会をやりました。もちろんこの日の初めからそうだったように,ピアノ伴奏なしです!でも,なんと,2曲ともほぼ四部合唱になりました!そして言葉の生かし方もとても上手に処理していました(《いのちの歌》は皆さんが主旋律をよく知っている曲だったからでしょうか。でも《岩手県民の歌》もちょっとのアドバイスがすぐに生かされましたね)。「音楽性」という言葉がありますが,宮古木曜会合唱団の「音楽性」は少しずつ高まってきているのだなと感じました。初めて参加した12年前は,1曲の音取りのため(全体練習の場での)パートの練習を何度も繰り返していて楽曲の練習がなかなか進みませんでしたから。しつこく嫌がられながらも移動ド唱法に取り組ませてきて良かった,と思いました。

 3回の連続練習は効果的で,成果の積み重ねを感じることができました。でも私が担当する全曲の音を出せなかった(ミサ曲の《Sanctus》《Benedictus》《Agnus Dei》と《Glaspolskan》)のは残念。年内は11月28日(木),12月19日(木)の2回チャンスがあります(ただし12月24日(火)のイヴ礼拝に向けた練習にも取り組まなければなりませんね)。よりよい音楽で楽しめるように練習を重ねていきましょう!

【合唱研第32回:活動報告】移動ド唱法

  11月9日(土)の午後,水沢教会で合唱研の活動を行いました。第31回が胆江合唱祭でしたから,この回は第32回となります。

 本番後だからなのか,今回は参加人数が少々少なめでした。女声(S,A)は十数人ずついましたが,男声はバスの3名だけでテノールなし…。残念でしたが,1パート少ないということは①聞き取りやすい,②指導しやすい,というメリットがあることは宮古の某合唱団で学習済みでしたので,そこを生かして取り組みました。

 この日から新しい曲への取り組みを始めました。パレストリーナのミサ曲は《Gloria》,ラター のアンセムは《For the Beauty of the earth》です。

 すっきりとハーモニーさせることが課題の団体なので,ホモフォニックな歌い出しの《Gloria》は学びやすい楽曲です。久しぶりなので,まずはヘ長調の移動ド唱法で音を確かめました。移動ド唱法には抵抗感が強い方も多くいらっしゃいます。そこで移動ド唱法に取り組む理由をいくつかお話ししました。
①(最初期は)音高に「記名」することにより,音高を想起しやすくするため
②(少し慣れたら)音高に「記名」することにより,旋律を記憶しやすくするため
③他のパートとの関係を掴みやすく,聞き取りやすくするため(同度,8度,5度,3度,2度関係など)
④和音の「機能」を感じ取りやすくするため(TかDかSかなど)
⑤和音の中で自分の担当している音の役割を感じ取りやすくするため(基音,第5音,第3音,第7音など)
⑥作曲者の意図を読み取りやすくするため(作曲者は和音の「機能」を意識して作曲しているわけだから)

 もちろんルネサンス時代の音楽にそのまま当てはまるわけではありませんが,今回のミサ曲はほぼヘ長調的に書かれているので,これらを学ぶのに適していると考えたのです。そしてこれらを体験的に理解することで,今後出会うさまざまな楽曲(そのほとんどは「機能和声法」とか「ドミナント,トニックシステム」とか呼ばれるシステムで作曲されています)の理解に役立つと考えるからです。ダルクローズ,コダーイ,ゴードンらに共通する部分の一つです。

 ただ一方で声楽的な課題もあります。「頭の中ではその音が鳴っていて,その音高の声を出しているつもりなんだけど…下がる」状態です。これは音高認知の精度発声法の問題ですので,その都度修正して訓練していくしかないと思っています。歌唱も「筋肉運動」ですからトレーニングが必要です。

 というわけで《Gloria》を移動ド唱法で大体覚え(その後歌詞の読みを確かめるまではやりましたが,これで歌うと崩れるような気がしたのでやめて),ラター の《For the beauty》へと移りました。こちらも
①主旋律を移動ド唱法で確かめ(「転調しても同じ!」ってことがよくわかりましたね),
②副旋律を移動ド唱法で確かめ(主旋律との相対関係で音が浮かびやすかったでしょ),
③英語の歌詞をざっと読んで歌詞をつけて歌いました。
つまり一通り歌えるようにはなりました(楽曲の解釈や表現の吟味はこれからです)。1時間程度でここまでできるなんて素晴らしい!

 いろいろな課題が次々現れるものです。それをどうやって解決していくか,その過程に学びがあります。そうやって学んだことを活かす機会がいつかやってきます。たくさんチャレンジして学びを広げ・深めていきましょう。

【宮古市連合音楽会】小学生の可能性は無限大!

  11月8日(金)に宮古市民文化会館で宮古市連合音楽会の小学校の部を,じっくり集中して聴いてきました。というのは講師を頼まれたからです。講師として主にやることは①各校へのアドバイスを書く、②閉会行事で会場の全員に「講評」を話す、といったことです。そのためには伝える内容や表現を考えながら集中して聴かなければなりません。

 午前中に8校、午後は7校の計15校が出場しました。山田町からも来ていました。田野畑村からは(前日実施の中学校の部には来ていたようですが)参加はありませんでした。もちろん10月に出前講座③でおじゃました学校も出場していました。

 多くの学校が3・4年生で合唱2曲という構成で,合奏を取り入れているところは少なく数曲だけでした。いずれの学校の子どもたちも一生懸命に歌っています。この日までたくさん学習に取り組んできたのでしょうね。「連合音楽会のステージに立つ」という経験は子どもたちの生涯においてとても意義のある経験だと感じます。

 演奏について。合唱はほとんどの演奏で同じ傾向でした。それは「最高音で声が変わって響きが伸び,低い方では会話発声になっていてハモらない」という傾向です。そこで「上の響きが良いので,それを下の音域でも使えるようになると2部合唱が溶け合いますよ。」とアドバイスしました。「ハモるためには音程の正確さだけではうまくいきません。溶け合う音質(声質)も関係しています」と。


 合奏では多くのパートがある中,自分のパートをしっかりと覚えて演奏していました。こちらも「自分のパートはしっかり覚えて間違えずに音を出していて,それを合わせている。」という傾向です。そこで「①自分のパートの音高とリズムだけでなく『音質』も吟味してみましょう。」とアドバイスしました。また「他のパートが何をやっているか聴いて感じてみましょう。」と。一つの音楽世界をステージに(会場に)つくるわけですから,自分の音は全体の中のどこにどんなふうにはまるとよりよくなるのか,と考えることができるようになると合奏(音楽)をより楽しめます…そしてそれは学級での暮らしや身の回りの人との人間関係にも言えることなのです!

 久しぶりに大勢の小学生の前に立ち,また大勢の小学生の活動・頑張っている様子を目にして,「小学生の可能性は無限大だ!」とあらためて感じました。日々接していると見えなくなることが多いのですが。今後の小学校生活はもちろん,これからの長い人生で音楽に親しんでいってほしい,そのための環境を作ることが年寄りの仕事だ,と思いました。先生方の日々のご努力に敬意を評します!

2024年11月9日土曜日

【宮古木曜会合唱団】連続はいい…か?

  11月7日(木),先週の木曜日の通常練習に引き続き宮古木曜会合唱団の練習をしました。この日は翌日に宮古市連合音楽会を控えていたので先にホテル熊安のチェックインを済ませてから山口公民館に向かいました。

 例によって、発声練習ででた柔らかい音で「Deep river」に取組み、ハモリと息の運びを整えることから始めました。続いて「O Musica」。これも前回の続きなので簡単に復習してVictoriaに行こうと思ったのですが…。ドイツ語が全く初めての感じになっていて…。当たり前のことですが発音も発声も運動(筋肉運動)ですから、随意に動かせるようになるためには「熟達」のための時間が必要なのですね。単語の発音や意味からリズム読み、2パートの合わせなどなど、すっかり時間をとられてしまいました。まぁ、本当に初めての時よりは短時間でできたから成長していると言えば成長しているのだけれど。結局、前回音を出せなかったVictoriaにも届きませんでしたし、だいぶ準備した「Glaspolska」もテノールが不在でできませんでした。もちろんモーツアルトなんて全く手付かずです。日曜日の強化練習が勝負です!今度こそ、中2日という連続の効果に期待します!

 この日は翌日の宮古市連合音楽会のために久しぶりに宮古泊(ホテルセントラル熊安)だったので、前の職場の同僚と駅前で飲み話しました。

2024年11月6日水曜日

【演奏会・聴いてきました】盛岡誠桜高校音楽部 第12回定期演奏会

 11月6日(水)の夜,先日オルガン・リサイタルを聴いた盛岡市民文化ホール小ホールで,盛岡誠桜高校音楽部第12回定期演奏会を聞きました。というのも,今年の夏コンクール前に1度レッスンした子どもたち(と先生)だったからです(暑い日だったなぁ…)。

 お客さんは9割以上の入りでした…というのもどうやら誠桜高校の生徒で音楽の授業を選択している生徒は聴きにくることになっていたようでした。ただ…聴くマナーが良くない。開演前ではあるものの客席でスマホで通話しているとか,演奏中に客席でスマホを使っているので暗闇から光が見えるとか,演奏に関係なく話しているとか…。運動部の生徒のようでしたが,演奏会にあまり足を運ばないであろう子どもたちもマナーを学べる機会,公共の場での振る舞い方を学べる機会がもっと必要なのだと感じました。

 ステージは3部構成で,第1部はコンクールで演奏した曲,第2部はポップスから「カワイイ」をテーマに選んだ曲,第3部は源田俊一郎作曲の《女声合唱のための童謡メドレー「いつの日か」》でした。

 校歌を無伴奏で歌い出すところから始まった第1部では,息がよく流れ,声の柔らかい響きが全体として同じ傾向にある,澄んだハモリが聴かれました。やはりコンクールに向けて練った演奏だけあります(Nコン県大会金賞で東北大会を経験している演奏ですから)。また楽曲によって演奏効果を考えて立ち位置を自在に変えているのはさすがだなと思いました。

 第2部はカワイイ振りや動きがあり,会場を巻き込んでの簡単な振りがあったり,それらを上手に楽しく説明したりする工夫もあり,楽しいステージでした。動きがあるせいかポップスで1シラブルの音価が短いせいか声が十分に鳴らず,ピアノの音に消されて何を歌っているのか分からなくなるところが少々残念でした。

 第3部は吹奏楽部の先生という男性の先生が音楽的に丁寧な指揮をしていました。このステージも動きがあり,視覚的にも楽しめるステージでした。難しい編曲ながらしっかりと音を出していて感心しました。ただ,大きな音を求められる箇所に来たり,演奏の後半になったきたりすると,喉が締まって硬い音になってしまうのが残念でした。

 アンコールは《群青》でした。能登半島で被災した方々に想いを馳せながら歌うとのことでした。客席の騒がしかった男子学生のうち何人かが小声で一緒に歌っていました。中学校で歌う経験をしてくるのかもしれません。2013年《群青》が京都府で初めて歌われ,その夜に信長氏が合唱編曲を引き受けた場に居合わせ,その後宮古木曜会合唱団歌い継いできた身としては,言葉にし難い感慨がありました。

 盛岡市民文化ホールの小ホールはとても響きが良い場所です。かつて岩泉町立釜津田小学校に勤めていた頃,盛岡見学の際にこのホールを見学し,ご好意で1曲だけ歌う機会をいただけたのですが,その経験ひとつでその後の歌声や合唱ががらりと変わったということがありました。盛岡某高音楽部の子どもたちにもこういう響きの会場で歌う経験をさせたいと改めて思いました。また高校生の演奏会のノリやメリハリが少し分かり,楽しいステージづくりへのヒントがもらえたように思いました。3年生不在の部活動とのことで,これもまた驚きでした。2年生4名,1年生5名のチームワークの良さがステージを通して伝わってきました。たくさん学べるとても良い時間でした。KT先生,良い仕事してますね!

2024年11月4日月曜日

【演奏会・聴いてきました】椎名雄一郎 パイプオルガン・リサイタル

 


 11月1日(金)の午後,盛岡市民文化会館小ホールに椎名雄一郎さんのパイプオルガンリサイタルを聴きに行ってきました。椎名さんとは1999年,盛岡バッハ・カンタータ・フェラインがドイツのボン市にあるベートーヴェンホールでバッハの《ロ短調ミサ曲》を演奏(指揮:H. ヴィンシャーマン,オケ:ドイツ・バッハ・ゾリステン)するツアーの最中に,当時東京藝術大学で学んでいた会員のお知り合いということでお会いして一緒にお食事したことがありました。その後も何度か盛岡にパイプオルガンのリサイタルにいらしていて,その度に聴きにいっていました。

 この日のリサイタルは「バッハ への道」がテーマ。前半がD. ブクステフーデの作品,後半がJ. S. バッハの作品という2部構成で,各曲の特徴をブクステフーデとバッハとを関連づけて端的に解説しながらの演奏会でした。2人の作品を対比して聴き味わうことができる楽しいプログラムでした。ご本人は「こんな地味なプログラムなのにこんなにも集まってくださって…」とおっしゃっていましたが。盛岡にはバロック音楽好き,オルガン音楽好きがたくさんいらっしゃるのでしょう。そしてそれはパイプオルガンを盛岡市が購入して設置し活用しているからなのだと思います。素晴らしいことです!

 ちなみに今回のプログラムは下の通りでした。
D. ブクステフーデ
 前奏曲 ニ長調 BuxWV 139
 パッサカリア ニ短調 BuxWV 161
 《今ぞ我ら精霊に願いたてまつる》 BuxWV 208
 コラール幻想曲《われ汝に呼ばわる,主イエス・キリストよ》 BuxWV 196
 カンツォーナ ハ長調 BuxWV 166
 《今ぞわが魂よ主をたたえよ》 BuxWV 212
 第1旋法によるマニフィカト BuxWV 203
J. S. バッハ
 前奏曲とフーガ ニ長調 BWV 532a
 《最愛のイエスよ,われらここに集まりて》 BWV754
 小フーガ ト長調 BWV 578
 コラール幻想曲《主なる神,われらがもとにあらずば》 BWV 1128
 パッサカリア ハ短調 BVW 582


 そして今回私はなんとバルコニー席の右前方「R2」の席で聞いてみました。これまでパイプの近くで聴いたことがなかったからです。目の前のパイプから音が直接届いていくるような感じで,身体で音を感じることができました!パッサカリア(BWV 582)のオスティナートのフレーズの最後の音の最低音が鳴った時は,パイプの発する空気振動に体が包まれる感じでした。

 人々の生活に何が必要で,何が大切か…難しい選択とは思いますが,盛岡市の大英断に感謝です!文化ってこうやって人の心を豊かにしていくのですね。

2024年11月1日金曜日

【宮古木曜会合唱団】ここから3回連続でがんばるぞ

  10月31日(木)の夜,宮古市の山口公民館に宮古木曜会合唱団の通常練習のために行ってきました。3月23日(日)にイーストピアみやこで開催予定の第42回定期演奏会(前回の会場と異なりますのでご注意!)に向けた練習です。私は第1部「世界のア・カペラ・ソングス」と第3部「W. A. モーツアルト《雀のミサ》KV220」を指揮する予定で練習に取り組んでいます。

 この日は主に第1部の練習でした。演奏予定曲は以下です。年代順に演奏してみることにしました。
①Teadet Animam Meam(1605・スペイン) 作曲/Tomas Luis de Victoria 
②O Musica(1613・ドイツ) 作曲/Paul Peuerl
③Deep River(Spiritual:18世紀後半~19世紀・アメリカ) 編曲/Brian Trant
④「二つの碑銘」より 七里浜(1952・日本) 作詞/西田幾太郎 作曲/團伊玖磨
⑤Glaspolskan(2014・スウェーデン) 作曲/Ale Möller

 今月は6日(日)の強化練習に来たっきりでした。例によってはじめに③《Deep River》。難しい音程ではない部分もなかなかハモリません。多くは音質&耳の問題なので,その箇所を指摘し改善策にチャレンジし評価し…と繰り返しながらその頻度が下がっていくようにしました。続いての③《七里浜》も同様でした。⑤《Glaspolskan》は前回の木曜日の練習時に歌詞をつけたというので,この難しい歌詞をどんなふうにうたうのか楽しみでした。聞かせてもらったら,忙しい符割なのに口がよく動いていました。ただし予想通り「音符歌い傾向」でしたので,レガートな音の運びを練習しました。最後にやった②《O Musica》は…まるで初見大会でした。

 来週の11/7(木)の2時間の通常練習,11/10(日)の4時間の通常練習と,続けて6時間いただいています。これら第1部の5曲および第3部のモーツァルトのミサ内の6曲を歌い慣れるようポイントを見極めながら取り組んでいきたいと思います。

 なお,この日は新しい団員が入っていました。市内小学校の講師を務める女性(ソプラノ)でした。10/20の市民文化祭での宮古木曜会合唱団の演奏を聞き(特に《時代》だったそうです)感動し入団を決めたそうです。嬉しいですね。またアンコール予定の《いのちの歌》の楽譜も配られました。かつて千徳小学校で同声2部(弦楽伴奏版),アンサンブル・コンフオーコで女声3部版(ピアノ伴奏)とステージにかけたことがあります。歌っていても聴いていても「いいなぁ」と思う曲です。今回(混声4部版)も聴き手のみなさんにそう感じていただけるような演奏をめざします。来年3月23日(日)イーストピアみやこにぜひ聴きにいらしてください。皆でお待ちしています!

【盛岡某高音楽部】歌いぞめ!

 1月6日(月)盛岡某高音楽部の今年最初の部活動に行って来ました。冬休み中なので午前中です。 まだ部活動を開始しているところは少ないようで,外にも体育館にも運動している高校生の姿はほとんど見えませんでした。音楽室に行くと,昨年暮れにインフルエンザの流行により残念ながら中止となった...