1月11日(木),12:00から仕事のお休みをもらって,久しぶりに明るい時間,そしてとてもよい天候の下,奥州市から宮古市に向かいました。途中,大きな産直である江刺ふるさと市場の食堂で昼食をとり,いつも通る夕方は閉まっている米粉パンのおいしい米こやマルシェでお土産パンを買い,遠野のBREW NOTE 遠野の知人を初めて訪ねたが平日はお休みのため会えず,名前は知っていたけれど行ったことがなかった遠野ふるさと村に行きながら青空に映える白い早池峰山を眺め,1月なのに道が乾いて走りやすい立丸峠を通って川井に入り,時間潰しにと思ってシートピアなあどに寄ったら安くて美味しそうなパンが見えてしまったので購入し,15:55に某M高校に到着しました。冬休みの小旅行のような気分でした。
某M高校音楽部
16:00から18:00の予定でレッスンを始めました。「今回は初め30分くらい,体操や発声を教えてください」と顧問の先生からの(急な)リクエストがあったので,「からだほぐしの運動は普段はどんなことをやっているの?」と問いかけ対話しながらスタートできました。2回目のせいかお返事も少しずつ聞こえるようになり,前回の反省点を幾分かクリアできたかな,という雰囲気になってきました。
からだほぐしの運動をしながら,身体の仕組みや使い方やその目的などを考えさせました。授業も同様ですが「練習」はとかくルーティーン,つまり「○○をする」と【すること】は明確でも「○○のためにやる」というその【目的】を見失いがちになってしまいます。つまり目的が同じなら手段は違っても構わない,というレベルでいつも取り組んでいけるといいのですが…。主に下のようなことを伝えました。
・身体の中は見えない。だから外に出てきたこと(身体の動きや息や声など)をサインとして見取って,身体の内部の状況を解釈する。
・そのためには,身体の内部の仕組みが分かってないといけない。
・発音(声が出ること)は物理的な現象。だから物理的な対応で声は変化する。
・横隔膜は感情を息(声)に反映する器官。だから自由にしなやかに動けるようにしておく。
・身体の中を「開く」と響きが変わる。響きが豊かになる。
・その「響き」が「声の溶け合い」を生み出す。基音の音程の正確さだけではない。
・その人の身体から出るその人なりの声をより豊かにする。その声を聴きたい。
・声門下部の空間だけでなく,声門上部の空間の響きも大切。そのために「パイプ」を太く保つ。
1時間くらいやった後,楽曲を聴かせてもらいました。でも,この1時間でやったことがほぼ生かされていなかったので,「音声奏」(今考えたネーミングです)で,主旋律を歌いながら,身体と声を繋いでいきました。ポリフォニックな楽曲でしたから,主旋律の理解,主旋律の表現欲求は不可欠です。しかし意外に覚えていなかったので「この手の曲は主旋律を生かすために副旋律があるんだよ。主役に関係なく脇役が演技したら一つにならないでしょう。」と伝えました。そのうち身体の開きを活かした音が出てくるようになり,3パートの音が溶け合う響きが時々聞こえるようになってきました。特に男声(1人)の響きが豊かになり,全体の支えらしくなりました。
学級やサークルなど皆でなにかに取り組むとき,「皆が同じ考え」で取り組む(①)より,「それぞれ違う考え」だけど合意できるところを見つけて取り組む(②)ほうが楽しく豊かな時間となると感じています。①だとそれ以上に広がる可能性がありません。ゴールの100に向かって,ベースも100だからです。でも②なら各自がもつ「周辺」を相互にヒントにしながら豊かに広がっていく可能性があるります。ゴールの100を支えるベースが「人数×100」もあるからです。音楽も同じで,「皆が同じ声」(①)では痩せこけた音楽になります。②のようにそれぞれの人がその人なりの魅力(声)を発揮して合わせることで豊かな響き合いが生まれます。「同質性より多様性」とでも言いますか…。まずは「合唱」というものについてこのように考え方,感覚,価値観を変えることが大切だと思います(特に,コンクールの世界しか知らない方々・高校生など)。
宮古木曜会
その後19:00から宮古木曜会合唱団のレッスンに行きました。高校生のために身体を使ってやってみせていたので,身体的にもくたくたでした。
3月17日の本番まであと2ヶ月。でも始まり時点で半分くらいしかいません(0人のパートも)。加えて,発声を終えて歌い始めても他の作業をやっている人がいるという状況,とても残念でした。「私が120kmを2時間かけて宮古に来る(そして雪道を100km運転して夜10時半頃に帰宅する)意味あるのかな?」と思っています。だって私ができる練習は1月28日(日)…この日は主にピアニストと3ステージ分の合わせ,2月8日(木)…2時間のみ,2月18日(日)…この日もピアニストと3ステージ分の合わせ,3月7日(木),と4回しか無いのですから!
ピアノ伴奏がなると合唱が聞こえないのです!「身体から出る響きが足りない ← パイプが細い&息の流しが少ない ← 身体を使っていない」ということです。使い方を知らないわけではありません(毎回やっていますから!)。でも身体を使って音・声を出す,歌うという【意識】がなかなか身につきません。
毎年の定期演奏会を楽しみにいらっしゃる方々に満足して帰っていただくために,私はどうやったら皆さんの魅力を引き出すことができるのか?大きな課題です。