2024年11月10日日曜日

【合唱研第32回:活動報告】移動ド唱法

  11月9日(土)の午後,水沢教会で合唱研の活動を行いました。第31回が胆江合唱祭でしたから,この回は第32回となります。

 本番後だからなのか,今回は参加人数が少々少なめでした。女声(S,A)は十数人ずついましたが,男声はバスの3名だけでテノールなし…。残念でしたが,1パート少ないということは①聞き取りやすい,②指導しやすい,というメリットがあることは宮古の某合唱団で学習済みでしたので,そこを生かして取り組みました。

 この日から新しい曲への取り組みを始めました。パレストリーナのミサ曲は《Gloria》,ラター のアンセムは《For the Beauty of the earth》です。

 すっきりとハーモニーさせることが課題の団体なので,ホモフォニックな歌い出しの《Gloria》は学びやすい楽曲です。久しぶりなので,まずはヘ長調の移動ド唱法で音を確かめました。移動ド唱法には抵抗感が強い方も多くいらっしゃいます。そこで移動ド唱法に取り組む理由をいくつかお話ししました。
①(最初期は)音高に「記名」することにより,音高を想起しやすくするため
②(少し慣れたら)音高に「記名」することにより,旋律を記憶しやすくするため
③他のパートとの関係を掴みやすく,聞き取りやすくするため(同度,8度,5度,3度,2度関係など)
④和音の「機能」を感じ取りやすくするため(TかDかSかなど)
⑤和音の中で自分の担当している音の役割を感じ取りやすくするため(基音,第5音,第3音,第7音など)
⑥作曲者の意図を読み取りやすくするため(作曲者は和音の「機能」を意識して作曲しているわけだから)

 もちろんルネサンス時代の音楽にそのまま当てはまるわけではありませんが,今回のミサ曲はほぼヘ長調的に書かれているので,これらを学ぶのに適していると考えたのです。そしてこれらを体験的に理解することで,今後出会うさまざまな楽曲(そのほとんどは「機能和声法」とか「ドミナント,トニックシステム」とか呼ばれるシステムで作曲されています)の理解に役立つと考えるからです。ダルクローズ,コダーイ,ゴードンらに共通する部分の一つです。

 ただ一方で声楽的な課題もあります。「頭の中ではその音が鳴っていて,その音高の声を出しているつもりなんだけど…下がる」状態です。これは音高認知の精度発声法の問題ですので,その都度修正して訓練していくしかないと思っています。歌唱も「筋肉運動」ですからトレーニングが必要です。

 というわけで《Gloria》を移動ド唱法で大体覚え(その後歌詞の読みを確かめるまではやりましたが,これで歌うと崩れるような気がしたのでやめて),ラター の《For the beauty》へと移りました。こちらも
①主旋律を移動ド唱法で確かめ(「転調しても同じ!」ってことがよくわかりましたね),
②副旋律を移動ド唱法で確かめ(主旋律との相対関係で音が浮かびやすかったでしょ),
③英語の歌詞をざっと読んで歌詞をつけて歌いました。
つまり一通り歌えるようにはなりました(楽曲の解釈や表現の吟味はこれからです)。1時間程度でここまでできるなんて素晴らしい!

 いろいろな課題が次々現れるものです。それをどうやって解決していくか,その過程に学びがあります。そうやって学んだことを活かす機会がいつかやってきます。たくさんチャレンジして学びを広げ・深めていきましょう。

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