8月23日(日)に東京上野の東京藝術大学で開催された日本声楽発声学会の2026夏季研修会(プログラムはこちら)に参加してきました。かつては東京新宿区大久保の日本福音ルーテル東京教会で2日間開催されていました(2023年の様子はこちら)が,今回は1日での開催でした。しかし多様な内容で,自分の音楽活動への様々な視点が得られました。
A講座は「日本の作曲家シリーズXIV」で三宅悠太さんによる「W. A. Mozart《Ave verum corpus》の芸術性と演奏研究ー作曲の視点からー」と題した講演でした。三宅悠太さんといえば先日某小学校合唱クラブで指導した《どっきん せみさん》の作曲者でもあります。短いながら美しい作品として知られる《Ave verum corpus》を作曲技法の観点から分析し,「だからこう演奏するのもいいのではないか」と演奏法の提案までされていました。作曲についてよく知らない私などは,残された作品はア・プリオリなものとして受け取ってしまうのですが,三宅さんによると「こういう書方が当時は普通だったと思う」とピアノで弾いたり参加者に歌わせたりして経験させ,それとの比較で「でもモーツアルトはこのように書いている!普通はそうは書けない。その意味は…」と旋律の運び方,和音の選択,和音の進め方などなどをテキストとも関連させながら取り上げて説明してくれました。「なるほど,自分が取組んでいる作品でも見直してみよう。」と思ったもののその基本となる和声分析が覚束なく,敢なく断念しました。でも(理解できなくても)感じ取るヒントは得られたように思いました。
B講座は「音声生理学講座」で高橋純・竹田数章さんの「声を『見る』ための音声学・音声生理・音響分析入門」と題した講演でした。音声生理学の復習から音響分析の実演まで幅広く扱っていたので,多くのことの再確認もできました。またその場でスペクトログラムによる音色の解析まで見ることができました。3000Hz前後のシンガーズフォルマントの様子や母音の違いによる周波数特性の違いなど,とてもよくわかりました。
C講座は特別講演で垣内大樹さんによる「Plant Music」の実演や体験でした。植物内に生じる電位差をトリガーとしてMIDI信号を作成する「植物音楽デバイス」を使って,任意に生成されるMIDI音を音楽ととらえてそれとセッションする,といった感じでしょうか。植物から生成されるMIDI音は音高も強さも長さも全くランダムなので,聞いているとなぜかゆったりとした気分になりました。「キー」はなんとなくあるものの「調性」のようなものはないので,自分の声の音高などを気にすることなく身体から発してセッションすることができました。心地よい体験でした。
16:40に研修会を終えて向かったのは武蔵小山,目黒の少し西の方です。その商店街アーケードの一角で先日盛岡でコンサートを開催した明和電機による「明和電機 おもちゃができるまで展(ナンセンス発想からものづくり)」を見てきました。コンセプトのノートを手にとって見ることで思考の変遷をたどることができたり,楽器のデモンストレーションを鳴らすには別売りのカードを買う必要があるなど明和電機らしい設定もありました。社長によるサイン会も奥の方で行われており,子どもたちが列をなしていました。会場を視察にきた社長とほんの一言交わすこともできました!
数日前に知人と「(水沢から見た仙台とか,宮古から見た盛岡とか)都会には文化的なものがたくさんあるね。」と話していたのですが,東京には本当にたくさんの文化的・刺激的なものがあるとあらためて感じました。









