2024年3月31日日曜日

【モツレク合同練習⑦:活動報告】大きな課題が残りました

  3月31日(日)13:30から青山地区活動センターで,今度の週末に本番を迎える「モツレク」演奏会の最後の練習をしてきました。この日は,先日急逝された北声会の元委員長であり岩大合唱団の大先輩でもある中野攻さんの火葬の日でもありました。たくさん声をかけていただき支えてくださいました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 前半は山田先生のレッスンでした。主にポリフォニックな部分について,リズム読みを繰り返しながら聞かせるべきテーマとそうでない部分を意識させ,整理してから音をつけて歌うといった練習に取り組みました。また,最終練習なので全曲の音を出しました。

 中に入って歌っていて気になったのは,(指揮を見ていないと思われる方の声と)喉声です。どのパートも音を出すことに懸命で,「出てくる音」で音楽しようという基本的なことを忘れてしまっているようでした。それはピッチの悪さと音質の悪さに現れます。前回改善したつもりでしたが…(「習熟」するって難しいですね)。

 音質の悪さは分かりやすいと思います。力んでいるので音が「硬く」なりパート内の声が溶け合いません。
 自分のピッチの悪さは気づきにくいものです。というのも自覚症状がないからです。自分では正しいと思ってやっていてもそうでない事態(特にソプラノがそうでした)の場合が最も解決が難しいと思います。原因は(おそらく)発声の仕方,筋肉運動の仕方にあります。「喉頭だけ」で音高を調節しよう,ピッチを保とうとするので,息の流れが悪くなり押さえつけられたような,響の少ない音質になってしまっていたのだと思います。音が出るのは喉頭なのでピッチが悪い時はそこに意識がいってしまいます。喉でなんとか解決しようとする。そのために喉頭部分を力ませてしまい,逆に豊かな響きが失われてしまうのだと考えます。解決のポイントは「腹を働かせる」「楽器(喉頭部分)の形を変えない(よく開けておく)」こと。そして「無理をしない」こと。発声練習でやったように,身体を楽器だと思って物理的に音を出す。簡単に言うと「力まない」ことです。

 最後の30分間をいただき,私の担当部分(「モツレク」の前半)の練習に取り組みました。全曲の音を出しておくという最優先課題のために,残念ながらピッチや発声のための身体の使い方に取り組む時間をとれませんでした。でも,ソプラノに「歌わなくていいよ。鼻歌でいい。」と伝えたら,ピッチの悪さはだいぶ改善しました。力んで声を出していなかったからだと思います。そしてその分,他パートで起こっている同様の事態(身体を使わないで喉で歌っていること)が露わになりました!


 あとは前日リハと当日GP。喉に負担をかけずに発声の仕方を改善する作戦を考えなければなりません。せっかく100名近くで合唱できる機会,盛岡,奥州,その他から集まった皆さんでで一つの表現に向かえる機会ですから,よい音楽を共有できるように頑張ります!(そして中野さんに届くように心を込めて演奏します。)4月6日(土)15:00,盛岡市民文化ホールに聴きにいらしてください。お待ちしています。

2024年3月30日土曜日

【「Zホール合唱団」??:始動!!】合唱したい人って多いんですね1

  3月30日(土)13:30〜16:30奥州市文化会館Zホールの展示室で,「「福井敬ふるさとコンサートvol.3」合唱団」の第1回の練習を行いました。本年8月11日に奥州市文化会館Zホール大ホールで同コンサートが企画されており,そのコンサートの中で5曲をテノール歌手福井敬さんと一緒に歌う合唱団です。短い名前がないので,正式ではありませんが「Zホール合唱団」と勝手に呼ぶことにします(奥州市文化振興財団の理事長からも「Zホールの専属の合唱指導者」とよんでいただけましたから…)。

 昨年(2023年)の1月に奥州市文化振興財団に呼ばれ,今後のZホールの催し物のあり方について意見を求められた際「5年に1度本格的なオペラ公演に市民が参加できる機会を,その時だけの「お祭」で終わらせるのでなく,市民の生活の充実・これからの生活の質の向上・今後の世代への文化的引き継ぎと発展…につながる取組にすべき。そのためには継続的に市民が参加する文化活動を企画していくことが鍵になる。「学ぶことが奥州市の伝統であり未来である。」のだから。」と人々のウェルビーイングにつながるようにと提案してきたのでしたが,それが形となった今回の一般公募合唱団の活動なのです。ちなみにこれの前は昨年(2023年)の8月27日からから始まり5回ほどの練習の後,10月14日本番を迎えた「宝くじ まちの音楽会 岩崎宏美・良美ふれあいコンサート」でした。ちなみにこの時は97名が集まりました。


 今回の申し込みは,数日前に「65名くらい」と聞いていたのですが,練習開始前に事務局に聞いたところ90名を超えている」とのことで驚きました。が,さらに当日申し込みがあり100名を超え,しかも先日発表会を終えた「Zホール児童合唱団」も参加したいとのことでしたので,最終的には120を超えるのではないかと思っています(申し込み締め切りが4月13日なのでまだ確定していません)。前回の取組である「岩崎姉妹コンサート」からの「継続」参加は60名ほどです。これは「継続的に市民が参加する文化活動」を目指した私としてはとても嬉しい事態です!「岩崎姉妹」のときはマスメディア経由のポップス文化の路線上で人が集まったのでしょうけれど,今回の「福井敬」はそれとは少々異なる路線に人々が乗ってきたのではないかと感じるのです(もちろん福井さんはテレビにも出演してはいますがクラシック音楽の番組です)。ご参加の方々が期待しているのは「福井敬さんと同じ舞台に立つこと」,「ステージで表現すること」,「合唱すること」,「いろいろな人と関わること」…など様々考えられますが,いずれ単に「有名人が来るから」といった期待とはだいぶ違った質の期待ではないかと考えます。文化の「質」という言い方が適切かどうかわかりませんが,総合舞台芸術であるオペラにつながっていく路線に一歩近づいたと思っています。

 さて,この日の練習を紹介します(というのも盛岡市民文化会館での「第13回JCAユースクワイアを聴きに行った合唱人も何人かいたようでしたから)。

 合唱団結成セレモニーのあと,配布された5曲の楽譜のページに沿って各曲の概要を捉えるとともに今後の見通しを持ってもらうことをねらいに取り組みました。
①「精神歌」…宮澤賢治の詩を読み,福井さんの歌っているCDを聴いて2部合唱になっていることを確かめた上で,主旋律を歌って覚えました。
②「風の又三郎」…楽譜を見ながら福井さんの歌っているCDを聴き,合唱が担当する部分を確かめた上で,歌いました。覚えました!(暗譜できたかも?)
③「夏の思い出」…いくつかの版があることを説明した上で混声四部の楽譜を見ながら,まずは知っている主旋律を歌いながらどこに副旋律が重なるのかを「視覚的に」捉えてもらいました。
④「Nessun dorma」…楽譜を見て合唱の役割(4小節程度,女声のみ,オクターヴのユニゾン)を確かめ,(歌っているのは福井さんではないけれど)オーケストラ伴奏のCDを聴きました。
⑤「乾杯の歌」…まずは楽譜の見方を確かめました。なにせソロや重唱や合唱(それも数名のソリストも加わる)と歌い手が目まぐるしく変わるので,楽譜の「段」がページによって様々です。すると楽譜に慣れていない方は,「楽譜上でどのような順に音楽が進んでいくのか」を見失いがちだと思ったのです。案の定これが大変でした。今時の小学校の教室のように「大型提示装置」と「書画カメラ」があれば楽譜の紙面を視覚的に共有して説明できるのでとても楽なのですが,口頭と手元の紙で70名に説明するのはとても難しいものです。その後,CDを聴きながらまずは楽譜を追う練習をしました。その後,3回出てくる合唱部分の特徴(1回目は2部合唱,2回目はユニゾン,3回目は同音(同パターン)の繰り返し)を確かめてからまた聴きました。

 一通り5曲全体の概要を掴み見通しをもったところで後半に入りました。

⑤「乾杯の歌」のユニゾン部分…旋律に聞き覚えがあるようでしたので,歌詞を読んで歌ってみました。部分を取り上げてゆっくりと何度も繰り返し「口慣れ」を目指しました。
①「精神歌」の副旋律…全員で下のパートを歌えるよう練習しました。これは音楽をより深く理解し感じるために必要なことです。やりながら,本番に「福さんが主旋律,合唱は皆副旋律」というパターンもあり得るかと思いました。
③「夏の思い出」の主旋律を歌詞なしで歌う…音楽を素敵にするにはどこがポイントか,を歌詞なしで歌いながら(=自分を楽器にしながら)考えてみました。

 1回目としてはこのくらい取り組めたのは上出来と思いました。この結果残った課題は次のようなことです。

①「精神歌」…歌詞を覚え。パートに分かれて合唱する。表現を工夫する。
②「風の又三郎」…表現を工夫する??
③「夏の思い出」…各パートの音をとって覚える。合唱する。表現を工夫する。
④「Nessun dorma」…歌詞を知り覚える。入るタイミングを覚える。
⑤「乾杯の歌」…合唱の他の部分の歌詞を知り,2部合唱や同音(同パターン)反復部分の角パートの音をとって覚える。合唱する。

 残り14回もあるので,「この5曲が歌えるようになる」というコンテンツ・ベイスに目標を設定して取り組むのではなく,「合唱・音楽ってどうすれば素敵になるか」とか「オペラの世界の楽しさ」とか「声楽的な発声の仕方」とか「イタリア語の読み方・話し方」…などといったように今後の音楽活動に活かせる力を引き出すようコンピテンシー・ベイスで学べるような取組にしていきたいと考えています。

 この日はなんと,奥州大使でもあり奥州市文化振興財団の理事でもある及川貢先生が急遽,練習を見にいらっしゃり,励ましてくださいました。とても嬉しく心強く思いました!

 次回は4月7日(日)13:30〜16:30(って「モツレク」本番の翌日じゃん!),Zホールの中ホールです。まだ申し込み受付中のようですので,興味のある方はぜひいらしてください。お待ちしております。

2024年3月23日土曜日

【モツレク合同練習⑥:活動報告】ピッチについて


  3月23日(土)の午後,青山地区活動センターにて,モツレクの合同練習⑦を行いました。前回は山田先生と時間を分け合っての練習でしたが,今回は私の都合で設定した日でしたので山田先生はいらっしゃらず,3時間フルに使って練習に取り組みました。

 といっても,事前に山田先生から「後半も音を出してください。ピッチが悪いのがなんとかなるといい…」と電話をいただいていたので,まずはホモフォニックな「Domine Jesu」からはじめて,後半の全部の曲をおさらいしたら,あっという間に約2時間経っていました。

 練習に当たってあらためて,ピッチつまり音程が悪くなる原因と改善方法を考えてみました。
◯【聴覚・外部音源の音高を聴き分けられていない可能性がある】場合…
・音高差を聞き分けれられるかどうか確認(評価)する
・聴き分けられる(認知できる)ならよし
・聴き分けられないなら…指摘し教え慣れさせて(音高感を育てて)いく
⭐︎ただしその精度を上げる必要はある
◯【自分が出している音高が低いことの自覚がない(モニターできない)】場合…
・外部音源と比較して聴かせる
・同グループ他者を聴かせる(2つに分けるとか)
・「他者の評価こそ正しい」ことの受け入れ
◯筋肉運動、器官操作【わかっているが直せない】場合…
 →発声法の改善(違う方略を案内する)
・身体の楽器化(物理的に音を出す)の上で、音高調節能力を確かめる。
・(その上で)障害は母音か、子音か、息の流し方か…

 様々なレベルでのつまずきの可能性を考え(「教材研究」ですね)ながら練習に向かったのでした。で,練習のはじめに「先生からピッチの改善に取り組むようご指示がありました」と本日の重点を伝えて(「課題把握」です)練習を始めたためか,音程の悪さはそれほど感じませんでした…実は,私の耳の精度が山田先生に追いついていない可能性が高いのですが(これは「評価」)。

 ソプラノが高音域に入るいくつかの箇所でピッチの悪さが感じられましたが,原因はほとんどが声楽的な疲れ(上記で言うと3点目)でしたが,意識づけることですぐに改善しました。地力がついてきたというか実力が高まってきたということでしょう。こう言う変化(成長)が嬉しいです!音楽がより良くなることはもちろんですが,相手がより良く変わる(「向上的変容」の)手助けができた時に喜び・楽しさを感じるというのは,37年間勤めた職業柄なのでしょう。

 あと1回,3月31日(日)に練習したら,翌週末の4月5日(金)夜にリハーサル,6日(土)に本番です。今回出会った100名ほどの貴重な仲間と,この4ヶ月間の貴重な学びの成果を発揮して,モーツァルトの『レクイエム 』の世界を表現するようがんばりたいと思います。皆様,ぜひ足をお運びください。お待ちしています。

 なお,合唱音楽研究会奥州としての発表会も奥州市で予定でしています。こちらも気軽に聴きにきていただけると嬉しいです!!

2024年3月20日水曜日

【合唱研:お知らせ】研究発表会やります!第1回です!


  昨年(2023年)の1月から活動を始めた合唱音楽研究会奥州は,一つの区切りとして発表会をすることにしました。当初「モツレクの後半がどんな音楽なのか知りたい,歌ってみたい」ということで始めたこの会,いつの間にか「モツレク全曲演奏会」を①盛岡市民文化会館(マリオス)大ホールで,②山田靖了先生の指揮で,③プロのソリストもついて,④エレクトーン伴奏で⑤北声会さんにおんぶに抱っこですが総勢100名近い大合唱団となって…と本格的な演奏会を経験できることになりました。思ってもいなかった展開です。


 その演奏会は演奏会として本番に向けてより良い音楽を目指して練習を重ねているわけですが,やはり地元でも披露したい,御近所さんにも聴いてもらいたい,私たちの取り組みを知ってほしい…という思いから「発表会」を開催することとしました。「研究」と付いてはいますが私たちが毎回取り組んできたこと自体が研究的な取り組みですので,まぁふつうの「発表会」ってことです。「演奏会」とどこが違うのかというと…
・ソリストなし。ソロの部分はほとんどカットして演奏します。
・衣装なし。「見せる」要素はほとんどありません。
・ステージなし。いつもの練習のような感じの隊形です。
・入場料なし。お金をいただけるほどのものにはならないと思っています。
・看板もポスターも受付もプログラム・パンフレットもなし。
といった感じです。

 本会のメンバーだけでなく,4月6日に一緒に「モツレク」を歌う方々も「どうぞご一緒に」とお声がけしているので,ご参加くださるかもしれません。ちなみに,ピアノ伴奏はいつもの八木絵未さんです。

 ぜひご来場になり,お聴きいただき,感想などいただきたいと,会員一同思っています。お待ちしています。

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「第1回研究発表会」(主催:合唱音楽研究会奥州)
日 時:2024(R06)年4月13日(土)
場 所:奥州市文化会館(Zホール)中ホール
プログラム:モーツァルト作曲《レクイエム》KV626
ピアノ:八木絵未
合 唱:合唱音楽研究会奥州+有志(「歌う会」,合唱団北声会)
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2024年3月17日日曜日

【宮古木曜会合唱団第41回定期演奏会終了】ご来場ありがとうございました。

  3月17日(日)14:00から,宮古市民文化会館で宮古木曜会合唱団の台1会定期演奏会を開催しました。私が関わった初めは第31回山口公民館での演奏会でしたから,11年目になりました。前前日の金曜日は翌日の職場の大きな行事に控えて奥州市泊。土曜日は午前に卒業式,午後から宮古に入ってリハを行い宮古泊。そして迎えた日曜日は天候に恵まれました。(終演後,帰る頃には小雨,盛岡は雨がじゃんじゃん降ってました。)


 第1部は日本語の合唱曲「聞こえる」「ハナミズキ」「名付けられた葉」「前へ」「群青」,もう一人の指揮者S君に選曲をお任せして彼がピアノ,私が指揮をしました。いつものように本番は練習とはまた違った様々な合図を出したのですが,普段からの訓練の成果で指揮によく反応してくれました(指揮を見てくれている人は,です)。思いが伝わるように言葉と音楽を表現できたように思います。第2部はルネサンスから近代までのラテン語宗教曲4曲,パレストリーナのモテット,バッハ のミサから,モーツァルトのヴェスプレから,グリーグの賛歌でした。こちらは…正直いって力不足でした。めずらしく拍手の沸かない4曲の演奏になってしまいました。聴きにいらした方,ごめんなさい。モーツァルトはピンチヒッターのソリストも合唱も健闘していたと思うし,バッハは難しかったもののある程度一つにまとまってきたと思ったのですが…。無伴奏の2曲が力不足を露呈しました。やはり発声に課題があるのですよ。今回の取り組みを通して少しでも解決したいと選曲したのでしたが,指導力不足で叶いませんでした。耳はいいので最後の和音などはとてもきれいに決めて終われるのですが。

 大きな課題は「声を出すなら指揮を見る,指揮を見ないなら声を出さない」という原則中の原則を徹底できなかったことです。本番でできてはじめて「できた」ってことですからね。

 今回様々なトラブルが重なって開催が危ぶまれたのですが,各場面でそれぞれにサポートし合ってなんとかゴールに辿り着けたように思います。ありがとうございました&お疲れ様でした。盛岡や奥州から聴きにきてくださっている方も見えました。ありがとうございました。来年はまだどうなるかわかりませんが,今回の経験はまたどこかの次の機会に生かしていかなければと思っています。感想など教えていただけると嬉しいです。お待ちしています。

2024年3月16日土曜日

学年(年齢)が違うと楽器も異なるが,原理は同じ

  3月12日(火),3日後に控えた修了式に向けて4年生約100名がF-Durの校歌の副旋律にチャレンジしていました。だいぶ覚えたけれど,大きな声で歌えない,きれいな声で歌えない…と課題をもって「教えてください」とお願いにきました。自分たちで考えて実行する,これに大きな価値を置いている私としては,とても嬉しく思いました。6年生は卒業式に向けて3学期に入ってからそのような動きを見せていたのですが,下の学年も(良いことを)真似して動き出したのは素晴らしいことです。担任団にも拍手です!

 体育館で聴かせてもらいました。副旋律は音域的に低いので,彼らが思ったような声,いわゆる「きれいな声」が出しづらいのです。彼らは胸から声を出す感じで,喉頭がほとんど開いていませんでした。そこで例によってまずG-Durに上げて歌わせました。以前は移調すると歌えない児童が続出でしたが,今は慣れてきたようで問題なく移調できました。そこで次にA-Durに上げ,さらにB-Durにと上げていきました。当然のどが詰まって…喉を詰めて出そうとします。

 そこで吸気により喉を開けさせてそこにお腹から息を送り込む,というトレーニングをしてチャレンジさせました。恥ずかしがってい照れている児童や笑ってしまっている児童がいたので「声を出すってことは運動なんだよ。どんなスポーツだってよいパフォーマンスの方法を分かって,筋肉を使えるようにトレーニングすることでよく動けるようになる。歌だっておなじでしょ!」と理解を促し,自分の身体を楽器にするという普段やり慣れないヘンテコな運動にきちんと取り組ませました。その上で上げた調で歌わせ,気合を入れて息を送り込ませます。「なんだか声がでたぞ」と思わせました。

 あとはそのまま調を下げていきます。するとだんだん身体をサボらせ始めるので,また「楽器の形を変えない!運動の仕方を変えない!」と気合を入れます。そうしながら元のF-Durまで戻しました。

 この春,4,5,6年生とそれぞれ1〜2時間の授業をしました。この3年間だけでも声質はだいぶ異なります。体の作りが違うんだなぁ,と声を聞かせてもらって実感しました。でも同じ方法で声がガラリと変わりましたから,原理は同じなんだなぁ,とあらためて思いました。音楽科の学習指導として教える最後の貴重な機会をくれた子どもたち,そして担任団に感謝です!だって私自身がたくさん学べたのですから。「ありがとう。」

2024年3月10日日曜日

【モツレク合同練習⑤:活動報告】ソリストもエレクトーンも入り,いよいよ!って感じ

  3月10日(日),盛岡市の青山地区活動センターで「モツレク」の合同練習を行いました。10:00〜12:30はピアノ伴奏で合唱のみの練習,13:30〜16:00はソリスト3名と代役ソリスト1名およびエレクトーン伴奏者も加えての練習でした。

 参加した合唱団員は全メンバー100名ほどのうち8割くらいでした。 前回の合同練習は2月25日に舘坂橋教会でした。最初に聞いてみて,期間が空いたせいか,会場のせいか,(他の団体を聞いたせいか)これまでとは合唱の響が変わっていたように感じました。声に張りがなく明瞭さに欠けました。そこで第1曲の「Requiem」を使って体を使うことにチャレンジさせました。具体的には,子音を明瞭にすること,第1テーマを引き立たせること,これによって腹が働きます。その後は「Lacrimosa」で子音をコントロールすることに取り組みました。

 昼食後にはソリストとエレクトーン伴奏者を迎えて,まずははじめから順に一通り通しました。ソリストの方々は普段から盛岡バッハ ・カンタータ・フェラインで一緒に音楽している仲間なので,安心して音楽を運べました。エレクトーン伴奏と一緒にやるのは初めての体験でした。武澤えりこさんはとてもよく準備してくださっていて,スコアのイメージを音として提供してくれていました。

 全曲を通してみて,モーツァルト作曲の「レクイエム 」の素晴らしさと難しさをあらためて感じました。本番まであと1ヶ月ほど。(年度末で業務が超忙しいのですが)譜面に丁寧に向き合って,しっかりと準備を進めていきたいと思いました。令和6年4月6日(土)15:00,盛岡市民文化ホール大ホールにてお待ちしています。

2024年3月9日土曜日

宮古木曜会合唱団:個人練習は成果あり!?

  3月7日(木),この日は宮古木曜会合唱団の本番前最後のレッスンでした。奥州市で業務を終えてから,借りた自家用車で宮古市までおよそ2時間。例年とは違って路面は乾いていて,立丸峠もアイスバーンにもなっておらず,走りやすいのでした。おまけに日も長くなり,遠野あたりまでは周りがまだ明るいのです。春が近づいていますね。

 もう一人の指揮者S君の発声練習ののち,まずは伴奏付きのバッハのフーガ(でもテノールがいない)をおさらいしました。声を出しやすい楽曲を使って身体が鳴るようにしたかったのです。止まることはなかった(!)ものの,先が見えていなくて場当たり的に音が出てくる感じでした。テーマを区別することや,どの音域でも同じように音楽することなどに取り組みました。そしていよいよ前回全滅だったラテン語無伴奏宗教曲の2つに取り組みました。パレストリーナのモテットは(このころにはテノールも来た!)立ち位置をシャッフルして歌ってもらいました。互いに聴き合って欲しかったからです。聴かないで歌っている(声を出している)からハモらないしテーマの引き継ぎもできないし,結果統一感も生まれないのですよね。でも,前回よりいいできでした。「この間,練習したの?」ときくと,首を縦に振った人が半分くらいいました。個人練習をしたのだそうです。自分のパートを見通しを持って歌えれば,他のパートが耳に入ってくるんですよね。

 もう一曲のグリーグのモテットもだいぶいい感じでした。発声に無理がないのが良い点です。この曲はホモフォニックなので,和音の構成音のバランスを調整して…というか,和音を構成する各パートの役割(主音なのか,第5音なのか,第3音なのか…)を理解してもらって合わせていくことで,響がよくなっていきました。聞けばこちらも個人練習をしたとのこと(首が動かなかった方も半数くらいいましたが)。


 当然のことながら,自分の弱点は自分で克服しようとすることは基本中の基本。「練習会に参加すればなんとかなるだろう」ではいつまでたっても上達は見込まれませんね。あと1週間,より良い音楽ができるように個人練習にしっかり取り組みましょう!

 本番は3月17日(日)宮古市民文化会館大ホールにて14:00開演です。ぜひ聴きにいらしてください。お待ちしていま〜す。

2024年3月3日日曜日

「福井敬ふるさとコンサート vol.3」(8月11日)へのお誘い

 奥州市出身でテノール歌手の福井敬さんのコンサートがこの夏,奥州市のZホールで開催されます。そのコンサートで一緒にステージに立って歌う合唱団のメンバーの募集が始まりました。興味のある方,ぜひお申し込みください。お待ちしています。


 演奏会の概要を記します。
公演の日時:2024(R06)年8月11日(日・祝) 14:00開演(予定)
場所:奥州市文化会館Zホール 大ホール
演奏曲:5曲
 「夏の思い出」混声四部
 「誰も寝てはならぬ」(オペラ『トゥーランドット』より)女声二部(ユニゾン)
 「乾杯の歌」(オペラ『椿姫』より)混声四部
  「精神歌1.」同声二部(混声で分担)
  「風の又三郎」ユニゾン
募集対象:小学生以上!
参加費:無料!!

 奥州市の文化振興財団では,5年に一度,市民参加でオペラを上演しています。開館20周年の2012年には《椿姫》,開館25周年の2017年には《ラ・ボエーム》,開館30周年の2022年には《トスカ》でした。いずれも本学的な舞台が準備され,福井敬さんを始め壮々たるプロの声楽家の方々をソリストに迎え,フルのオーケストラがピットに入り,合唱指揮は藤原歌劇団の合唱を長年担当しソリストとしても活躍してきた及川貢先生(wikiはこちら)がつとめ,一般公募の合唱団が衣装も演技もつけて出演しました。そのようなつながりから,5年間の間の年に福井敬さんのコンサートを開催して,岩手の皆さんが彼の歌を身近で楽しめる機会を作ってくれています(リサイタルはほとんど東京ですし,チケットもすぐに完売(そして高い)してしまうようですから)。

 昨年は「岩崎宏美・良美ふれあいコンサート」を企画して音楽に親しむ機会として頂きました。今年は「福井敬ふるさとコンサート」,来年と再来年も公募合唱団が参加できるような機会を何か計画しているようです。そして2027年に開館35周年記念として本格的なオペラ公演を迎える,そのような見通しのもと合唱活動を通して音楽愛好家の裾野を広げていこうというねらいです。

 合唱は中学生以来という方も,楽譜の見方がよくわからないという方も,「歌ってみたい」という気持ちがあれば大歓迎です。お誘い合わせの上,ぜひお申し込みください。

2024年3月2日土曜日

【合唱研第19回:活動報告】学びの楽しさ

  3月2日(土)の午後,水沢教会で19回目の活動をしました。第18回の活動からほぼ1ヶ月,「モツレク」合同練習(第4回)からは1週間が経ちました。会員の皆さんは歌い慣れてきたのか,参加者は30名弱と少なめでした。本会の会員でない方(歌う会の方)がお二人参加していました。北上市の方(アルト)と前沢の方(ソプラノ)です。前沢の方は「こういう団体があるのを知りませんでした。」とこの日に本会に入会してくださいました。仲間が増えるのは嬉しいですね。

 発声練習を兼ねるつもりで,「Ave verum corpus」から始めました。歌ったことがある方がほとんどでした(Z管弦楽団の第10回記念定期演奏会でもアンコールで歌いましたね)。例によって「音符歌い」からの脱却が課題でした。歌詞をつけずに声だけで音楽させました。「ヴァイオリンだったらどんな音楽にする?」ってことです。また「声を出す」から「音楽する」に意識・価値観を変えるのです。これによって力みまくっていた喉から力を抜く方向にもっていけました。

 続いて「どの曲を練習しましょうか?」と問いかけると,「最近やっていない前半の方の曲」という声がありました。第1曲からやると後半が時間切れ,というパターンが私の毎回のパターンなので,この日は「Lacrimosa」から戻っていきました。

 「Lacrimosa」は8分の12拍子。1拍が三連符になっている曲は本当に難しいです。音符に合わせて声を出しているだけだと音楽が停滞し,どんどん重くなっていき,聴いているのが辛くなります。そこで三連符を機械的に手拍子で刻みながら歌わせることで,歌い手の感じ方の遅れを自覚してもらい,音楽の運びを改善しました。「ソルフェージュ能力」というやつですね。

 「Confutatis」では男声が頑張りすぎでした。歌詞が激しい内容なので力強く表現しようとしたのだと思いますが,音楽の枠をはみ出してしまっていて,「乱暴」とか「雑」といった印象でした。そこで,対比されている女声合唱の部分の音楽作りを聴いてもらいながら,ヨーロッパ・クラシック音楽の「様式感」を感じてもらい,その後に男声合唱部分に生かしてもらうべく修正に取り組みました。

 「Rex tremende」では,「R」の発音がポイントでした。「Rex」の語が出るたびに聞こえてきたい「R」の子音なのですが,さっぱり聞こえてきません。ポイントは「時間をかける」「音符の前から始動する」「有声化する」ことでした。これができてくると「R」が聞こえるだけでなくハーモニーが良くなるのです。なぜか?声の力みがなくなって響きが良くなったからです。それはなぜか?「喉で歌う」ことをやめられるほど「腹で歌う」「お腹で支える」「横隔膜を使う」ことができてきたからです。子音を勤勉に発音するには「お腹の力」が必要で,そうすることで声質がよくなりますが,声楽の際そこが最も難しいところの一つでもあると感じています。

 「Introitus」から「Kyrie」にかけては,(「R」はもちろんですが)メリスマを尋常に歌うことが課題となりました。尋常にそして音楽的に。

 この日の活動のはじめに,2つの話をしました。
1.「福井敬ふるさとコンサート vol.3」へのお誘い
2.研究発表会の構想

 これらについては別にお知らせしますね。お楽しみに!

ポテンシャルを引き出すには,スイッチを入れればよいのです

  3月1日(金),巷では県立高校の卒業式が行われたこの日,久しぶりに音楽の授業をさせてもらいました。卒業学年に呼ばれたのです。6年生は卒業式で「旅立ちの日に」を歌うことを選び,それに向けて児童を中心に練習に取り組んできていました。彼らはリーダーを中心に自分たちの課題を「主旋律の最後の『大ーー空にー』のところのコツが知りたい」「地声を歌声にするためのほうほうを学びたい」「声の質を変えたい」とまとめて私のところに持ってきました。この学年の担任団は児童の力を信頼して,自分たちのことは自分たちに任せる,というスタンスで1年間育ててきています。卒業式の歌の「学習」(うちの職場には「「練習」で終わらないように」と口うるさく言ってきています)についても同じスタンスで見守りながら指導してきていました。

 入学時から知っている,久しぶりに相対した子どもたちは大きく成長していました。まず初めに一通り聴かせてもらいました。2部合唱の各声部の音はほぼとれていて,声も大きく出て,歌詞も迷わず歌えていました。しかし力んで声を出しているので苦しそうだし溶け合い(ハモリ)ません。高い音になるとか細い裏声になってしまっていました。

 自分たちの出来具合に点数をつけさせて自己評価させ,足りない点を言語化することで課題を把握させ,この時間のゴールを確認することで見通しを持たせました。これはどの教科でも使える,学びへの動機付けの方法です。

 まず初めに,声質を変えることの理由を伝えました。弦楽アンサンブルや管楽アンサンブルを例に,似た音色だと聞き分けられないほど溶け合ってハーモニーするという原理です。すんなり納得してもらえました。そして「声も楽器」ととらえさせました。

 変ロ長調で書かれているこの編曲は音域が低いので,この子どもたちの声質を改善する・発声法を変えるには難しいと感じました。そこで,ユニゾンで歌い出す前半の部分を移調してどんどん上げていきました。ハ長調→ニ長調→ヘ長調→ト長調(ホ長調や変ホ長調がないのは伴奏が難しいから)。ト長調だと歌い出しがh音,その部分の最高音が高いg音になります。これまでの発声法では苦しくて当然声が出ません。でも私が出してみせると「可能なんだ」ということが伝わります。そこで「ではどうすれば出るか」と発声法のアドバイスをしました。例の「身体は管楽器」「管を太く感じて」「息を流す」「声は「出す」のではなく,「結果として音が出る」と思え」と。

 このようにして声を出させていても,最初はおかしかったり恥ずかしかったりで,自分の身体と心を解放できません。そこで犬を例に出し,「鳴き声を通して犬の気持ちが伝わるとき,犬は「伝えよう」と思って声の出し方を考えて吠えているか?気持ちが伝わるのは,真にそんな気分になって声が出たとき。だから「伝わるようにしよう」とか「へんだなぁ」なぁんて頭で考えたら気持ちなんて伝わらない。」と,声楽表現の基本の基本の話をしました。するとこの子どもたちはすんなりと理解してくれて,鳴らしたり吠えたりする発声に抵抗なく取り組み真似するようになりました。その声(音)のまま高いト長調の主旋律を(歌詞なしで)歌わせました。すると高い音が頑張らなくてもすっと出たのです。しかしまだか細い。そこで「ケチケチしないでもっともっと息を管に送り込みなさい」とやってみせると,すぐに真似します。すると自分たちが思った以上に大きな音が高音域でも出たのです。驚いていました。そうしたら後は音域が下がってくる時に同じ方法で声を出させる,つまり「楽器を変えない」「楽をさせない」だけ。「歌うってことは運動だからね!」「(出しやすい音域でも)手を抜かない!」「(高音域での息を送り込んで)攻めなさい!」とビシビシとハッパをかけました。

 結果,はじめとは驚くほど変わった豊かな響きと2声部の溶け合いの合唱になりました。授業のはじめと終わりの時間に他用で廊下を通り過ぎた職員が,授業が終わってから「はじめと終わりでは全然違う合唱になっていた!1時間であんなに変わるなんて!」と驚くほどでした。

 子どもにはたくさんの伸び代があります。そのポテンシャルを引き出すには,子どもに自分自身のスイッチを入れさせることです。どうすればスイッチを入れさせることができるのか。そこが教材研究のしどころですね。教材を研究する,それも指導する相手を念頭に置いて研究的に教材を見る。そうしておくことで,教育の(音楽の)現場で結果的に相手にスイッチを入れさせるという結果に行き着くことができます(そううまくいかない場合もありますが)。あと何回もできない「授業」という場を提供してくれた担任団と,呼んでくれた子どもたちに感謝です!楽しい時間でした。

仲間が増えました!

  今週のこと。  5月14日(火)の夜は盛岡バッハ・カンタータ・フェラインの通常練習でした。練習曲はなんと《ヨハネ受難曲》の第2稿! 6月のドイツでのカンタータ演奏 の後の取り組みを見越しての先生からのご提案です。このうち2つの大きな楽曲の「初見大会」の後,日曜日に仙台で行った...