2026年8月25日火曜日

【日本声楽発声学会・夏季研修会】様々な視点が得られました


 8月23日(日)に東京上野の東京藝術大学で開催された日本声楽発声学会の2026夏季研修会(プログラムはこちら)に参加してきました。かつては東京新宿区大久保の日本福音ルーテル東京教会で2日間開催されていました(2023年の様子はこちら)が,今回は1日での開催でした。しかし多様な内容で,自分の音楽活動への様々な視点が得られました。

 A講座は「日本の作曲家シリーズXIV」で三宅悠太さんによる「W. A. Mozart《Ave verum corpus》の芸術性と演奏研究ー作曲の視点からー」と題した講演でした。三宅悠太さんといえば先日某小学校合唱クラブで指導した《どっきん せみさん》の作曲者でもあります。短いながら美しい作品として知られる《Ave verum corpus》を作曲技法の観点から分析し,「だからこう演奏するのもいいのではないか」と演奏法の提案までされていました。作曲についてよく知らない私などは,残された作品はア・プリオリなものとして受け取ってしまうのですが,三宅さんによると「こういう書方が当時は普通だったと思う」とピアノで弾いたり参加者に歌わせたりして経験させ,それとの比較で「でもモーツアルトはこのように書いている!普通はそうは書けない。その意味は…」と旋律の運び方,和音の選択,和音の進め方などなどをテキストとも関連させながら取り上げて説明してくれました。「なるほど,自分が取組んでいる作品でも見直してみよう。」と思ったもののその基本となる和声分析が覚束なく,敢なく断念しました。でも(理解できなくても)感じ取るヒントは得られたように思いました。


 B講座は「音声生理学講座」で高橋純竹田数章さんの「声を『見る』ための音声学・音声生理・音響分析入門」と題した講演でした。音声生理学の復習から音響分析の実演まで幅広く扱っていたので,多くのことの再確認もできました。またその場でスペクトログラムによる音色の解析まで見ることができました。3000Hz前後のシンガーズフォルマントの様子や母音の違いによる周波数特性の違いなど,とてもよくわかりました。

 C講座は特別講演で垣内大樹さんによる「Plant Music」の実演や体験でした。植物内に生じる電位差をトリガーとしてMIDI信号を作成する「植物音楽デバイス」を使って,任意に生成されるMIDI音を音楽ととらえてそれとセッションする,といった感じでしょうか。植物から生成されるMIDI音は音高も強さも長さも全くランダムなので,聞いているとなぜかゆったりとした気分になりました。「キー」はなんとなくあるものの「調性」のようなものはないので,自分の声の音高などを気にすることなく身体から発してセッションすることができました。心地よい体験でした。


 16:40に研修会を終えて向かったのは武蔵小山,目黒の少し西の方です。その商店街アーケードの一角で先日盛岡でコンサートを開催した明和電機による「明和電機 おもちゃができるまで展(ナンセンス発想からものづくり)」を見てきました。コンセプトのノートを手にとって見ることで思考の変遷をたどることができたり,楽器のデモンストレーションを鳴らすには別売りのカードを買う必要があるなど明和電機らしい設定もありました。社長によるサイン会も奥の方で行われており,子どもたちが列をなしていました。会場を視察にきた社長とほんの一言交わすこともできました!

 数日前に知人と「(水沢から見た仙台とか,宮古から見た盛岡とか)都会には文化的なものがたくさんあるね。」と話していたのですが,東京には本当にたくさんの文化的・刺激的なものがあるとあらためて感じました。

2026年8月23日日曜日

【ZホールSP合唱団燻銀08】身体という楽器をよく鳴らして歌いましょう!

 8月22日(土),午前中に合唱音楽研究会奥州の活動を行った午後,奥州市のZホールでZホールスペシャル合唱団の練習がありました。今回は8回目,初めてリハーサル室で練習しました。

 前回は《春・花》と《夏・城ヶ島の雨》を取り上げたので,今回は2周目の後半《秋・村祭り》と《冬・ペチカ》に取り上げました。まずは《秋・村祭り》からです。一度聞かせてもらったものの,お祭りの威勢の良さを表現するには声が貧弱でした。そこでコーダ部の「ドンドンヒャララ…」を使って腹から声を出すことを徹底しました。そうしてから最後の歌詞の部分でやっとハーモニーが聞こえてくるようになりました。次に3番,2番ともどってきてはや一時間が経ち休憩をとりました。後半は続きの1番を,これまで同様に身体を使って歌う練習から始めました。

 次に《冬・ペチカ》を練習しました。合唱冒頭のハミングで積み重なってくるところから練習しました。ハミングの後すぐに「A-」と1小節間歌うのですが,どうもイメージが定まりません。「ハミングの積み重なりは冬の夜に静かに深々と降る雪の重苦しさ」,直後の「A-は家の明かり・家の中の暖かさにホッとするイメージ」と伝え,なんとか共有できたように思いました。難しいものです。続いて中間部の4パートが皆そろうところなのですが,この合唱団はソプラノの人数が矢鱈に多く,アルトとバランスが取れません。聞いてみると案の定アルトを聞いていないことがわかりました。そこでアルトを聴き,かつコンパクトに歌うことをお願いしました。アンサンブルの基本は聞き合うことです。基本を大切にすれば,合唱をどう仕上げるかが自ずと見えてきます。加えて,2名だけだったテノールですが真正面から逃げずにチャレンジを重ねたので,正しくしっかりと歌えるようになりました!

 次回はふたたび1曲目の《春・花》にもどって,繰り返し歌って評価しながらヴァイオリンとセッションする際の合唱のポイントを育てたい…などとハイレベルを求める前に,【合唱の基礎】を身体で覚えてもらおうと思っています。この合唱団に最も必要なものは身体という楽器をよく鳴らして歌うことだと感じています。来年のオペラにもつながることですし,他の合唱団で合唱を楽しむ際にも必要なことですから,身体に染み込ませて常識のレベルを上げていきたいと思いました。あと4回やったら前日リハを迎えます。プロのヴァイオリンと対等にアンサンブルできる合唱団に育てていかなければと思いました。

【合唱音楽研究会奥州75】岩谷堂地区センターは良い響き!

 8月22日(土)の午前中9:30〜12:00に奥州市の岩谷堂地区センター多目的ホールで75回目となる合唱音楽研究会奥州の活動を行いました。岩谷堂地区センターは比較的新しい施設で,「ささらホール」のすぐ隣にあります。今回初めて多目的ホールを活動場所にしてみました。

 今回はピアノ伴奏の千田絵未さんがお休みなので,全編無伴奏での取組みとなりました。初めに《紅葉・冬景色》から始めました。というのは,いつもこれら日本語の曲を後に回すと疲れからか音下がりがひどくなるからです。で今回はというと…やはり初めは下がりました。でも指摘してしつこく取組むうちに改善され気にならなくなりました!また,雑にというか音楽や歌詞へのイメージを明確にしないまま声だけ出すようにして歌っていることが多かったので,丁寧に音楽するように練習しました。

 つづいて《Furusato》でした。テノールの主旋律の歌い方の改善が最重要課題でしたが,まずは3番の皆で歌詞で歌うところから取り上げました。テノールだけではなくどのパートにも共通する課題だと感じたからです。その後2番,1番と前に戻ってくる頃には,テノールの歌い方も安定していました。

 その後《Kyrie》に取組みました。ソリストを紹介し,その方々には最前列に来ていただいて練習しました。ソロを取り上げて2回目になります。どの方も自分の歌にしっかりと向き合ってチャレンジしてくれました。少しずつ歌い慣れてきたようです。

 最後に《Gloria》のソロを入れて1回だけ歌いました。時々歌わないと忘れてしまいますから。ソロの方も初挑戦ながら堂々と歌っていました。

 次回は9月6日(日)14:00〜17:00常盤地区センターですが,なんとアルトの皆さんは早く集まってパート練習をするとのこと!その意欲に刺激されます!9月27日(日)の胆江合唱祭に向けてさらに良い演奏を目指しましょう!

2026年8月20日木曜日

【宮古高校音楽部】素直で意欲的な学びで変わる音楽

 8月19日(水)の午後,宮古高校音楽部のレッスンに行ってきました。同部の外部コーチとしてここ数年,1年に1,2回夏におこなっています。2025年はパレストリーナとメンデルスゾーンという外国語の楽曲(1回目)(2回目)2024年は黒人霊歌と邦人曲でした。

 今回は週末の文化祭に向けた準備で忙しそうな学校の校舎の音楽室で行いました。校舎に着くと,いつも通り生徒さんの代表の子が玄関に立って待っていてくれました。

 今回の楽曲は全日本合唱コンクールに向けた3曲で,課題曲がG4《河》(詩:石原吉郎,曲:福丸光詩),自由曲がBob Chilcott編曲の《Sunayama》と《Mura Matsuri》です。ソプラノ2名,アルト3名,テノール2名,バス3名と,計10名ながらしっかりとした混声合唱に生徒さんによる充実したピアノ伴奏が付きます。羨ましい環境です!

 はじめに3曲を通して聴かせてもらいました。皆暗譜で指揮の先生に集中し一人ひとりがしっかりと声を出して歌っていました。歌詞も音楽も難しい《河》でも感情を込めて歌っているのがわかりました。ですから解釈や表現の意欲についてはそれほど問題ありません。むしろ表現するための「素材」となる声,つまり楽器としての身体の使い方が気になりました。

 いずれも日本語の楽曲ですが,懸命に言葉を喋ろうとしたり大きな音で伝えようとしたりするあまり,身体が堅くなってしまって音楽がでこぼこしていました。そこでまず「楽器作り」の大切さを伝えた上で,①響きの部屋の確保(喉を開く筋肉の自覚),②腹から息を送れば楽器は鳴るという感覚(胸郭を締め付けない),③楽器の保持(母音が変わっても,音高が変わっても「楽器の形を変えない」)ことを,《Sunayama》の主旋律を使ってチャレンジさせました。

 心を込めて一生懸命に歌ってきたのに,急に「力を抜け」だの「お腹を使え」だの「楽器の形を変えない」だのと言われ,おそらく抵抗感があったことと思います。でも「今のはダメ」「今のは良し」といったしつこい評価に耐えながらもチャレンジを繰り返し,自分たちの音が変わっていくことを自覚してくれたようでした。自分を変えていくことを怖がらずアドバイスを素直に受入れ,より良くなっていこうという意欲に溢れる10名でした。

 全日本合唱コンクール岩手県大会の高等学校部門は来週末の8月29日(土)です。出演順や時間も決まり,全22団体中宮古高校音楽部は17番目のようです。私の出番より前なので聴くことは叶わないと思いますが,良い音楽を,そしてそれを目指す姿を聴き手に届けて欲しいと思います。お時間のある方はトーサイクラシックホール岩手(岩手県民会館)大ホールに足をお運びになり,若者たちの音楽を聴きにいらしてください!!

2026年8月10日月曜日

【ZホールSP合唱団燻銀07】いよいよ本格的な音楽づくり

 8月9日(日)の午後,奥州市文化会館Zホールで,Zホールスペシャル合唱団の練習をしてきました。前前回までの5回で音とりをほぼ終え,前回は本番のピアニストの平沢先生と合わせる機会を得ました。今回からいよいよ本格的な音楽づくりです。

 2クール目となります。初めに《春・花》から扱いました。この合唱団は普段からそして長く一緒に歌ってきているわけではないので,発声の仕方も音楽の捉え方もまちまちです。それが声や音楽に現れているようで,どうもまとまった音楽になりません。そこで今回から合唱団としての音楽のまとまりを目指そうと考えました。そうしないとスペシャリストによる1本のヴァイオリン&ピアノとの合同演奏で,それを邪魔する音の塊となりかねないと思ったからです。


 《春・花》の主旋律は多くの方が知っているので,主旋律を使って発声や音楽性を整えてみることにしました。具体的には,歌詞唱では母音や音域によってでこぼこして不安定な旋律をなるべくそろえようと,まずは徹底的に母音唱をしました。「ア」ではまず明るくよく響かせるとともに下行の跳躍進行でも響きを落とさないようすること,「イ」では浅くならないようにしながら前の響きを保つこと,そして「ウ」,「エ」,「オ」と同じ旋律を何度も歌って確かめました。その後各パートに別れて同様に母音唱しながら,細部のハーモニーを確かめてきちんとハモらせながら歌うことに取り組んだり,「アイ」でランダムに歌いながら響きを落とさないで歌うということを意識したりしました。

 《夏・城ケ島の雨》も少しの時間取り組みました。こちらは基本的なリズムの悪さを修正したり,旋律での息を身体を使って運ぶ練習をしましたが,途中で時間切となりました。次回8月22日(土)は《夏・城ケ島の雨》から取り組む予定です。

 この日は今度のコンサートのチラシが配布され,先行販売が開始されました。11月21日(土)に行われる本番は席が少なめな中ホールですので,ぜひとも早めにチケットを入手されるようお願いいたします。また,来年7月11日に公演予定のオペラ《トゥーランドット》の合唱団員の再募集も始まりました。興味のあるかたはぜひご参加ください。お待ちしています。

 それから,この日はこのスペシャル合唱団初の懇親会が行われました。特設の合唱団なのでお互いどんな方なのかわからないという人が多く,それは一緒に音楽する上でマイナスだと考えたからです。参加者は少なめではありましたが,練習時に顔は見たことがあっても名前が覚束なかった方の合唱経験や参加の動機,参加しての感想などを知ることができ,とても有意義だったと感じています。幹事を買って出てくれたKさん,ありがとうございました!

【合唱音楽研究会奥州74】初のソロ体験!

 令和8年8月8日(土)の午後(ものすごい雨と雷でしたね。奥州市の一部では道路の冠水もあったとか…),奥州市の水沢南地区センターで合唱音楽研究会奥州の74回目となる活動を行いました。前回(第73回)は水沢教会で「声の響きが豊かになったのは会場のおかげ?」などと考えたりしながら,でもしっかりと声を出して歌うことに慣れてもらったのでした。その時に希望してもらったモーツアルトのミサ曲KV259のソロについて,今回はいよいよチャレンジを始める回でした。

 発声の後,《Kyrie》のソロを希望した方には最前列に移動していただき,立って歌っていただきました。ピアノなしの1回目の通しの際は,ソロの所になると不安気な空気が漂い,調が怪しくなることもありました。しかし,部分を取り上げて合唱を練習したりソロに繋げたりと繰り返すうちに,ソリストの声がだんだん明瞭になってきました。途中からピアノ伴奏者の八木絵未さんがいらっしゃったので伴奏を弾いていただきました。するとソロの方も安心して声を出せるようになったようで,さらに安定して歌えるようになりました。同時に合唱の部分も音楽がシャキッとしてきました。予想以上の出来でした。続くソロなしの《Sanctus》では音楽の繰り返しと変化の構造を理解していただきながら表現を工夫しました。

 次に《紅葉・冬景色》に取り組みました。先に《冬景色》を使って「薄い声」での歌唱表現にチャレンジしました。身体をしっかりと使って「薄い声」を出すのはとても難しいのですが,冬の朝の感じ(?)の音楽に近いたように思います。残念なのは,なぜかこれらの楽曲の際の音のとり方が低めなのです。「ピアノが聞こえていないのか?でもモーツアルトではそうでもなかったし?…」と考えると,もしかすると知っている旋律なので,旋律全体として大ざっぱに歌っていて,音高吟味の精度が下がっているのではないかと思いました。このあたりは次回の課題かと思っています。

 最後にチルコット編曲の無伴奏《Furusato》(こちらは不思議なことに音が下がりませんでした)。主旋律を歌うパート・ソロをまず吟味しました。ふるさとを遠く離れた場所でふるさとを思い出しながら言葉を紡ぐ歌にしたかったからです。よく健闘してもらいましたが,まだまだ。(これもまた)次回の課題としました。

 9月27日の胆江合唱祭まではあと3回です(8/22(土)午前,9/6(日)午後,9/26(土)午後)。ソロへのチャレンジを通して,より充実した響きをめざしていきたいと思います。なお,ソロの分担について2回目の希望をとりほぼ埋まりました。次回までにまとめてご連絡しようと思っています。

2026年8月7日金曜日

【宮古木曜会合唱団】ピアノ伴奏は音楽のイメージを与えてくれます!

 8月6日(木)の夜,宮古木曜会合唱団の通常練習に行ってきました。この日の宮古は盛岡よりも最高気温が高く33度もあったようで,夕方になってもモワッとした暑さが残っていました。

 発声練習では横隔膜を意識してもらうために,①胸郭広げ(=横隔膜広げ),②鳩尾押し返し,③押し返しながら呼気,④その呼気で発音などにチャレンジしてもらいました。盛岡某高音楽部の子どもたちはこれでだいぶ変わってきたので期待したのですが,やはり1回やったくらいでは身につきません。継続して取り組みたいと思いました。

 久しぶりに高校生の作曲作品を練習しました。まずは《僕らの歌》と《秘密の海》の復習から始めました。発声練習で身体の鳴りを少しつかみ始めたので,実際に楽曲の中で使えるようにと,「アー」で歌いながらハモりや溶け合いをめざしました。最後に新曲の《繋がり》を,全パートを全員で階名唱しながら音とりし,最後に1回だけ歌詞で歌いました。

 この日は練習のピアノ伴奏を希望してくださった宮古在住の大久保和歌子先生が来てくださいました。かつて(第30回から第33回までの定期演奏会)宮古木曜会合唱団で一緒に歌ったりピアノ伴奏をしていただいたりした先生です。高校生の作曲作品は音源などがないので,ピアノ伴奏がないと楽曲のイメージをもちづらかったのですが,今回伴奏を入れていただいたのでだいぶイメージがつかめたように思いました。有難いことです!!(ただし,山口公民館のピアノの調律が…)

 次回は1ヶ月以上先の9月12日(土)の午後,その次は9月24日(木)の通常練習となります。今回の音楽的なイメージが失われないことを願っています。

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