9月17日(水)の午前中,盛岡市の某小学校で「出前講座」をやってきました(今年の1回目は遠野市でした)。久しぶりに入った小学校の校庭そして校舎,「小学校ってこんな感じだったなぁ」と懐かしく感じたことが不思議でした。
朝方に雨が強く振ったので体育館での指導だと大変だなぁと思って伺ったのですが,家を出る頃には雨は上がりました。授業は体育館ではなく音楽室で予定されていました。というのも,この学校はかつては大規模校で有名でしたが,今は児童数は全校で百数十人と1学年1〜2学級の規模になっていたので,3・4年合同授業,5・6年合同授業の2コマはいずれも音楽室に収まる人数となっていたからです。
今回の楽曲は,創立の周年行事で全校で歌うために作られた曲とのことでした。作詞は在校生と昨年までの校長先生,作曲はこの小学校出身で在京のプロのミュージシャンによるものです。周年行事では全校で歌うのですが3・4年生は市の音楽会でも披露するためもあって別々の授業に設定されていました。
はじめは3・4年生でした。とても元気な4年生とその雰囲気に押されておとなしい3年生の組み合わせです。始業のご挨拶がいつ始まるか…と思うほどの雰囲気で始まった授業,始めに一通り歌って聞かせてもらいました。その上で「この時間は何を勉強したい?」と学習課題を皆で考えると,「声のだし方」「歌い方」「山場」といったキーワードがでてきたので,そのあたりを使って授業を進めることにしました。音が高くなるに連れて喉が閉まっていく傾向は何処も同じでしたので,Es-Durの原曲をF-Dur,G-Durと上げていきながら,私がファルセットで高い音を出してみせるとすぐに真似をしてくれました。「そのお腹の使い方で,下がってくるよ」と調を戻していくと,喉でなくお腹で頑張る歌い方になっていきました。続いて「歌い方」については,各行の歌い出しがはっきりしていなかったので「次の歌詞を考えながら歌っていこう」と,前のフレーズの最後に「はい次!」「はい次!」と声をかけてやったらすぐに良くなりました。「山場はどこ?」と聞くと「最後のところ」というので,そのに向かって盛り上がっていくんだよ」と一言かけたらその通りにやってくれました。
集中できない子どもたちが数人いたのですが,その中で手や足でリズムをとっている子が数名いたので,その子たちのノリの良さを取り上げて褒めながら前奏のワクワクする感じのところで皆で手拍子して曲の持つリズム感を共有しました。そうしながら私は子どもたちの中に入って行ってフェルセットで歌ったり,「いいリズムだね」「いい声してる!」「その音程でいいんだよ」と個別に声をかけてみました。すると集中できない子どもたちも少しずつ歌に参加し一緒になって歌に取り組むようになりました。
次の時間は5・6年生でした。こちらも始めに歌って聞かせてもらいましたが,けっこうしっかり歌えていました。そこで「こんなに歌えるなら,今日はもうやることないね。」と評価してやると,「声のだし方を知りたい」「音程を正しく歌いたい」など課題がでてきたので一通り改善に向けて指導しました。20分後には良くなったので「他には?」と周年行事で歌うことに関連して更なる課題を考えさせました。するとさすが高学年です。「聴きに来た方々に伝わるように歌いたい」「歌詞の意味を考えて歌いたい」と自分たちに足りなかったことが見えてきたようでした。そこでまずは1番の歌詞の中身(学校の周りの風景や様子など)を具体的にイメージさせました。そうして歌ってみたら歌がとても豊かな感じになりました。残り時間が少なかったのでそのまま2番(学校の行事や諸活動の様子)を歌ったのですが,明らかにイメージ不足でした。そこで「この歌は君たちにしか歌えない歌。(1番の)学校の周りの様子なら近所の人はわかるけれど,学校の行事や活動で君たちが何を感じているかは君たちにしかわからない。だからそれをしっかりと想って,聞いた人に伝わるように表現しようとしなくちゃ意味がないんだよ。」と伝えて2番を再び歌ってもらいました。するとさっきとはガラリと変わってとても丁寧な音楽とさらに真剣さを増した表情が現れました。
子どもってほんとうに素直です!指導の言葉を真剣に捉えて考えて行動に移そうとするので,ぐんぐん変化していきます!「やわらかい」というか「しなやか」というか,大人でもそうありたいものですね。帰宅したら疲れがどっと出ました。夜にはアンサンブル・コンフオーコのレッスンに行かなければならないので,一休みしてエネルギーを蓄えました。