2023年6月28日水曜日

【演奏会・聴いてきました】アンサンブル・コンフオーコ第14回コンサート(2023. 6. 25 Zホール中ホール)

 

 先日の日曜日,奥州市のZホール中ホールにて,アンサンブル・コンフオーコの第14回コンサートを聴いてきました(動画記録係もやってきました)。

 まず驚いたのは開場前。受付に行列になってお客様が待っているのでした。そして開場になった後しばらく(というか開演までの30分)の間,中ホール内に入ってくるお客様がほとんど絶えなかったことです。奥州市のこの手のコンサートには珍しく,客席の8割方入ったように思いました(実際は定員500人のホールに300人強だから6割くらい)。奥州市の方々が待ち侘びていたことが強く感じられました!!

 プログラムはおおよそ以下の通りでした。
-----
第1ステージ:源田俊一郎編曲《ふるさとの四季》
第2ステージ:アンドレ・カプレ作曲《三声のミサ》からSanctus, Agnus Dei, O Salutaris
第3ステージ:「賛助出演」としてメンネルコールの《鶴》《君は天然色》《山寺のおしょうさん》
第4ステージ:中田喜直作・編曲《7つのフランスの子供の歌》
第5ステージ:メンデルスゾーン作曲:《女性合唱曲集》より8曲
-----

 私も時々指導・指揮をする合唱団なので耳慣れてはいました。しかし今回の演奏は音程が清潔で音質も(以前よりも)揃っていて,ハーモニーも綺麗でした。「無理なことをせず楽譜の通りに音を出せば,あとは曲が音楽を作ってくれる」とよく教わったものでしたが…大事なことを忘れていました。今回あらためて思い出させられました。指揮の佐々木まり子先生の作り出す(目指す)音楽は,さすがプロ!って感じでした。そして自分のアマチュアぶりが恥ずかしくなりました。反省です!そんな感想から,打ち上げでまり子先生と小林道夫先生のレッスンの話に及びました。

 実は,昨日(6/27(火))の盛岡バッハ・カンタータ・フェラインのレッスンもまさにその点が課題でした。BWV10の第1曲。音程もハーモニーも声楽的にも難しいのですが,それでも「無理なことをせず…」,普通に音楽することで音楽が生きることを教えられました。もっとオーセンティックな音楽を目指さなければいけませんね。

 女性合唱団アンサンブル・コンフオーコ,次は10月15日(日)に胆沢文化創造センターで行われる予定の胆江合唱祭に向けて7月からご一緒する予定です。より良い音楽目指して,がんばります。

2023年6月23日金曜日

日本音楽表現学会第21回(平安)大会 in 京都女子大学

  6月17日(土),18日(日)と一泊二日で日本音楽表現学会平安大会に行ってきました。会場は12年前に一度会場となった京都女子大学です。盛岡を7時11分発の新幹線に乗り,東京駅で次々と発車するのぞみ号の自由席に乗り換え,12時半頃に京都駅に着きました(12年前は仙台から夜行バスで行き,帰りは新幹線だったように思います)。

 京女までは2km程度なので(気温30℃と暑かったのですが)鴨川を渡り,三十三間堂の脇を通って歩いていきました。途中に市立芸大(建設工事中)や市立芸工高校などがあり,文化に価値を置き予算を配分している京都市民の方々そして行政の方々の価値観(及び財政の豊かさ)の私たちとの違いを強烈に感じました。たとえば南部鉄器の伝承や職人養成の公立学校があってもいいのに…。

 初日は主に全大会。オープニングの演奏は仏教賛歌!オーケストラと合唱が僧侶とコール安堵レスポンスする祈りの音楽は,初めての体験でした。次の基調講演は京都国立博物館の名誉館長の佐々木承平さんによる「京の美意識」,続くレクチャーはお二人,①オルガニストの小川有紀さんの「明治期,プロテスタントの宣教師が伝えた讃美歌」,②僧侶でもある福本康之さんの「讃美歌の影響を受けた仏教賛歌」。①は初期の学校音楽にスコットランドの物が多いことを,宣教師の系列をたどることで分かりやすく示されていました。②はオープニングの仏教賛歌の成り立ちや今日までの流れについて,これまた初めて知ることばかりでした。
 その後に行われた「サロン」では,札幌の指揮者中村隆夫さん(以前H.リリングの指揮クラスでご一緒),愛教大の国府華子さん(犬童球渓さんのお孫さん),兵庫大の高井翔海さん(E.ゴードンの研究者)と,子どもの表現力のことや日本人の傾向などなどたくさん議論することができました。たまたま夕食もご一緒することとなり,楽しく情報交換できました。ありがとうございました。
 そうそう,「文楽人形とその遣いについて」と題して文楽の公演と解説ふもありました。これもまた初めて見ることができました。

 泊まったホテルは二条城の近く…夜でも暑い京都の町を1時間近くあるいてたどり着きました。

 翌日は①宮本賢二朗さんの「ドイツにおける移民・難民のための音楽活動」,②杉江淑子さんの「子どものための多文化音楽教材(歌集)の開発に向けて」,③昨日の高井さんの「音感とは何か 定義の再考とEdwin E. Gordonによる音感測定テスト」,④尾身敦子さんの「移動ド唱による「アクティブ・リスニング」の提唱 「言葉に拠らない音楽鑑賞」のためのコダーイ・アプローチ」,⑤滝奈々子さんの「先住民社会におけるポピュラー音楽の感性についての考察」,⑥櫻井知子さんの「保育者養成機関における音楽表現の授業のあり方 ミュージックケアの体験を通して」,⑦小畠エマさんの「大人のためのソルフェージュ 教会旋法を使用した移動ド教育」と,様々な発表を聞かせてもらいました。E. ゴードンはもちろんですが,今回は日本において日本音楽の伝承はどうあるべきか,が気になっていたので,関係しそうな発表も聞かせていただきました。たいへん参考になりました。

 昼時間に京都国立博物館をのぞいてみました。閉じている館や階が多く見られるものは少なかったのですが,迫力の仏像や平安時代の巻物など,面白いものがたくさんありました。

 今回は地下鉄に初めて乗りましたし,祇園界隈も初めて歩いてみました。自分の中にインプットしたものが,蓄積され醸成されて様々な場面でつながって出てくるものです。それは意図的でないことが多いのですが,学び(あるいは少し前に流行った「活用」とか)ってそういうものだと感じます。だから学ぶことって楽しいのですね。

2023年6月16日金曜日

【演奏会・聴いてきました】日本フィルハーモニー交響楽団(指揮:海老原光)『白鳥の湖』(2023. 6. 16 Zホール)

 

 昨日,仕事を終えた後,近所のZホール(奥州市文化会館)大ホールで,日本フィルの『白鳥の湖』の抜粋版を聞いてきました。

 「抜粋版」と言ったのは,全部で1時間程度の公演であり,バレエは無く代わりにナレーションがついていたからです。バレエ音楽なのに動きがないのでわかりづらい点をナレーションが補足しながら楽器の紹介なども入れて,オーケストラ音楽に親しみやすいように工夫した日本フィル独自のプログラムのようでした。「ナビゲーターなんていらないのに…」と思って出かけたのでしたが,わかりやすく親しみやすいステージになっていたと思いました。楽しめました!
 もちろん音楽は生が一番!けっこう大きな編成で打楽器バリバリのオケが出す音は,身体にきてとても良い感じでした。

 お客さんは多く,ほぼ満席!嬉しいことです。子供連れも多く,宣伝した甲斐があったなぁと思いました。職場の同僚,オペラや合唱でご一緒した方,文化振興財団関係の方など,奥州市でのお知り合いがいて,お知り合いが増えて嬉しく思いました。

 学校の「音楽の時間」に「観賞」として聴く音楽は,正直言って貧弱です。曲数はもちろん回数・時間も少ないし,再生環境も悪い(教師によっては教室でCDラジカセ使ってオケ曲を聞かせている人も…)ので,地方都市に生オケが来てくれることは本当にありがたいことです。ただし残念なのは,そういう機会をとらえて積極的に脚を運ぶ雰囲気があまりないことです。奥州市でも今後もこういう機会が増えると,クラシック音楽へのハードルが下がって身近な文化になっていくように思います。

 なお,この企画は日本フィルハーモニー交響楽団が「第16回後藤新平賞」を受賞した記念ということで実現したようです。奥州市との関係が今後も長く続くといいなと思いました。

2023年6月14日水曜日

【演奏会・聴いてきました】オペラ『黙示録』(2023. 6. 14 トーサイクラシックホール岩手)

  寺山修司没後40年を記念して,オール盛岡のスタッフでの新作オペラ『黙示録』を岩手県民会館の中ホールで鑑賞してきました。作曲は長谷川恭一さん,音楽監督は小原一穂さん,演出はおおしだまごさん。歌い手は盛岡の皆さんで,一緒に音楽活動をしてきた仲間の方々です。伴奏はピアノと弦楽四重奏でした。

 日本語がとても明瞭に伝わってくる声楽陣,難しい曲を声楽とぴったり合わせる器楽陣,そして照明,衣装,小道具,演出…と,サイズは小さいながらとても丁寧に作り込まれたオペラでした。演劇の街盛岡,音楽の街盛岡,を結集したようなステージでした。

 楽曲が出来上がってから1ヶ月もなかったそうですが,歌い手の皆さんは難しい歌を完璧に覚え(なんと1時間40分の楽曲です!!),アンサンブルし,キャラクターが明瞭に伝わるよう演技し,場面の転換まで迷わず無駄な(集中を欠くような)動きなく舞台を作り上げていました。こういう方々と普段から音楽活動を一緒にできることの素晴らしさを,あらためてかんじました。

 寺山修司の作品のテーマは…難しく感じました。ほとんど読んだことがないからです。でも十分に楽しめました。

2023年6月10日土曜日

【第8回・報告】合唱音楽研究会奥州:求めるもの

  本日(6月10日(日))水沢教会にて,合唱音楽研究会奥州の8回目の活動を行いました。参加された方はおおよそソプラノ16,アルト16,テノール1,バス2でした。

 発声では先日の日本声楽発声学会での学会長である川上勝功(まさのり)さんの発表を参考に,体を管楽器に見立てること,その管をどの音域でも良く鳴らすように息を流すこと…などにチャレンジしましたが,実際に指導にあたってみると自分がよくわかっていないことがよくわかりました。さらに勉強を重ねます!

 その後,まずメンデルスゾーン作曲の賛美歌を日本語で歌うことで,①音符を歌うのではなく息を流すこと,②言葉を生かすためにまとまりを感じて重さの差を作ること,③移動ド唱法への慣れ,④音の理解&記憶のためのいくつかの方法(A機能和声に位置付ける,B音程感覚を覚える(Choruebungen),C絶対音感)を知ること,⑤聴きあってハーモニーを作ることの大切さ,などを体験してもらいました。

 メインは「モツ・レク」の「Lux aeterna」t31以降を,前回に続いて再び取り上げました。Allegroは難しいのでゆっくりとです。第1テーマ,第2テーマ,その他を歌いながら再び確認し,おおよそ歌えたところで「この曲は一応OK」にしようとしたら,なんと,「もっとしっかり歌えるよになりたい!!」という多くの声。そこで休憩を挟んで,楽曲の後ろの方から纏まりごとに全パートについて音を確認しました。そこから1時間,何度も繰り返しながら,やっと納得のいくレベルまで練習できたようでした。

 こうして「一応最後まで見通せた」状態になり,その後は「モツ・レク」後半の最初「Domine Jesu」および「Hostias」にもどって思い出すために歌いました。

 「もっとしっかり歌えるようになりたい!!」いうほとんどの方の希望,これは皆さんが何を求めてここに集まってきているかということを示しているのだと思い,感心しました…というか私は反省しました。【よりよい音楽】という原点を一瞬忘れてしまっていて,楽に楽しめる活動に傾きかけていたのでした。

 次回は7月15日(土)今日と同じく水沢教会で9回目の活動を行う予定です。あと5回くらいで10月15日(日)の「胆江合唱祭」という当会発の本番の機会となります。次回には10分程度のプログラムを確定して,まずはそれらの曲に取り組もうと思っています(今のところは,「Domine Jesu」と Bachの「Jesus bleibet meine Freude」を考えています)。男声の男性をたくさんつれてきてくださいね!!!!

 明日は宮古木曜会合唱団の強化練習です。また発声についてチャレンジしてこようと思っています。

2023年6月7日水曜日

日本声楽発声学会第112回例会

  6月4日の日曜日,日本声楽発声学会の例会に行ってきました。場所は東京上野の東京藝術大学です。盛岡6:10発の始発(いつもの通勤列車)に乗ると9時前には上野に着きます。帰りは上野17:50発だと20:00頃に盛岡駅に着きました。

 Aは研究発表が2つ。学会長でもある川上勝功(まさのり)さんの「発声の基本はIt is easy !!」。息の通り道を「管」と感じて,あとは「筒を鳴らす」感覚,「透明な声」。どんなに高くても胸声が入っていること・どんなに低くても統制が入っていること。咽頭を下げると声帯が薄くなり省エネで鳴らせるようになること…など先日のOコンサーマスターのレッスンのことやら普段の合唱活動で実践していることについて整理していただいた感じでした。
 もう一つは盛岡や山形でご一緒したこともあるバリトン歌手の小森輝彦さんの「歌唱発音の勧め」。声と母音とをあえて分けて考えることで,脳内の処理のことや日本人のメンタリティーの影響などが見えてくるといった説明と,子音のマネジメントの実例による言葉の表現力の違いの聞き比べなどでした。これも先日の学会通信の延長にある話でした。

 Bは特別講演。2時間にわたって「舌の変形による声道形状と共鳴の制御」と題して千葉港号大学の竹本浩典教授の,刺激的な講演でした。舌の構造からリアルタイムMRIによる歌唱時・発音時の声道形状の様子の動画,声帯振動と共鳴による母音生成の仕組み(の模型を使った実演!!)など,知りたかったことをたくさん見せてもらうことができました。

 Cは現役声楽家の演奏とお話で,約1時間,テノール歌手の山本耕平さんの,発音処理に関するお話と,イタリア語,フランス後,ドイツ語,日本語の歌の演奏でした。常に輝かしい音色と明瞭な発音,そしてそのためにどういう点に取り組んで練習しているのかといった話も聞けました。

 一日一杯,咀嚼しきれないくらい「声楽発声」について知り,考え,学ぶ時間となりました。これからの活動に少しでも繋げて活かしていきたいと考えています。

仲間が増えました!

  今週のこと。  5月14日(火)の夜は盛岡バッハ・カンタータ・フェラインの通常練習でした。練習曲はなんと《ヨハネ受難曲》の第2稿! 6月のドイツでのカンタータ演奏 の後の取り組みを見越しての先生からのご提案です。このうち2つの大きな楽曲の「初見大会」の後,日曜日に仙台で行った...