10月5日(月)の午後,宮古市立田老第一小学校に教育弘済会岩手支部が主催する「日教弘いわて出前講座」に授業をしに行ってきました。先日の花巻の小学校に続く2回目で本年度最後でした。対象は2,3,4年生計20名で場所は音楽室。なんと宮古市教育研究協議会音楽教育研究会および宮古地区音楽研究会の合同研修会という設定で,小学校のみならず中学校の先生方も合わせて20名ほどが参観している中での授業でした。
例によって始めに聞かせてもらいました。今回の楽曲は《友だちはいいもんだ》(岩谷時子作詞,三木たかし作曲)の2部合唱です。小柄で目をくりくりさせている2年生から比較的身体の大きい4年生までが担任の先生の指揮で歌ってくれました。参観の先生方と距離が近く正対しているための緊張からか,歌だけでなく身体も気持ちもあまり開放された感じがありませんでした。
そこで「今日のこの時間は何をやりたい?」と(今回は忘れず)問いかけると,「練習したい。」と観点があまりはっきりしない返答でした。そこで「何を練習したいの?どうなりたいの?」と問い返してしばらく待ちました。するとやっと「口を大きく開けて歌いたい。」「良い声で歌いたい。」「低音部がつられないで歌えるようになりたい。」という3点が出てきたのでこの3つをこの時間の目標として確認しました。
まずは気持ちを開放することからと考え,そのためには大きな声を出させることが手っ取り早いと思いました。そこでまずは二部合唱にせず主旋律を斉唱しながら(これもまた例によって)調を上げていって身体を使わせることをねらいました。元はAs-durなのですが,これをB-dur,そしてC-durまで上げました。すると最高音はg音になるのですが,子どもたちは上の声を上手に使って正しい音高でしかも大きな声で歌うようになりました。そこで大いに褒めながら,①息をたくさん吸って歌っていたこと,②お腹に力を入れて歌っていたこと,を確認しました。ここで「良い声で歌いたい」の目標は現段階でほぼクリア!ただしそこから元の調へと下がってきた時に十分にコントロールできなかったので,そこは「(ピアノやまわりの声を)よく聞くこと」が大事と確認し丁寧に歌わせて修正しました。
もう一つの目標は「低音部がつられないで歌えるようになる」ことでした。そこで全員で低音部をおさらいすることを提案しました。「高音部なのになぜ低音部も歌うの?」とのつぶやきも聞こえたので,「一緒に一つのことをやろうとしたら両方わかってないと合わせられないんだよ。劇をやるときも自分の台詞だけ覚えているだけじゃなく,相手の台詞も覚えてないとだめでしょう。おんなじ。」と説明して,皆で低音部を繰り返しました。その後,高音部の人数を少しずつ増やして二部合唱の響きに持ち込もうと思ったのですが…時間切になってしまいました。でも低音部を担当する4年生が上の声で低音部を歌えるようになったので,そこは一つの達成点として確認しました。
子どもたちはもっとうまくなりたかったような反応でした。力不足でした。でも1時間での変容はとても大かったと思います。もしかすると子どもたちは使えるようになった声で二部合唱したいという願いが生まれ,それに届かなかったことを残念がっていたのかもしれないとも思いました。
終了後は集まった先生方からの質問コーナーとなりました。指揮をした先生からは「声が変わった。上と下を別々に歌ってきていた。2,3年生には難しいと思ったけれどついてきていた。聴かせることの指導もやっていた。…」など感想をいただき,質問としては「口を開けるようにする指導法は?声量アップの指導法は?」と問われました。私は逆にそうする理由を考えてもらいました。「子どもにとっての必要性は何か?」というのは,子どもは必要だと思ったら自分から力を発揮するからです。口を開けてあるいは声を大にして少しでも聴き手に伝えたくなるように感じさせることがポイントですね。また他の先生方からもいくつか質問が出されました。小学校の先生方は音楽の指導にいろいろと悩んでいらっしゃる様子がうかがわれました。発声の仕組みのこと,音楽会の選曲のこと,身体の使い方を「教える」方法,二部合唱でつられないようにする指導法…などなど。私なりの(学習観も含めた)考えややってきたことをお伝えすることができ,私にとっても貴重な機会になったと感じました。
こうやって学び会う機会は本当に貴重(特に音楽は生ものですから)なのですが,なかなか時間がとれないものです。今回の研修会でのヒントを少しでも授業に生かして11月6日(金)の宮古市連合音楽会での演奏につなげることで,子どもたちによりよい音楽経験をさせて欲しいと思いました。楽しみにしています。



