2025年11月9日日曜日

【合唱音楽研究会奥州】「声楽体力」

 11月8日(土)のお昼前に在来線に乗って水沢駅に行き,日曜日には閉まっている「ROLLING ROLLING BAKE」というこじゃれたお店に寄って昼食がわりのアップルパイとチョコチップ・スコーンを買ったり,水沢公園内のベンチでそれを食べたりしながら,歩いて水沢南地区センターに行き,第57回となる合唱音楽研究会奥州の活動を行いました。

 この週,火曜日夜には盛岡バッハ・カンタータ・フェライン,水曜日は盛岡某校から岩手大学合唱団,木曜日は宮古市連合音楽会中学校の部から宮古木曜会合唱団,金曜日は同小学校の部から盛岡誠桜高校音楽部定期演奏会,とみっちり音楽的な刺激を受けていました。その流れの中で,最も本番が近く(11月22日!)仕上がりの及んでいない合唱音楽研究会奥州の音楽をなんとか引き上げなければ,と考えながら活動に向いました。久しぶりの土曜日開催のせいか,あるいは金ケ崎町でも江刺でも町の音楽的な催し物が午前中にあったせいか,開始時の人数が少な目で心配したのですが,そのうちだんだん人が増えいつも並の30名ほどになりました。

 発声に続いてまずラターの楽曲から始めました。先週水沢教会で行われた礼拝で歌わなかった《All things bright and beautiful》を最初に母音(「a」とか「o」とか)で歌い,音と音楽を整えてから歌詞で歌いました。続けて他の3曲もざっと通しながら歌いました。《Look at the world》の無伴奏になるところの音下がりに苦戦したので,①和音の分析(各パートの役割の確認)や,②フレーズの最後に気を抜く癖の自覚,に時間をかけました。

 後半はパレストリーナ。まず久しぶりに《Kyrie》を歌ってみたらそれほど音下がりがなかったので,そのまま《Gloria》,《Credo》《Sanctus》《Benedictus》《Agnus Dei I》《Agnus Dei II》とまずは通してみました。最大の課題だった「音下がり」はおおむね見られませんでした。《Look at the world》では下がったのに,なぜ?と考えたのですが,先週あたりに有志(主に女声)でパレストリーナについてのパート練習をしたということなので,その成果なのかとも思いました。新シーズンはパート練習も考える必要がありそうです。

 しかし,始めの《Kyrie》こそレガートな歌い出しでしたが,曲が進むにつれて「音符歌い」が顕著になり,最後のあたりはもう「音楽」でなく「音の羅列」になっていました(でもとりあえず止まらず,皆一緒に最後に終われた点を褒めました!)。そこで次のことをお話ししました。①「様式」が違う(レガート=「一筆書き」の音楽にすべし),そのためには②発声の基本を大切にすること(お腹からの息を流し続けること),それを維持するには③「声楽体力」を鍛える必要があること,などです。歌うことは運動です。運動を維持するには筋力が必要です。《Kyrie》から《Agnus Dei》まで30分近く歌い続けるための筋力=「声楽体力」をつけることも次なる課題です。

 11月22日(土)の第2回研究発表会まであと2週間。その間11月16日(日)の1回の練習となりました。より良い音楽を表現できるように共にがんばりましょう!

【演奏会・聴いてきました】盛岡誠桜高校音楽部・第13回定期演奏会

 11月7日(金),久しぶりの宮古泊から帰ってきた夕方18:00から,盛岡市民文化ホール・小ホールにて盛岡誠桜高校音楽部の第13回定期演奏会を聴いてきました。昨年の夏,コンクール前に一度レッスンに行ったり,第12回の定期演奏会を聴いたり,コンクールの場で声をかけたりしていた合唱団で,合唱仲間である顧問の先生方だけでなく部員の子どもたちとも繋がりがあるので,楽しみにしていました。

 ステージは,オープニングの校歌に続く3部構成で第1部はNコン&全日本合唱コンクールで歌ってきた課題曲や自由曲を今年から指導なさっている熊谷慎太郎先生の指揮で,第2部はディズニー関連のポップな楽曲6つを合唱仲間の佐々木温先生と生徒のピアノ伴奏で,第3部は鈴木憲夫作曲の《永訣の朝》を顧問の菊池知子先生の指揮,八重樫千尋先生のピアノで演奏しました。部員は12名です。

 第1部では各々の楽曲の特徴を生かして,短い演奏時間に多彩な変化を聴き取ることができました。第2部では楽しい振りを付けながら安定したハーモニーを聞かせ,高校生らしさが弾けるステージでした。第3部は長い本格的な合唱曲に苦戦しつつも楽曲の世界を感じて表現する様子が見られました。今年はNコン岩手県大会および全日本合唱コンクール岩手県大会でも金賞となって東北大会を経験しているせいか,昨年より表現が堂々としており自信を持って楽しんで歌っている感じが伝わってきて,「高校生のこういう姿を引き出すにはどうしたもんじゃろのう…」と考えさせられました。

 また,昨年よりお客さんは少なく空席が目立ちましたが,聞き手のマナーはとてもよく,音楽部を応援している気持ちが感じられる演奏会でした。後輩たちの指導の様子や高校生の伸びやかな姿からたくさんの刺激をもらうことができました。

宮古市・山田町+岩泉町の「連合音楽会」小学校の部…無限の可能性!

 11月7日(金),9:10-15:15と一日中,小学校の「連合音楽会」を講師として鑑賞させていただきました。会場は宮古市民文化会館,主催は宮古市小中学校芸術文化教育連盟とNPO宮古市芸術文化協会です。しかし宮古市の他に,午前の部9校のうち山田町から2校,午後の部9校のうち岩泉町から3校が加わり,計18校が演奏しました。山田町は昨年も参加していましたが,岩泉町は今年初参加でした。スタッフや指導の先生方には知っている方も多く,久しぶりにお会いできた方もいらっしゃいました。

 多くは3,4年生が出演します。5,6年生になるとスポーツ面での対外行事があり「学校を代表して」出ることになりますから,「学校を代表して」を経験する最初の機会として3,4年生がこの音楽会に出てくることが多いのです。しかし小規模校が多い昨今,全校児童で取り組むとか3〜6年生といった学校もあります。今回も学年は様々でしたし,人数も最大72名から最少6名までと様々でした。

 演奏形態も多くは合唱(1,2曲)でしたが,合奏あり,呼びかけあり。今年はボディーパーカッションというのもいくつかありました。

 どの学校の児童も皆で一つになって一生懸命演奏に取り組んでいました。素晴らしいことです!また学校ごとの特長も感じられました。自分たちらしさを発揮して表現しているということでしょう!午前と午後の各90分あまりの時間,ずっと舞台に引きつけられました。

 一方で音楽的な課題で共通していることとして午前の部の講評でお話したことは3つありました。まず器楽のリコーダーや鍵盤ハーモニカなど息を使う楽器は「歌うように演奏しましょう」ということです。音符一つ一つに息を吹き込んでいる音が多いので,メロディーをタンギングで歌うようにすると良いというヒントでした。次に声の響きが変ればよりよくハモるようになるということです。どの学校の歌でも高い音域の「ウ」の響きが,喉が解放されてとてもよく響いているので,その音で下の音域まで降りてくると良いということでした。最後に,歌詞の意味をさらに吟味すると楽曲をもっと新鮮に捉えることができ,表現も深まることです。歌い慣れた歌だからこそ必要なことだとお話しました。

 子どもたちには未来を感じます!「無限の可能性」などといいますが,将来の可能性が無限だと本当に感じました!現場の先生方には,音楽活動の楽しさを体験させ,子どもたちの心を耕してほしいものだとあらためて感じました。


 実は前日は中学校の部が開催されていて,講師席の隣で聞かせていただきました。中学生(こちらは宮古市11校に加え山田町1校,岩泉町3校,田野畑村1校)も皆一生懸命でした。その分,よりよい音楽を子どもたちに伝えることがとっても大切だなぁ,と感じました。12月7日(日)に同じ宮古市民文化会館で開催予定の岩手県芸術祭・合唱祭にも足を運んでくれればいいなと思いました。

2025年11月8日土曜日

【宮古木曜会合唱団】週一,連続だといい感じです

 11月6日(木),日中に宮古市小中学校芸術文化教育連盟とNPO宮古市芸術文化協会が主催する「連合音楽会 中学校の部」(詳しくは後ほど)を鑑賞した日の夜に,宮古市の山口公民館で宮古木曜会合唱団の通常練習を行いました。

 前回が10月30日(木)でしたから1週間ぶり,つまり通常練習としては連続となりました。前回は私の担当ではない《島よ》のお稽古でしたが,今回は12月7日の「第78回岩手芸術祭 合唱祭」で演奏予定の2曲《見上げてごらん夜の星を》と《緑の森よ》の練習でした。

 スタート時点では女声しかいなかったのでこのチャンスを生かそうと思い《見上げてごらん夜の星を》の冒頭部分を吟味しました。この曲は前回,「1回で音取りができた!」と喜んだ楽曲です。どのくらい覚えているかな?と思って始めました。難しい音程ももちろんありましたが,ほぼ覚えていてハーモニーもきれいに響いていました。また,息が浅く声の響きがなかったのですが,少しアドバイスしたらすぐによい響きがでてきました。1週間前に《島よ》でやったことが身体の記憶として残っていて,筋肉が思い出すのに時間がかからなかったのだと思います。さらにこの日は本番でピアノを引いてくれるSS君が来てくれたので,予想を裏切る和音がピアノから時々聞こえるこの編曲のピアノ伴奏に合わせて歌うことができました!有難いです。

 残り時間20分程度になってからもう1曲の《緑の森よ》のまずは日本語で歌って表現を検討し,続けてドイツ語の2番の読みと意味を再確認してから部分ごとに歌ってみました。これも意外にしっかりとした発音と音でした。

 やはり練習期間が短いといいですね。「歌うことは運動です。」と普段から言っていますが,筋肉運動ですから時間が空けば空くだけ筋肉は忘れ,筋肉の使い方も忘れてしまうのでしょう。歌い手にその使い方が身に付くには,まだまだ時間がかかるのかもしれません。

2025年11月5日水曜日

【MBKV】学びの多いレッスン

 11月4日(火)の夜は盛岡バッハ・カンタータ・フェラインの通常練習が盛岡市の舘坂橋教会で行われました。この日はここ二週間ほどお休みだった佐々木正利先生がいらっしゃり,Schuetzの"Meine Seele erhebt den Herren"の最後のDoxologieについてみっちり2時間レッスンしていただきました。

 いつもは楽曲そのものについて教えていただくことが多いのですが,この日は演奏法一般というかバロック音楽の演奏様式に関する様々なことを教えていただきました。例えば「accennt」と「betonen」すること(Betonungを与えること)の違い,順次進行における「enegal(イネガル)」の常識,ドミナントからトニックに移る時の音の運び方,旋律が掛留した後の動き方,音楽の躍動感を表現する方法…そしてもちろん語感の生かし方などなど。

 シュッツ作品のほんの43小節間の音楽から様々なポイントを引き出し関連づけて教えていただき,学ぶことができました。シュッツの音楽は音がそれほど難しくないからこそ,様式を,音楽をよくわかっていないと生かせません。それを(座学としてではなく)音楽を通して学ぶことができる環境にいる盛岡バッハ・カンタータ・フェラインは本当に貴重な場だとあらためて感じました。

 ちなみに演奏会は来年(2026年)11月14日に盛岡市民文化ホール・大ホールで行うことになりそうです。皆様,予定を空け手おいてください!

2025年11月3日月曜日

「芸術はエンターテインメントではありません。」…アンドラーシュ・シフさんの言葉

 11月3日,79年前に日本国憲法が公布され,「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とする国民の祝日に定られたこの日,インターネットのニュースを読んでいたら,第63回(2025年)高松宮殿下記念世界文化賞音楽部門で,ピアニストのアンドラーシュ・シフさんが受賞されたとの記事を見つけました。アンドラーシュ・シフさんの演奏はCD(J. S. Bach作曲《フランス組曲》1〜6番,《イタリア協奏曲》F-Dur,LONDON, PQCL-4359/60)と少しのテレビや動画サイトの動画でしか知りませんが,とても丁寧に音楽に向き合う方だな,と思っていました。彼が今回の受賞のインタビューで語った言葉が,とても印象に残りました。

 読んだ記事は2つありました。①産経新聞が書いたYahooニュースの記事②ぶらあぼONLINEの記事です。前者の記事は日本文化の面について語った点を強調しているように感じましたが,印象に残ったのはその点ではありません。音楽や音楽することについての世の中の現状と彼の考え方です。

----- ①の記事より(強調は引用者による)
芸術はエンターテインメントではありません。より深い次元があります。生の音楽を聴くコンサートは学びを経験できます。これは唯一無二の経験です。聴衆が一緒に経験することが大事なのです。音楽は人を結びつけることができます」
「コンクールは消えてしまえばいい。こういうことを言うのは少数派でしょう。音楽はスポーツではありません。芸術なのです。スポーツは速さ、距離などを測ることができますが、芸術は計り知れない要素の集合です。
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----- ②の記事より(強調は引用者による)
「“ショー”も“ビジネス”も、私はどちらの言葉も好きではありません。芸術はエンターテインメントではない。もっと深い次元があると信じています。それは学びであり、生の音楽を聴くという唯一無二の経験を皆でシェアするという面もあります。演奏はその場限りのもので、翌日のコンサートは全く違うものになってしまう。その瞬間にしか存在しないからこそ意味がある。一人でリビングで聴く音楽ともまったく違います。人と共有することが大切なのです」
芸術と社会、政治は切り離すことができません。我々は社会の一部なのです。私は少数派なのかもしれませんが、不正を見たら、それから目をそらすことはできないのです。」
私たちは、やはり歴史から学ばなければなりません。人類の歴史から戦争がなくなったことはありません。しかし、私自身は(音楽で)平和をもたらすことができると信じています
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 ちょうど次の本を取り寄せて読んだ直後でした。(こちらについては,機会があればまとめてみます。)
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・中地雅之編著『声が世界を抱きしめます 谷川俊太郎 詩・音楽・合唱を語る』東京学芸大学出版会2018
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 音楽についてあらためて考えることができた「文化の日」でした。

2025年11月1日土曜日

【けせん第九】小中高生も参加してマエストロ練習

 10月31日(金)の夜,大船渡市盛町の盛駅前にあるカメリアホールで行われた「けせん第九」のマエストロ練習に参加しました。「けせん第九」は1年おきに開催されてきた大船渡市の行事で,前回は2023年12月3日にリアスホールで開催されました。今回の指揮者は岩村力さん。間も無く宮城県岩沼市での第九演奏会があるそうで,そこの合唱団が揃えて作ったという「9」の文字にベートーヴェンの顔が重なったデザインのTシャツを身につけて登場され,19:00から21:00まで丁寧に指導していただきました。

 合唱団は,普段は一週間に1回程度のペースで6月頃から練習を重ねてきたそうで,男声は少なめでしたがソプラノには中高生のみならず小学生もたくさんおり,ドイツ語にカタカナがふってある楽譜を使って一生懸命に歌っていました。この日はマエストロ練習ということで都南混声合唱団の方々,宮古市から宮古木曜会合唱団の方,奥州市から混声合唱団アミューズの方そして盛岡からと男声陣が厚くなっていました。

 岩村さんはまず全体の音を聞いた後,各部分に戻って吟味されました。合唱団は全体に発声や音楽に大いに荒さがあったのですが,清潔なハーモニー作りを通して音楽の質的変化を目指していました。特に音高に関して「出たとこ勝負じゃなくて,ハーモニーを聴き(イメージし)その中に自ずから自分の音高がわかるから,そうなってから音をだそう。」と,自分の出す音・音楽をより具体的にコントロールすることの大切さを強調していました。「車の運転,ドライブと同じ。意図してから操作する。」的なことをシャルル・デュトワ先生との会話を引き合いに出しながら説明してくださいました。

 また,フレーズの最後の言葉の語尾をどこで切るかとか,母音が音符の頭でその前に子音を出すとか,基本的なことを丁寧に確認し何度も繰り返してお稽古しました。スタッカートの意味や演奏法,「piu」の意味合いなどもイタリアでの経験をもとに小学生にもわかるように説明していました。

 小・中・高生がこのような企画に参加し,一緒に音楽を体験するのは素晴らしいことです!高校の先生もテノールで歌っていらっしゃったので,先生方が率先してこういう場に参加し,学び,その姿を子どもたちに見せていることも大きな要因だと感じました。(ちなみに小中高生向けの練習も大人とは別にあるようです。)

 マエストロ練習はこのあと2回ほどあり,本番は2026年1月18日(日)リアスホールの予定です。どのようにまとまっていくか,楽しみです。

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