2023年12月28日木曜日

高校生指導の難しさ

  12月27日(水)の午後2時間,沿岸部の某M高校音楽部のレッスンに行ってきました。夏には鉄筋コンクリート作りの会議室的な響きの多い場所で(クーラーを効かせて)やりましたが,今回は生徒たちのホームである学校の絨毯敷の音楽室でした。部員はソプラノ3名,アルト3名,男声2名。学習講座や進路指導など冬休みに入っても忙しい昨今の高校生が,合間を縫って部活動に取り組んでいるようでした。

 1月下旬に予定されているアンサンブル・コンテスト(「アンコン」)に向けて取り組み中で,楽曲は2曲。いずれも周藤諭作曲の《Ave Maria》《Salve Regina》。無伴奏で混声ながら3部合唱(部分的には4部)で調性がしっかりした音楽なので,少人数でアンサンブルするには手頃な曲だと思いました。

 この手の曲なら,学べること・学ばせたいこと(資質・能力)がたくさんあります。
◯音楽の展開がゆっくり目なので,息遣いを生かすこと
◯母音や子音で響きが変わってしまわないように安定させること
◯良い音で響き合いを感じ取りながら歌うこと
◯移動ド唱法による音程感覚と,ハーモニーと展開を感じながら和声の機能を理解すること
◯テキストの意味と作曲家の意図していることを解釈すること

 しかしながら,引き出す力不足のため,音楽の良さを十分にわかって合唱するところまでは辿り着けませんでした。最も障壁だったのは,「表現意欲を行動に繋げられないこと」でした。端的な例は反応です。「わかった」とか「なるほど」,あるいは「はい」という返事ひとつにしても,自然に表出させることがなかなかできませんでした。導入時にうまく関係を作れなかったからか,あるいは普段から自分を表出することができないでいるのか…。

 自然な声(息の流れに乗った声というより「音」)を引き出すことがなかなかできなかったのです。身体と,それから頭を解放させられなかった,という感じです。大人とちがって,そして普段から知っている人間関係とちがって,思春期のグループに飛び込んで指導するのは本当に難しいですね。

 次回は1月11日(木)。反省点を頭に置きながら,再チャレンジしようと思っています。

宮古木曜会合唱団:第2部全曲音出しできた!礼拝で歌うのもいい感じ!

  12月24日(日)午後に山口公民館で宮古木曜会合唱団の強化練習を行いました。この日の夜に宮古教会で行われるクリスマス・イヴ礼拝に,日程を合わせて設定しました。毎年参加している礼拝です。

 強化練習では,「体を楽器にして!」を連呼しながら,まずはパレストリーナ。無伴奏ポリフォニーで響き合いを作るためには,音質がポイントとなります。同質の響きを持つからこそ溶け合います。管楽器でもある「声楽器群」としての響きを引き出しながら,その響き合いを聴き合わせながら進めました。もともと指揮者のいない音楽ですから。続いてバッハのポリフォニー。調性感を音楽に表現するには,やはり声の響き合いが大切です。続くモーツァルトは,器楽伴奏がつきますので雰囲気は感じ取りやすく出しやすいと思います。最後のグリーグはアカペラのホモフォニー。これこそ声の響き合いが要求されるスタイルです。

 盛岡から3名のテノールがこの日は歌いに来てくれました。普段から一緒にやっているわけではない「旧団員」なので響きを合わせるのが大変かと思ったのですが,意外に上手に聞き合って溶け込んでくれました。感謝です!

 後半にはクリスマス・イヴ礼拝に歌う3曲を練習しました。バッハのカンタータ147番の最終コラール,ラターの「灯火のキャロル」,讃美歌259番「いそぎ来れ主にある民」です。前半の練習疲れからか響きが乗らないようだったので,思い出す程度に歌って終わりました。ちなみに讃美歌259番は,1番が斉唱,2番から合唱,3番はア・カペッラ,4番は悠然と,と歌詞に合わせて変化させてみました。


 19時からは宮古教会で礼拝が始まりました。聖書朗読や説教を聞きながら,オルガンの伴奏に合わせて歌う経験は,宗教音楽(もちろん西洋のキリスト教音楽)に取り組んでいる身としては,音楽の意味を再確認できるとても貴重な機会です。終わって20時半,あたたかい気持ちで盛岡に向かうことができました。

2023年12月23日土曜日

【モツレク合同練習①:活動報告】初顔合わせ

 


 12月23日(土)13:30〜16:30盛岡市の青山地区活動センターにて,混声合唱団北声会さんと「第1回」となる合同練習を行いました。人数はおおよそ北声会が30名,合唱音楽研究会奥州が15名,「歌う会」としての個人参加の方々が30名(宮古木曜会合唱団からも10名ほど!)集まりました。会場は広々としたフラットなホールで,古いながらグランドピアノもあり,活動しやすい場所でした。本来は山田先生のご指導予定でしたが所用で来られなくなり,代わりに私がこの日は指導することになりました。

 北声会さんのルーティーンに従って,まずはラジオ体操から始まりました。続いて北声会委員長のIさんに,ご挨拶や今回の演奏会についての経緯など様々な連絡などを丁寧にしていただき,演奏会に向けてのスタートに当たって気持ちを揃えることができました。

 初めに全曲を通して,参加の皆さんの様子を掴みたいと考えました。今回はPetersという出版社の版でやることになっています(楽譜を準備しておらず,小節数が曖昧な練習となり,ごめんなさい)。休憩を挟みながらほとんど返すことなく通しました。約1時間。演奏自体は途中で止まることもなく,でもなんだかもにゃもにゃしたままずっと進んで行きました。ほとんどの方が楽譜とにらめっこしながら…。合間に「モツレク」の経験を尋ねたところ,全曲歌い慣れているという人はごく少数で,大半の方は「半分程度は歌える」感じ,数人ですが初めての方もいらっしゃいました。

 この「幅の広さ」が大事なポイントです。
 難しいのは,レディネスの違いにどう対応していきながら充実した時間にしていくかということです。歌い慣れた人にとっては基礎的な内容ばかりでは(たとえ他の人のためになるとはいえ)練習に参加する意味を失いかねません。だからといってチャレンジングな内容ばかりでは初めての人にとってはモチベーションが下がります。ですから双方を取り混ぜたり,場合によっては同時に満たすことができるような内容を提示していくことに配慮する必要があります。
 一方,「幅の広さ」が大切なこともあります。それは(岩崎姉妹の時のように)「合唱」「音楽」「クラシック」「モーツアルト」「教会音楽」…といったようなキーワードに触れる機会の少なかった方々を,そういった音楽世界に誘うチャンスでもあるからです。今回の取組を通して,合唱の楽しさやクラシックな音楽の(難しさもありながらの)素晴らしさ,外国語の合唱曲へ慣れ,音楽そのものの楽しみ…などを感じていただき,今後の生活で広げていっていただきたいと思っています。

 練習の後半ではどの曲を使ってどのように方向付けて今回の練習を終えようかと考えた末,終曲の「Communio」の最後にあるフーガ部分を使って,今回の演奏会への見通しをもって帰ってもらえるようにと考えました。それは…
①ポリフォニックな音楽は馴染みが少なく,おそらく混乱しているのではないか。
②でもテーマがあること,優先順位があること,を整理すると見通しをもちやすいだろう。
③テーマを皆で歌う機会を使って,歌い方の方向付けと全体像の理解ができる。
④終曲を歌い慣れておけば,ゴール前の疲れが溜まってくる時間に余裕が持てるようになる。
と考えたからでした。

 ねらいは大方達成できたようで,練習後に多くの方から「わかりやすかった」「あのように分解して指導されたのは初めてだった」と好評でした!長く伴奏をつとめていらっしゃるピアニストのMさんからも「初心者にわかりやすい説明」と言っていただけました。

 次回は1月13日(土)13:30〜16:30奥州市の水沢南地区センター(水沢消防署のとなり)の音楽室です。広めの駐車場が建物の裏にあります。在来線の水沢駅からは,歩くのなら30分程度かかりますが水沢公園を南の方に抜けてさらに南進します。バスなら岩手県交通のバスで県立胆沢病院行きにのり大鐘(オオガネ)で降りて徒歩5分くらいです。練習内容としては,「モツレク」前半の方について歌詞も確かめながらの音楽作りをする予定です。1月中旬は雪も積もっていることと思います。皆様,お気をつけてお集まりください。お待ちしています。

【釜石の第九公演終了】暗譜の難しさ

 


 12月17日(日)釜石市の釜石市民ホールTETTOで,第44回で最終回となる「かまいしの第九」演奏会に参加してきました。最終回ということで報道関係の取材がたくさん入っていて新聞やテレビでも報道されたので,これまでの経緯などはご存知の方が多いかと思います。

 私は東日本大震災の年,2011年に釜石高校の体育館で開催された時が最初でした。1年に1回,昔の合唱仲間と集まる機会でもあり,市民手作りの第九の演奏はもちろん,いろいろなことが思い出に残っています。

 今回は第九の前に第1ステージとして2曲を「暗譜」で演奏しました。
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「明日を」作詞:佐藤和夫 作曲:佐藤和夫/SaToMansion 編曲:大熊崇子
「群青」作詞:福島県南相馬市立小高中学校 平成24年度卒業生 作曲:小田美樹 編曲:信長貴富
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 「群青」はこの曲ができてからずっと宮古木曜会合唱団が定期演奏会で歌い継いでいる曲(といっても私が歌ったのは1回であとは振っていた)なので,おおよそ覚えて歌うことができました。しかし「明日を」はなかなか覚えられませんでした。この曲はテレビ番組のBGMとして流れていたのを耳にしていた程度の曲でした。

 今回,久々の「暗譜」体験を通していろいろと考えました。まず,暗譜で歌えるためには【音楽の全体像が頭に入っていないといけない】ということ。自分のパートだけを覚えようとしても,繰り返しやその際の(旋律・歌詞・リズム・デュなーミクの)変化など細部は頭に残せませんでした。全体像があって,そこに自分のパートを位置付けることで記憶に定着するようでした。では全体像とは何か。まずは主旋律とその展開,それに伴う和声の変化です。また主旋律に絡む各パートの動きのおおよそです。「ここではこのパートがこう入ってくる」といったようなことと相対的に自分のパートを想起できるようです。それからもちろん歌詞の意味が納得されていることも重要です。文字面だけで覚えようとしても,文の先が歌う前に想起されるようにはなりません。

 譜面づらが簡単で音遣いもそれほど難しくなかっただけに甘くみていたのですが,予想以上に覚えることができませんでした。そしてなんと,演奏会が終わってから時々浮かんでくる音楽の中では,自分のパートが正しく想起できたりするのです…今さらですが。驚きました。

 主に宗教音楽に取り組む普段の練習では,指揮を見ることに関する「暗譜」以外はそれほど強調されることはありません。それでも案外頭に入っているというのは,やはり回数・時間をかけてその楽曲に慣れ親しんでいるからなのでしょう。自分だけでなく演奏者全体としての表現と意識できるよう,今後は意識して歌っていきたいものだと感じました。

2023年12月20日水曜日

【合唱研・お知らせ】今後の活動予定など(12/21版ちらし)

 本会の活動を始めた2023年も残りわずかとなりました。本会初の大型演奏会参加となる来年4月6日(土)の「モツレク全曲演奏会」混声合唱団北声会と共催)に向けて,活動予定が若干変わりましたので,新しいチラシを作成しました。お誘いやご確認などにご利用ください。なお,会員の方々には事務局から随時メール等で情報が届くことと思います。「最新情報」はそちらになりますのでご理解ください。寒くなり雪が降り積もりました。お足元にお気をつけてご参集ください。


 モーツアルト作曲『レクイエム』全曲演奏会(混声合唱団北声会と共催)に向けた特別練習日程(カッコ内は本会のみの活動)

①12 月23 日(土)13:30~16:30 盛岡市青山地区活動センター
②1 月13 日(土) 14:00~17:00 水沢南地区センター音楽室
(1 月27 日(土)14:00~17:00 水沢教会(予定))
(2 月 3 日(土)14:00~17:00 水沢教会(予定))
③2 月10 日(土)14:00~17:00 水沢南地区センター音楽室
④2 月25 日(日)13:30~16:30 盛岡
(3 月 2 日(土)14:00~17:00 水沢教会(予定))
⑤3 月10 日(日)強化練習 午後ソリスト・エレクトーン合わせ
⑥3 月23 日(土)13:30~16:30 盛岡
⑦3 月31 日(日)13:30~16:30 盛岡
-----以下は盛岡市民文化ホール(マリオス)大ホールにて-----
4 月5 日(金)夜 ゲネプロ

 お誘い合わせの上,多数ご来場ください。また,4月6日に予定している《モツレク》全曲演奏会へのご参加も前向きにご検討くださいね。

2023年12月10日日曜日

【ウクライナ・フィルの第九公演終了】さまざまなことを思いめぐらせました

  12月9日(金)に盛岡市民文化ホール大ホールで,ウクライナ・フィルによる「2つの第九」演奏会が行われ,後半に演奏されたベートーヴェンの第九に参加しました。

 リハーサルを聴いていて,弦楽器の音色が違う感じでした。爽やかな乾いている感じ。そして明るい。うまく言葉では表現できませんが,ドイツでオケと一緒に演奏した時も感じたように,音色の価値観が違うんですね,きっと。声楽も同様で,スラブ系だからなのかは不明ですが,ソリストの前の「鳴り」が強いのでとてもでかい声に聴こえます(でもドイツ語はけっこう適当でした)。

 演奏はとてもコントロールされていて,合唱に対してオケが大きすぎると,指揮のジャジューラさんは対象のパートを指示して音量を抑えるなど,声楽と器楽と全体で音楽を作ろうとしていることもよくわかりました。それにしてもゲネプロの際,合唱が始まってまもなくのあたりですでに(しかも演奏しながら)ジャジューラさんが親指を立てて「いいね」のサインをくれたのは嬉しかったですね。

 「男声合唱の前の「軍隊の行進」のところをどんな思いで演奏してるのだろう」とか,「Alle Mensche wierden Brueder」ってどんなふうに考えているんだろう,とかゲネプロ・本番で音楽以外のことにいろいろと思いめぐらせ,なんだか込み上げるものがあったりもしました。

 合唱団は「盛岡市を中心に活動する合唱団体や小中高校から本公演のために組織された特設合唱団」という名前でプログラムに載りました。長いのですが,実は今回のメンバーの特徴を的確に表していると思います。年齢構成が十代から八十代でしたが,声質が見事に溶け合って,心にまっすぐに届いてくる感じの声質にまとまったように思います。また,年齢的に縦長の構成にすることによって,今回だけでなく未来に生きる演奏会になったように思います。こういう企画って素敵ですね。今更ながら「教育」環境の大切さをいろいろなところで感じています。

 第3楽章が終わってステージに出て行ったら,なんと大ホールが3階まで満員!そして終演後はスタンディング・オベーション!2階席にはウクライナの大きな国旗を広げる方もいました。力強くそして長く続く拍手を,大人はもちろん子どもたちはどう受け止め感じたのでしょうね?(本日別な合唱団の練習でお会いしたキャラホール少年少女合唱団の指導者ARさんによると「子どもたちは終わってからみな涙,涙でした。」とのこと)。コンクールの世界しか知らない(コンクールが第一と考える)小中高校生などは,こういう音楽の世界をどう感じたのでしょうね?

 コンサートマスターというより今回は合唱団のステージマネージャーの仕事が多かったように思います。その意味で盛岡市文化振興事業団のスタッフの方々と一緒に取り組むことができました。(2015年のブラームス作曲《ドイツ・レクイエム》演奏会の時と同様)お互いにたくさんの学びの場になったように思います。スタッフの打ち上げの際,今後Zホールとの連携も考えているという話も聞きました。それもまた楽しみになってきました。

 翌日の岩手日報の第一面に掲載されました。盛岡市にとってとても大きな意味を持つ演奏会になったと思います。

2023年12月7日木曜日

【けせん第九公演終了】気仙地区,いい音楽知ってますね


 12月2日(土)に合唱音楽研究会奥州の活動を終えて大船渡入りし,翌3日(日)に「けせん第九」の本番をやってきました。会場は素敵なリアスホール,オケは仙台フィルハーモニー管弦楽団,指揮者は山下一史さん,ソリストはSopが土井尻明子さん,Altoが菅野祥子さん,Tenが西野真史さん,Bassが小原一穂さん。合唱はけせん「第九を歌う会」のみなさんでした。

 前日の話題では「オケの音が大きい」「ソリストに厳しい」などいろいろ聞こえてきました。G.P.が始まり確かに大きめのオケの音でしたが,合唱が歌い出しても,かき消されるほどではないように感じました…というか合唱がけっこういい音出していていい音楽をしているので聴こえてきているように感じました。

 本番はソリストのみなさんの一人ひとりの声はもちろん素敵でしたが,4人のアンサンブルがとても音楽的で素敵でした。また第1楽章からステージにいて音楽を共有しての第4楽章でした。声楽・合唱が登場する意味がなんとなく分かったというか感じられました。

 けせん「第九を歌う会」のみなさんは小中高校生が結構多くいました。素晴らしいことです。あれだけの音楽を体験し一緒に作り上げる経験を子どもの時分にできるわけですから!そんな文化が地域の未来を作っていくのでしょうね。目指すところの一つです。

 翌週末の12月9日(土)は盛岡市民文化ホールでウクライナ国立フィルによる「2つの第九」演奏会,さらに翌週の12月17日(日)は釜石市民ホールTETTOで「かまいしの第九 final concert」です(12月26日は山形テルサの第九もお声をかけていただきましたが,仕事の関係でエントリーできませんでした)。それぞれの地でそれぞれの方と一緒に演奏する第九を大切にしながら,たくさん学ばせてもらおうと思いました。お時間のある方はどうぞ足をお運びください。ちがった第九を味わうことができますよ!お待ちしています。

2023年12月5日火曜日

【合唱研第17回:活動報告】「モツレク」後半さらいなおし

  12月2日(土),17回目の活動を日本基督教団水沢教会にて行いました。前回は北声会さんからもたくさんいらっしゃってかつ最初だったので,全曲の音を出してみたのでした。それに続く今回ですので,後半を歌い慣れることを中心にレッスンしました。

 後半とは,胆江合唱祭で歌った「Domine Jesu」以降の曲です。まずホモフォニックな「Hostias」で慣らし,続く「Hosannna」のポリフォニーにもチャレンジしました。あとは曲順に復習して,「Communio」の前までやりました。

 そう,「ポリフォニーとホモフォニー」の話をしました。「三位一体」にも触れました。日本声楽発声学会で学んだ声帯や手術のことも話すことができました。

 そしておしまいには,「モツレク全曲演奏会」の宣伝(といっても出演について)もしました。以前も書きましたが,山田靖了先生のレッスンを受けられて,大人数の合唱を経験でき,マリオス大ホールのステージに立てて,運営は北声会の方々にやっていただき…と奥州市にいるだけでは経験できない様々な特典つきです!と。

 この日は,活動後に大船渡に向かいました。「けせん第九」のお手伝いのためでした。奥州から大船渡までは種山高原を越えておおよそ70kmでした…

2023年12月1日金曜日

宮古木曜会合唱団:体が楽器です!っていつも言ってるのに…

  11月30日(木)の夜には宮古市の山口公民館に宮古木曜会合唱団の練習に行ってきました。前日一気に雪が降り,街中の道路は雪が解けたものの立丸峠に向かう国道340号線の遠野側などは今シーズン初めて経験する凍結路面でした(しかし峠の北側,川井側は乾いてました!)。ちなみに盛岡に帰る途中の区界峠は圧雪気味の路面で滑りました。

 11月12日(日)以来20日ほど間が空いてのレッスンでした。まずはパレストリーナ。全くハモりません。音質のせいです。響き合う,溶け合う音質にするには身体をどう使えばいいか,比較的うまく行っている状態を意識化させて,それを伸ばしていく…。体の内部は目に見えないので,伝えることが本当に難しいです。そしてせっかく掴んでもらえても,すぐに手放してしまうのです!

 体の使い方とはつまり筋肉の使い方,筋肉運動です。運動ですから効率よく動かす熟達のためにはトレーニングが必要です。それは歌に向かっているときにしかできません。週に1回2時間の練習しかないのですから,そこで筋肉そのものやその使い方を鍛えなかったら,いつ鍛えましょう!!今度の定期演奏会の第2部は「ハーモニーの歴史を辿って」をテーマにしました。パレストリーナ,バッハ ,モーツアルト,グリーグの宗教曲を通して教会におけるハーモニーの世界とその変遷を感じてもらおうという企画なのに,ハモらないのではお話になりません。残り少ないレッスン回数ですが,身体を鍛えてより良い音を目指すよう意識改革が必要だと強く感じました。

 1時間かけてパレストリーナの「Heu mihi Domine」はなんとかハモるようになりましたが,続けて取り組んだバッハ のF-Durのミサの「Kyrie」はまるでだめ。やはりバッハは難しいんですね。ちなみにモーツァルトやグリーグなどのホモフォニーは比較的上手なんです,この合唱団。

 次回は来週12月7日(木)(今気がつきましたが,厳しい日程です!)。せっかく仕事を終えたあと2時間以上かけて雪の峠を越えてレッスンに行き,そして1時間半かけて雪の峠を越えて夜中に家に帰る(合計約230kmの運転)のですから,なんとか良い音楽に近づけられるように,結果を出したいと思っています。皆さんよろしくお願いします…ね

日本声楽発声学会 2023年度「第133回例会」 in 東京藝術大学

 


 11月26日(日),6:10盛岡駅発の(いつも通勤で使う)新幹線に乗って,日本声楽発声学会第133回例会に行ってきました。上野の東京藝術大学です。

 まずは3つの研究発表でした。①声楽家の豊田喜代美さんによる「柴田睦陸と声楽発声」。日本の声楽界を理論面でリードし多くの声楽家を育て影響を与えた先輩について,足跡を追いながら理論を明らかにしていく端緒となる発表でした。②耳鼻咽喉科医師の斉田晴仁さんの「体壁振動からの声区の考え方について」。「声は影!」と位置づけ,音響学で一般的な「音源フィルター理論」を念頭に,声の本体の音質を形成する要素に分けて捉える見方を教えていただきました。③声楽家の梅村憲子さんと工学博士の森幹男さんによる「日本語歌唱時における母音の明瞭性について」。テーマとはちょっと距離のある内容のように思いましたが,研究の動機や母音の明瞭性を可視化するソフトウエアの開発など,興味深い発表でした。

 午後は2時間にわたる特別公演。京都の耳鼻咽喉科医師である廣芝新也さんによる「声を直すことは心を治すことー音声外科と美しい医療ー」というテーマの講義でした。声帯に直接触れることなく声帯の病気を治そうと,甲状軟骨や輪状軟骨に手を加える手術について,動画をたくさん用いながら解説していただきました。「人の声って実に物理的に発音・構音されているんだなぁ」とか「自分の声はアイデンティティを示す顔のようなものなのに,こんなに変わってしまうんだなぁ」とか(もちろん「痛そうだな」とか)思いながら,本当に貴重なお話を聞かせていただきました。「美しい医療」という言葉に惹かれました。

 その後,第1ホールというところに場所を移して,現役声楽家の演奏とお話の時間。オペラも歌いミュージカルも歌うという佐橋美起さん(武蔵野音大の教授)による英語の様々な歌を1時間にわたって聴くことができました。ミュージカルの際はマイクを付けるのでそれを意識した発声をするとのことでした。いずれの曲でも,役になり切って,あるいは歌詞の世界に入り込んで,体全体で表現していました。

 この学会は,ともすると感覚的に処理したり指導したりしがちな声楽を,科学的に分析しようということで,声楽家と医師と工学系の技術者と様々な方が関わって学び合っています。ですから普通に音楽活動をしているだけでは知り得ない事柄を知れたり,得られない視点を得ることができる楽しさがあります。知ることによって見えてきます。合唱指導をしていてもいろいろなことが見えてくるので,より良くするための引き出しが増えるわけです。私自身は専門家ではありませんが,今後も参加することでたくさん学び,皆さんに伝え広めていければいいなと思っています。

仲間が増えました!

  今週のこと。  5月14日(火)の夜は盛岡バッハ・カンタータ・フェラインの通常練習でした。練習曲はなんと《ヨハネ受難曲》の第2稿! 6月のドイツでのカンタータ演奏 の後の取り組みを見越しての先生からのご提案です。このうち2つの大きな楽曲の「初見大会」の後,日曜日に仙台で行った...