2023年6月23日金曜日

日本音楽表現学会第21回(平安)大会 in 京都女子大学

  6月17日(土),18日(日)と一泊二日で日本音楽表現学会平安大会に行ってきました。会場は12年前に一度会場となった京都女子大学です。盛岡を7時11分発の新幹線に乗り,東京駅で次々と発車するのぞみ号の自由席に乗り換え,12時半頃に京都駅に着きました(12年前は仙台から夜行バスで行き,帰りは新幹線だったように思います)。

 京女までは2km程度なので(気温30℃と暑かったのですが)鴨川を渡り,三十三間堂の脇を通って歩いていきました。途中に市立芸大(建設工事中)や市立芸工高校などがあり,文化に価値を置き予算を配分している京都市民の方々そして行政の方々の価値観(及び財政の豊かさ)の私たちとの違いを強烈に感じました。たとえば南部鉄器の伝承や職人養成の公立学校があってもいいのに…。

 初日は主に全大会。オープニングの演奏は仏教賛歌!オーケストラと合唱が僧侶とコール安堵レスポンスする祈りの音楽は,初めての体験でした。次の基調講演は京都国立博物館の名誉館長の佐々木承平さんによる「京の美意識」,続くレクチャーはお二人,①オルガニストの小川有紀さんの「明治期,プロテスタントの宣教師が伝えた讃美歌」,②僧侶でもある福本康之さんの「讃美歌の影響を受けた仏教賛歌」。①は初期の学校音楽にスコットランドの物が多いことを,宣教師の系列をたどることで分かりやすく示されていました。②はオープニングの仏教賛歌の成り立ちや今日までの流れについて,これまた初めて知ることばかりでした。
 その後に行われた「サロン」では,札幌の指揮者中村隆夫さん(以前H.リリングの指揮クラスでご一緒),愛教大の国府華子さん(犬童球渓さんのお孫さん),兵庫大の高井翔海さん(E.ゴードンの研究者)と,子どもの表現力のことや日本人の傾向などなどたくさん議論することができました。たまたま夕食もご一緒することとなり,楽しく情報交換できました。ありがとうございました。
 そうそう,「文楽人形とその遣いについて」と題して文楽の公演と解説ふもありました。これもまた初めて見ることができました。

 泊まったホテルは二条城の近く…夜でも暑い京都の町を1時間近くあるいてたどり着きました。

 翌日は①宮本賢二朗さんの「ドイツにおける移民・難民のための音楽活動」,②杉江淑子さんの「子どものための多文化音楽教材(歌集)の開発に向けて」,③昨日の高井さんの「音感とは何か 定義の再考とEdwin E. Gordonによる音感測定テスト」,④尾身敦子さんの「移動ド唱による「アクティブ・リスニング」の提唱 「言葉に拠らない音楽鑑賞」のためのコダーイ・アプローチ」,⑤滝奈々子さんの「先住民社会におけるポピュラー音楽の感性についての考察」,⑥櫻井知子さんの「保育者養成機関における音楽表現の授業のあり方 ミュージックケアの体験を通して」,⑦小畠エマさんの「大人のためのソルフェージュ 教会旋法を使用した移動ド教育」と,様々な発表を聞かせてもらいました。E. ゴードンはもちろんですが,今回は日本において日本音楽の伝承はどうあるべきか,が気になっていたので,関係しそうな発表も聞かせていただきました。たいへん参考になりました。

 昼時間に京都国立博物館をのぞいてみました。閉じている館や階が多く見られるものは少なかったのですが,迫力の仏像や平安時代の巻物など,面白いものがたくさんありました。

 今回は地下鉄に初めて乗りましたし,祇園界隈も初めて歩いてみました。自分の中にインプットしたものが,蓄積され醸成されて様々な場面でつながって出てくるものです。それは意図的でないことが多いのですが,学び(あるいは少し前に流行った「活用」とか)ってそういうものだと感じます。だから学ぶことって楽しいのですね。

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