2025年7月2日水曜日

【出前講座①】真似が上手な「小学生」からどう引き出すか

  7月1日(火),午後には盛岡某高音楽部,夜にはMBKVの通常練習を控えた午前中に,遠野市の(昨年とは違う)某小学校で,昨年同様の「出前講座」の音楽授業をやってきました。3年生から6年生まで全部で30名ほどを相手に松長誠作詞・作曲の《きっと明日は晴れる》という曲を使っての歌唱の学習です。今回は音楽室でした。

 事前に「発声が悪くて高い音が歌えないのが課題」とNR校長先生から言われていたのですが,最初に一通り聴かせてもらい高い音もそれなりに工夫して歌えていたので,急遽方針を練り直しました。また全体に歌う意欲は高く,特に3年生は反応も良い感じでした。

 はじめ,山場となっている部分の旋律を使って,調をヘ長調からト長調に上げて伴奏しながらうたわせたのですが,自分の準備が悪く自在にピアノ伴奏をすることができませんでした。そこで諦めて「真似させ作戦」に移りました。私が児童の音域まで上げて歌うことで高い声の使い方を真似させてようとしたのです。真似が上手が「小学生」ですから,私の変な声に少しくすくすしましたが,すぐに(特に3年生が)真似してくれて,喉を開いたまま高音を出すことをクリアしていきました。身につくには時間がかかるので音域が低くなると元のように喉が狭くなってしまうのですが,それでも良い感じを掴んでくれたので,それでじゃんじゃん歌わせました。

 途中で,難しい歌詞の部分の意味を確認したり(意外に意味が難しいのです),フレーズごとに場面が違うことを歌詞の面から理解させ,音楽の変化にも気づかせたりしながら,何度も歌ってみました。

 授業の始めに「声を大きく出せるようになりたい」とか「良い声で歌えるようになりたい」といったことを子どもたちが課題に選んだので,終わってからその達成具合を尋ねると,ほとんどの児童が,自分や周りの声が良い方に変わったと感じていました。

 終了後に担当の先生と1コマ分の時間を使って指導について話し合いました。さまざまなことに悩んでいるようでしたので,「私ならこう考える」ということをいろいろと話してきました。秋に開かれる連合音楽会をなにか特別な姿を見せる場と思い込んでいるようでしたので,「音楽会だって学習の一つなのだから,どんな力(特に音楽的な力)を伸ばしたいのかというねらいを明確にして,そうすれば選曲のことも表情のことも学習の進め方のことも方針がつかめると思いますよ。」とお話してきました。また,特に伴奏法に興味をもってもらえました。時間がなかったので教えることまではできませんでしたが,コード伴奏の仕組みや機能和声,移調の仕方などについて紹介してきました。

 音楽を苦手と感じている小学校の教員は結構多く,その苦手意識がマイナスな考え方(「立派に声を出していれば間違いない。」「間違えないで歌えていればよい。」など)に繋がっていく場面を現職時代によく見ました。若い先生にはそういう風に捉えるのではなく,音楽の本質をもっとよく掴んでほしい,そのためのお手伝いができたらな,と思った時間でした。

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