2024年12月8日日曜日

【合唱研第34回:活動報告】新曲へのアプローチ

  12月7日(土)の午後,奥州市の日本基督教団水沢教会にて合唱音楽研究会奥州の34回目となる活動を行いました。おおよそソプラノが15,アルトは8,テノール2名,バス2名のご参加でした。

 この日は新しい曲2つに手を付ける予定で始めました。まずは≪ぜんぶ≫(さくらももこ詩,相澤直人作曲)です。会員の中から「日本語をやったらどんな風になるのでしょう?」という声がだいぶ前にあり,いくつか日本語の希望曲が挙げられた中から,3つの混声版が手元にあったので①比較してみることができそうなこと,②音とりが簡易な版があり取り掛かりやすそうだったこと,から選びました。この日扱ったのは混声3部版です。

 新曲へのアプローチには大きく,A音楽から始める方法,Bテキストから始める方法,があると考えています(おそらく作り手の意図を探る視点の持ち方の違いなのかも知れません)。今回はAで導入してみました。詩を読んで音楽を想像してから音符に当たる,といった流れです。作曲家は詩を読んで「合唱曲にしたい」と思って,言葉を選びながら付曲したと思うので,その過程をなぞってみる流れです。3つの声部をそれぞれ音に出し(基本は移動ド唱法)ながら歌詞を乗せ,とりあえずの合唱にしてみました。表現を詳しく考えるのは次回です。

 続いてRutterの2曲を簡単に復習しました(と思ったら意外に時間がかかってしまいまいました)。

 最後にパレストリーナのミサ・ブレヴィスの≪Credo≫です。今回はテキストの1フレーズずつ,【読みを知る】→【意味を知る】→【読みを練習する】→【階名等で(全パートの)旋律確認する】→【しだいに歌詞をつけて歌う】といった流れにしてみました。特にラテン語の【意味を知る】時には覚えやすいように関連する外来語を例に出しながら意味記憶の促進をはかりました(宮古木曜会合唱団でやったように!)。この方法はうまくいき,短時間で(冒頭部分だけですが)ラテン語で歌うことができました。一文程度ずつに短く区切ったのも,記憶しやすい原因となったのだと思います。

 次回の第35回は今年最後の活動で12月22日(日)龍昇殿です(お間違えの無いように)。≪Credo≫の先へ先へと進みたいと思っています。

2024年12月6日金曜日

【演奏会・聴いてきました】歌芝居『セロ弾きのゴーシュ』バトンパス・コンサート④

 

 12月6日(金)の19:00から,盛岡今シーズン初積雪の中を歩いて,トーサイクラシックホール岩手(岩手県民会館)の中ホールに,歌芝居『セロ弾きのゴーシュ』を見に,聴きにいってきました。「バトンパス・コンサート」というシリーズで,9月上旬からこの日まで計4つのコンサートが,筋の通ったテーマのもとで行われたようです。残念ながら日程が合わず,3つのコンサートには行くことができませんでしたが。中ホールは8割以上の入り。仕掛け人は長谷川恭一さん。盛岡在住の税理士さんながら作曲家でもあり鍵盤奏者でもあります。

 歌芝居『セロ弾きのゴーシュ』のステージは,下手にピアノとチェロとフルートが常にいて,その後方にパーカッションが置いてあり,舞台の上手側四分の三を使って演じられました。歌い手のほとんどは普段一緒に音楽している仲間だったり先輩だったりする方々,セミプロの歌手たちです。アンサンブルがとても整っていて,言葉もよく聞こえてきました(PAも上手に使っているようでしたが)。演技が素晴らしい!みなさん役者で,それぞれ役を上手に表現していました。時々登場するかわいいダンサーたちやリズムセクションもとてもキマッていました。演出は盛岡のおおしだまごさんです。さすが「演劇の街盛岡」って感じでした。

 長谷川さんの作曲した音楽は,テーマが『セロ弾きのゴーシュ』だけに,スケールを入れるなど音楽の要素を巧みに取り入れながら,時々ベートーヴェンの『交響曲第6番』を匂わせたりして,ほぼ休みなく展開して行きました。楽しい重唱やポリフォニックな展開があっても(前述したように)言葉がよく聞き取れるように作られていました。

 自前の楽曲,自前の器楽奏者,自前の演出,自前の歌い手…と本当にオリジナルでこのように楽しめる=レベルの高い「歌芝居」でした。それらの才能や努力やを考えると…本当にすばらしいエネルギーの結集でした。刺激の多い公演でした!

2024年12月2日月曜日

【宮古木曜会合唱団】久々に4パート揃いました

  12月1日(日)の午後,宮古木曜会合唱団の強化練習に行ってきました。会場は磯鶏幼稚園のホール。ここは響きが良くて歌いやすい練習会場です。前回は《O Musica》のドイツ語で行き詰まったまま帰ってきたので,リベンジのつもりで宮古に向かいました。

 今回はソプラノ4名,アルト4名,テノール2名,バス2名と,久しぶりに4パートが揃いました!テノールには先日演奏会を終えたばかりのコール・ネネムのNKさんも来てくださいました。人数バランスとしてはとてもよい感じでした。

 会場の響きを利用して柔らかく発声しながら,自分の身体の操作と音色の変化を確認する練習をした後,まずは12/24(火)のクリスマス・イヴ礼拝(日本基督教団宮古教会)で歌う3曲中の2曲に取り組みました。《ともしびのキャロル》は発声練習の音を生かしながら歌いました。《Jesus bleibet meine Freude》は前回の練習時のドイツ語歌唱の改善を目指して練習しました。宮古に向かう直前にNHK-FMの放送でメゾソプラノ歌手のAnne Sofie von Otterさんの演奏特集聞き逃しはこちら)をやっていたのをたまたま聴いたのですが,その演奏の素晴らしいこと!しなやかな音楽の運びの中で歌詞が明確に聞き取れ伝わってくるのです。その演奏に刺激されての目標設定でした。

 その後Ale Mölerの《Glaspolskan》に取り組みました(練習時にご紹介した元曲のアルバムはこちら。9曲目)。なにせテノールがいましたから!難しい歌詞(無意味シラブル)ののせ方は意外に慣れているようました。「北欧的な響き」にするにはどうしたらいいものか考えながら,①完全音程(8度,5度,4度)を純正に溶け合わせること,(そのためにも)音の立ち上がりを早くし③細かい音符で声の響きを落とさないようにして,短い音価でも和音を響かせること,をポイントにまとめてみました。聴き合うことができるようになり全体の「響き」がとてもすっきりとしてきました。

 続けて《Deep river》そして《七里ヶ浜》。4パート揃うのは久しぶりです。扱うのも久しぶりなのですがその割には良い感じです。会場のせいか,4声部のせいか…。聴き合う耳が(この日は)良くなってきているのは確かだと思いました。

 そして《O Musica》。テノールを加えて5声部で歌うのは久しぶりでした。前回のドイツ語の取り組みが活きたのか,これもまたいい感じに表現できていました(Otterほどではありませんが…)。

 あとはVictoriaの《Taedet》。ラテン語の意味を理解しながら,まずは読むことに慣れることに取り組みました。そして音をつけて歌ってみました。この曲は音楽の流れが悪くなり,まだまだ難しい感じです。でも(会場の響きに助けられているのか)歌詞をつけても力みのない声でアンサンブルできていました。

 最後に《いのちの歌》を駆け足で練習しました。言葉を丁寧に表現することが日本語ならばなんと楽なことか!外国語でも同じように表現できるようになりたいものですね。

2024年11月29日金曜日

【宮古木曜会合唱団】難しい距離感

  11月28日(木)19:00からの宮古木曜会合唱団のレッスンのために,宮古市の山口公民館に向かいました。16:15頃に盛岡を出発したのですが,この季節はもうすっかり暗くなっていました。そして区界峠は1℃でみぞれ。先日見ることができた紅葉はもう全く見えませんでした。宮古市には1時間以上前に着いたので,早めに山口公民館に行きました。

 前回は11月10日(日)の強化練習でした。あれから2回間をあけて,今回の通常練習の参加はS3,A3,T0,B1。テノールは相変わらず0です!!大丈夫かな?

 人数が少なかったので少し丁寧に発声練習し,はじめに毎年参加させていただいている12/24に日本基督教団宮古教会で行われるクリスマス・イヴ礼拝の際に歌う3曲のうちの1曲である讃美歌第259番「いそぎ来たれ,主にある民」(当日演奏する他の2曲はJ. S. Bach作曲《Jesus bleibet meine Freude》とJ. ラター作曲《ともしびのキャロル》)を,声を楽器にしてハモらせてみました。続いて,当日会衆賛美で歌われる讃美歌の音取りをしました。讃美歌第62番《天にいますわたしたちの父》,第264番《きよしこの夜》,第258番《まきびとひつじを》,第263番《あら野のはてに》,第261番《もろびとこぞりて》,第26番《グロリア,グロリア,グロリア》です。いつも会衆賛美の最中に「合唱団がいるのに副旋律を歌ってハモることをしないのはなんだかへんだなぁ。」と思っていたからです。加えて,ヨーロッパの人たちは礼拝での讃美歌を通して和声や読譜や音楽そのものを学んでいると私は考えているからです。そこで,移動ド唱法で各讃美歌を歌って音取りとしました。これが意外に難しい!というか思った以上にできませんでした。音程の感覚を身につけ(読譜力を高め)るには,階名唱に馴染むしかありません。合唱団員のための練習曲集《Chorübungen》でもフランツ・ヴュルナーが音程を鍛える段になって「NO.18以降の音程練習はドイツ音名でも歌うと良い。歌い方練習ではイタリー音名が良い」としています。(あらためて《Chorübungen》などで音程練習をするのではなく)機会をとらえて音程感覚を育て,読譜力を上げたいと思っています。

 そうこうするうちに時間が過ぎ,あわてて定期演奏会の曲の練習に切り替えました。テノールがいないので《Glaspolskan》は今回もできないので,言葉に慣れるために練習回数が必要と考えて《O Musica》から始めました…。が結局,《O Musica》の途中で時間切れとなりました。毎回,初めて言葉をつけた時のように呂律が回らないのです。発音は筋肉運動ですから何度も繰り返して筋肉に覚え込ませるしかありませんそのためには意味や統語をよく理解しておかなくてはなりません。一方で,言葉を発音しようとすると共鳴腔が狭まり音質が低下します。これをフレーズ(2〜3小節)ごとに修正しながら繰り返しました。

 アドバイスすると修正できて,(二転三転するものの)いい感じになっていきます。でも①同様のことが他に活きない,②少し時間をおくと元に戻る,といった課題があります。程度の差こそあれ自分も含めアマチュアなら誰にでも起こりうることです。だからこそ練習を重ねるのですから。しかし同じことが何度も繰り返されるということは指導に問題があるわけですから自分で自分に「メタ指導」をしなればなりません。部分部分の導き方が誤っているのか,逆に細かく教えすぎることで歌い手自身の音楽活動になっていないのか…。「合唱団員との距離感って難しいなぁ…。」と思いながらR106を運転して帰りました。つぎは12月1日(日)の強化練習です。多くの方がご参加くださることを願っています。

2024年11月25日月曜日

【演奏会・聴いてきました】コール・ネネム演奏会 結成50周年記念

 

 11月24日(日)の午後,盛岡市民文化ホールの小ホールでコール・ネネムの演奏会を聴きました。少人数でルネサンスのア・カペラ合唱を続けているところで,今回は結成50周年記念とのことでした。私が大学生の頃も活動していて,とても上手なアンサンブルを聞かせてくれる団体でした。今回は15名ほどがステージに立っていました。

 プログラムは次のようでした。

第1ステージ:現代イギリスの作曲家によるクリスマス・キャロル集
 現代イギリスの作曲家(David Willcocks(1919-2015), John Tavener(1944-2013), John Rutter(1945-), Philip Stopford(1977-), Bob Chilcott(1955-))により編曲されたクリスマス・キャロル集 5曲
第2ステージ:50年の歴史を振り返って
 Josquin Des Prez(1450/1455?-1521) 《こおろぎはすばらしい歌い手》
 Heinrich Isaac(1450-1517) 《インスブルックよさようなら》
 Giovanni Pierluigi da Palestrina(1527?-1594) 《バビロンの河のほとりで》
 Orlando di Lasso(1532-1594) 《いとしのマドンナ》
 Tomas Luis de Victoria(1548-1611) 《おお 栄光に輝く王国》
 Orlando Gibbons(1583-1625) 《銀色の白鳥》
第3ステージ:《4声のミサ》 William Byrd(1540?-1623)作曲

 50年にもわたってルネサンス期のア・カペラ合唱を聴かせてくれるコール・ネネム。生ではなかなか聴くことのできない楽曲・響きを体験することができました。第1ステージは現代的な編曲だったためか指揮者(高校&大学合唱団の大先輩!)が指揮していましたが,他の楽曲はルネサンス期のオリジナルなスタイルである(指揮者を置かない)アンサンブルでした。これは,①どんな音楽を響かせたいかという楽曲の全体像や各部分の音楽の仕方のイメージの共有や,②他パートと共に自分の声(音楽)を聴き音楽を作っていく「聴覚フィードバック」の能力や,③それを実現する声楽的な能力,そして④(少人数なのでなおさら)2時間近くにわたって音楽に集中する持続力がないと達成できないことでしょう。すばらしいことと思いました。

 第2ステージのいくつかの楽曲はだいぶ前に宮古木曜会合唱団でも取り上げたことがありました。「なるほど,こうすると音楽が生きるのね」と,自分の様式感の未熟さを思い返し反省しながら聴きました…。学びの多い演奏会でした。

2024年11月24日日曜日

【合唱研第33回:活動報告】理解が深まるとよりよくなります

 

 11月23日(土・祝)の午後,奥州市の日本基督教団水沢教会で合唱音楽研究会奥州の第33回の活動に取り組みました。奥州市といえば大リーグの大谷翔平選手の実家のあるところ。活動に行く前に,テレビでニュースとして取り上げられていた市役所の大きな横断幕を見にいきました。やはり同じような方が数名いらっしゃって写真を撮っていました…。

 前回の第32回は参加者が少なめでテノールが0名でもあったのですが,今回はテノール2名,バス1名と4パート揃っての活動となりました。そして,前回の移動ド唱法の理解とトレーニングが生きていたのか,「前時想起」にほとんど時間がかかりませんでした。

 はじめ,パレストリーナのミサの"Gloria"に取り組む前に,「カデンツ」の練習をしてみました。出だしのトニックの和音がなかなか響き合わなかったからです。「カデンツ」の練習とはⅠ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰの和音を4パートで分担して出してハモらせる練習です。ほとんどの方が初めてのようでしたがすんなりと理解してくださり,(ここも移動ドで)全パートをさらってからハモらせてみて,さらにいくつかの調に変えて(移調して)何度か合わせてみました。そのうちに音程が清潔になり,きれいに響き合うようになりました。声を出しながら耳で聴けるようになってきたということでしょう。

 その後,《Gloria》を歌詞なしで合わせてみましたが,案外すんなりとハモって,かつほとんど止まらずに進みました。そこで歌詞の発音を練習し意味を確認しました。ラテン語は馴染みがありませんが,英語やイタリア語などに同じような意味の言葉があるのでそれを紹介することで歌いながら意味を想起しやすいように(つまり意味をも覚えやすいように)ヒントを出しながら進めてみました。

 歌詞をつけて歌うと途端にハーモニーが崩れてしまうと思ったので,例によって「入れ歯外し歌い」をお願いしました。すると,ハモリもなかなかいいし,曲の最後までピッチの下りもほとんどありませんでした!前回から(もっと前から)続く移動ド唱法や歌詞の発音や意味への理解が深まったことが,よい音楽に繋がっていると感じました。

 後半はラター。まず前時想起として《For the beauty of the earth》を復習しました。合唱になる部分を取り上げて音を確かめ,ほぼ全体を通して歌えるようになりました。最後に出てくる3/8拍子のところが難しいとの声がありました。課題が見えて提案できるのはとても良いことで嬉しいことです。そこで手拍子をしたりしながら八分音符の括り方を変える,ということを繰り返し体験してもらいました。

 最後に《Look at the world》に取り組みました。久しぶりのような気がします。しかしこれも移動ドによる階名唱を以前ちらっとやっておいたおかげと思いますが,歌詞なしですんなりと全曲を通すことができました。

 この日はいつもお世話になっているピアノ伴奏のYEさんがお休みだったので,3時間ずっとピアノ伴奏なしで合唱に取り組みました。ルネサンス期のアカペラ合唱,しかもラテン語で歌っているのにピッチの下りがなくハモれるようになったこと,久しぶりに触れる楽曲なのにすぐに思い出して合唱できるようになったことなど,これまでの活動の積み重ねが活きているように感じられ嬉しく思いました。

 なお,11月17日の菊池葉子さんのリサイタルのこと,12月8日の岩手県合唱祭12月14日の盛岡市民クリスマス12月15日の一関第九演奏会,そして来年4月29日(火・祝)の《ヨハネ受難曲第2稿》演奏会など,地域の音楽についての方法交換の場となっていることも嬉しく思います。また,この日は新しく1名(ソプラノ)の方が入会されました!中学以来の合唱活動とのことでした。そういう方々が歌うきっかけとしてくださっていることも嬉しいことです!そろそろ次の研究発表会の計画を具体化していきましょう!

2024年11月17日日曜日

【MBKV】「コラールは暗譜」が課題


 11月17日(日)の午後,盛岡市にある高校会館3階大ホールで,盛岡バッハ・カンタータ・フェライン(以下,MBKV)の強化練習を行いました。毎週火曜日の夜の練習に加えて,月に1回強化練習を設定しています。MBKVの練習はバッハフェスト・ライプツィヒ以降,《ヨハネ受難曲第2稿》に取り組んでいましたが,ここで話題にするのはなんと4月23日以来ですね。

 この日は先生は都合でお休み,コンサートマスターのOK先輩ほかパートリーダーの数人も他のお仕事でお休み。そこで,コンサートミストレスのOAさんと私と二人で全体練習のかたちで《ヨハネ受難曲第2稿》の練習に取り組みました。

 先週火曜日のOK先輩の全体練習では,演奏順に進んだ「27b."Lasset uns den nicht zerteilen"」までやったのですが,この日の強化練習ではまず初めに,先生から予告されていた「22.Choral "Durch den Gefängnis, Gottes Sohn,"」から始めて,その後のコラールを取り上げて練習しました。というのは「コラールは暗譜」というのがMBKVの「合言葉」(なのになかなかできていない)からです。

 《受難曲》にはコラールが何曲も出てきます。合唱団員は受難の記事に出てくるユダヤ人などの役をやりながら,会衆賛美としてのコラールも歌います。福音朗読者(エヴァンゲリスト)が語るストーリーの途中に突如として挟み込まれるコラールを,その立場を切り替えて表現しなくてはなりません。ですから,歌い始めてから「あのコラールだったのね」と気付くのでは遅く,前の記事の間に「次はあのコラールが来るぞ」と理解して歌い出さなければ表現できないのです。そういう意味でも「暗譜」が必要で,音と歌詞を覚えて歌うというレベルの「暗譜」では表現に至りません。間違えずに歌えた,という程度のことになってしまいます。ここが難しいところです。(音や発音も難しくはありますが,これまでの練習でだいぶ身に付いてはきたように思います。)

 コラールの位置付け=バッハがそこにコラールを挟み込んだ理由を解釈し理解するためには,聖書の記事との関連が自分なりに明確になっていないといけません。「意味的記憶」のためです。キーワードだけでもいいので記事とコラールをつなぐ内容をつかめるようにと,練習を進めてみました。もちろん繰り返すことで身体や口に言葉や音を馴染ませることもねらいつつです。

 「21g.Rec.」ではピラトがイエスを「解放」する「権限」があると主張します(イエスはそれを否定しますが)。そこで続く「22.Choral」は「あなたの捕らわれによって(Druch dein Gefängnis)…私たちに自由がおとずれた(Die Freiheit kommen)」と歌い出します。
 「25.Rec.」ではイエスの十字架状上の罪状名(INIR)が争われます。そこで「26.Choral」では「あなたの名前(dein Nam)」や「十字架(Kreiz)」がキーワードになります。
 「27c.Rec.」では十字架上のイエスが弟子やマリアらに気遣いを示します。そこで「28.Choral」では「彼はすべてのことに十分に心を配り(Er nahm alles wohl in acht)…」と歌い出します(そして「O Mensch, mache Richtigkeit,…」と呼び掛けます)。
 「36.Rec.」では,受難の記事全てを振り返るようにしながら,聖書の記事が「真実(Wahrheit)」であることや「実現する(erfullet würde)」こと,だから聖書を「信じる(glaubet)」ことを説きます。そこで「37.Choral」では,第2部冒頭と同じコラールを使って枠構造を作りながら,キリストに救いを求める(「O hilf, Christe,」)という聖書全体の思想を歌います。
 こんな確認をしながら繰り返し歌って,覚える練習に取り組みました。

 「コラールは暗譜!」本番のステージでは指揮者からどんなイメージが示されるかわかりません。それについていき,それを表現できる合唱団になるためにも,より深い理解を伴った「暗譜」が必要なのです。(加えて,「暗譜」すると耳がよく働くようになります。ハーモニーやアンサンブルの息遣いがよく揃ってくるのです。これも大事な「暗譜の効果」ですね。)本番は来年2026年の4月26日(土)は仙台の日立システムズホール仙台コンサートホールで,4月29日(火・祝)は盛岡市民文化ホール大ホールです。あと半年あまり,より良い演奏目指して練習に取り組むので,お時間のある方はぜひ予定を空けておいて聴きにいらしてください。お待ちしています。

注目の投稿

【宮古木曜会合唱団】ピアノ伴奏は音楽のイメージを与えてくれます!

 8月6日(木)の夜,宮古木曜会合唱団の通常練習に行ってきました。この日の宮古は盛岡よりも最高気温が高く33度もあったようで,夕方になってもモワッとした暑さが残っていました。  発声練習では横隔膜を意識してもらうために,①胸郭広げ(=横隔膜広げ),②鳩尾押し返し,③押し返しながら...

皆が読んでる!