11月3日,79年前に日本国憲法が公布され,「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とする国民の祝日に定られたこの日,インターネットのニュースを読んでいたら,第63回(2025年)高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門で,ピアニストのアンドラーシュ・シフさんが受賞されたとの記事を見つけました。アンドラーシュ・シフさんの演奏はCD(J. S. Bach作曲《フランス組曲》1〜6番,《イタリア協奏曲》F-Dur,LONDON, PQCL-4359/60)と少しのテレビや動画サイトの動画でしか知りませんが,とても丁寧に音楽に向き合う方だな,と思っていました。彼が今回の受賞のインタビューで語った言葉が,とても印象に残りました。
読んだ記事は2つありました。①産経新聞が書いたYahooニュースの記事と②ぶらあぼONLINEの記事です。前者の記事は日本文化の面について語った点を強調しているように感じましたが,印象に残ったのはその点ではありません。音楽や音楽することについての世の中の現状と彼の考え方です。
----- ①の記事より(強調は引用者による)
「芸術はエンターテインメントではありません。より深い次元があります。生の音楽を聴くコンサートは学びを経験できます。これは唯一無二の経験です。聴衆が一緒に経験することが大事なのです。音楽は人を結びつけることができます」
「芸術はエンターテインメントではありません。より深い次元があります。生の音楽を聴くコンサートは学びを経験できます。これは唯一無二の経験です。聴衆が一緒に経験することが大事なのです。音楽は人を結びつけることができます」
「コンクールは消えてしまえばいい。こういうことを言うのは少数派でしょう。音楽はスポーツではありません。芸術なのです。スポーツは速さ、距離などを測ることができますが、芸術は計り知れない要素の集合です。」
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----- ②の記事より(強調は引用者による)
「“ショー”も“ビジネス”も、私はどちらの言葉も好きではありません。芸術はエンターテインメントではない。もっと深い次元があると信じています。それは学びであり、生の音楽を聴くという唯一無二の経験を皆でシェアするという面もあります。演奏はその場限りのもので、翌日のコンサートは全く違うものになってしまう。その瞬間にしか存在しないからこそ意味がある。一人でリビングで聴く音楽ともまったく違います。人と共有することが大切なのです」
「芸術と社会、政治は切り離すことができません。我々は社会の一部なのです。私は少数派なのかもしれませんが、不正を見たら、それから目をそらすことはできないのです。」
「私たちは、やはり歴史から学ばなければなりません。人類の歴史から戦争がなくなったことはありません。しかし、私自身は(音楽で)平和をもたらすことができると信じています」
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ちょうど次の本を取り寄せて読んだ直後でした。(こちらについては,機会があればまとめてみます。)
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・中地雅之編著『声が世界を抱きしめます 谷川俊太郎 詩・音楽・合唱を語る』東京学芸大学出版会2018
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・中地雅之編著『声が世界を抱きしめます 谷川俊太郎 詩・音楽・合唱を語る』東京学芸大学出版会2018
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音楽についてあらためて考えることができた「文化の日」でした。
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