2025年7月14日月曜日

【ZホールSP合唱団・15】イタリア民謡漬けで暗譜も進む!

 7月12日(土)と13日(日)の午後,奥州市のZホールでZホールSP合唱団の練習を行いました。今回は及川貢先生に加えて及川先生が普段からご指導なさっているたま女声コーラスから4名の団員,そして本番のピアニストの島田知恵さんがいらっしゃっての2日間となりました。ですからすべての練習時間がイタリア民謡となりました…(日本民謡が遠退く…)。

 島田知恵さんの伴奏によってストレスなく練習に集中できます。音楽的な発信も多く,歌いやすい伴奏です。伴奏のあり方,というか練習ピアニストとして大事なことは何かに気づき学んでもらえたらなぁと強く思いました。

 この2日間,楽譜から目を離して指揮を注視している人がとても多くなりました。それは前回の練習時あたりから「暗譜!」をキーワードとして強調していたこともありましたが,全体練習時間の前後に設けた強化練習会の成果でもあったように思っています。全体練習ではどうしても音楽作りに耳がいってしまい(はしょってしまい),個々の歌い手の方の暗譜にまで時間をかけられません。そこで土曜日は全体練習の前1時間弱,日曜日は全体練習後1時間弱を「暗譜」のために繰り返し歌う任意参加の練習時間にしてみたのでした。土曜日の13:00には男性が,15分後には女声も含めて8割ほどの人が集まりました。歌詞の間違えやすいところを確認したり,音を間違えたところを確認してまたすぐに歌ったり。「とにかく楽譜を見ないで歌う」ことを要求しました。「間違えてもいい」というより「思い切り間違えると覚えが早いのです!」とお伝えしながら取り組ませました。その成果がその後の全体練習に出ていたと思いました。一方日曜日の全体練習後の強化練習会には男声のほとんどの方とアルトの10名ほどが参加されました(ソプラノは1名だけ)。ここでは暗譜というより「音の不安なところの確認をしたい」という声が多く出ました。これはパートごとに課題が違うのでパート練習として取組んでいきたいところです。改善が必要と思いました。

 2日間の全体練習のいずれでも,最初の1時間は及川先生による女声合唱のレッスンだったため,男性陣は別室で私がお稽古をつけることになりました。そこでは音の確かめもしましたが,力をいれたのは「合唱の基本」でした。
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声の出し方(いくら「明るく」「はっきり」と要求されても,喉がつぶれた「小学生歌い」はダメ。喉をよく開いて楽器の形を変えない),
フレーズの歌い方(「大きく」とか「しっかり」と要求されても,音符を一つ一つ歌う「音符歌い」はダメ。レガートを基本とする「一筆書き」),
音域による音の均質性(高い音ばかりが飛び出して強くなるのはダメで,音域に関係なくできるだけ均質にする注意力を失わない),
④拍節に左右されない言葉の強調(調子に乗って声を出し意味に関係なく強拍が強くなるのはダメで,
言葉(の意味)が伝わるように配慮
しながら歌う)
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などなど,合唱の時の「「普通」のレベルを上げる」とでも言うようなポイントです。男声合唱の楽曲だけでなくどの曲を歌う時にも生かしていくように意識付けしたつもりでした。はじめて合唱に参加する方やカラオケ大好きな方なども多い男性陣ですから,合唱音楽では使えない悪い癖に早く気づかせ,それを出さないように自分で注意しながら,響き合う合唱の良さを目指させたいと思っています。

 次回は1週間後の7月19日(土)・20日(日)です。19日(土)の前半は日本民謡の演奏をなんとか高めたいと思っています。20日(日)の前半は当初,翌21日(月・祝)の盛岡某高音楽部の定期演奏会の前日リハーサルのために日本民謡の全体練習ができないためパート練習としていましたが,その後前日リハーサルが夕方からということが判明したのですが全員参加のパート練習時間も必要と考え(私も行きますが)予定通りそのままパート練習にしようと思っています。次回の練習を経て,音の不安をなくし自信を持って日本民謡を歌えるようになってほしいと思います。

2025年7月12日土曜日

【合唱研第48回:活動報告】耳を育てよう

 7月12日(土)の午前中(9:30-12:00),奥州市の水沢教会で48回目となる合唱音楽研究会奥州の活動を行いました。土曜日の午前中のせいか,アンサンブル・コンフオーコの演奏会後一息ついているのか,参加者は少なめの20名ほどでしたが,4パートが揃って歌うことができました。

 久しぶりに集まった感じがなぜかしたので,発声法についても基本的なこと,たとえば胸郭&横隔膜の動きや自然な吸気の作用など時間をかけて確かめました(アクシデントもありましたが皆様のお働きによって事なきを得ました。感謝いたします m(._.)m)。

 その後,持参した《MIssa brevis》の音源を聴きながら《Gloria》を歌ってみました。音下がりへの対策です。演奏中に音が下がらない演奏をたくさん聞いて慣らすことで調を保つ感覚,あるいは調がずれる感覚を身につけられるのではないかという考えです。良い物にたくさん触れればそれが「普通」になります。つまり「「普通」のレベル」が上がります。同様に良い音楽を聴き慣れれば音楽における「普通のレベル」が上がると思ったのです。

 実際にやってみると,音源を聞いた直後や音源に合わせて歌った直後は,音源がなくてもほとんど音下がり現象は起きません。でもしばらく自分達だけで歌っていると,音の取り方がルーズになって下がり始めます。ですから現時点での結論としては,月2回だけ頑張るだけでは身につかないので普段から何度も聞いて自分の耳を育てましょう,ということになりました。歌う(発声する)ということは筋肉運動ですから!

 次回は"Credo"に挑戦です。音だけでなく歌詞も身についていないので,普段から何度も取り組んで「普通」のことにしていきましょう。

 終わりに,7月6日(日)のアンサンブル・コンフオーコの演奏会をテーマに感想を交流しました。聴いた人,歌った人,双方の感想を聞くことができました。また7月2日の県高校合唱祭を聴いてくださった方もありましたので,感想をお聞きしました。こういうことも音楽や演奏への理解を深めることにつながると思っています。

【お詫び】次回の活動日を7月27日(日)とお知らせしていたのですが,1日早めて7月26日(土)に変更いたします。場所は水沢南地区センター,時間は(変則的ですが)13:20〜16:20とします。急な変更で申し訳ございません。たくさん練習し成果をもって集まれるといいですね。よろしくお願いします。

2025年7月6日日曜日

【演奏会・聴いてきました】アンサンブル・コンフオーコ:「まとめる」ってこと


 7月6日(日)の午後,奥州市のZホール・中ホールで女声合唱団アンサンブル・コンフオーコ「第15回コンサート」を聴いてきました。

◯プログラム
第1部 女声合唱曲集「六つの子供の歌」(中田喜直作曲)より
第2部 《木下牧子 アカペラ・コーラス・セレクション》より
 「サッカーによせて」「ブリンピースのうた」「棗のうた」「いっしょに」「さびしいカシの木」
第3部 小野寺日奈 ソプラノステージ(ピアノ 阿部美礼)
第4部 マリア讚歌 作品171(J. G. ラインベルガー作曲)
第5部 「さだまさし作品による混声合唱曲集」より(賛助出演 メンネルコール,ピアノ 永野留美子)
 「北の国から」「秋桜」「案山子」
第6部 会場のみなさんと一緒に 《夏の思い出》

 指揮は(第3部を除いて)すべて佐々木まり子先生です。この合唱団は「水沢で宗教曲も歌える本格的な合唱団をつくりたい」という故二木千賀子先生の想いに応えて盛岡市在住の佐々木まり子先生を指導者にお迎えして始まった合唱団と聞いています。2年に1度程度のペースで演奏会を開いてきていて,前回(第14回)のコンサートは2023年6月でした。このときも佐々木まり子先生の音楽作りにたくさん教えられたのですが,今回も多くの気づき・アイディア・学びがありました。

 特に「「まとめる」(まとまる)ってことはこういうことなんだ」と,音楽を聴きながら思いました。パート内からはみ出ることなく,みなさんの声が音楽的に同じ方向を向いている感じです。歳を重ねて肉体的な難しさが増してきた方々を,ちょうど良い点にまとめあげているのを聞かせていただき,これからの音楽作りに生かして行こうと思いました。特に8月からは6回の予定でこのアンサンブル・コンフオーコと胆江合唱祭に向けて取り組む予定が入っています。今回の良さを生かしていきたいと思いました。

 お客様も多く入りました。特に合唱音楽研究会奥州の方やZホールSP合唱団で顔を拝見する方,宮古木曜会合唱団の方も聞きにいらしていたことがとても嬉しく思いました。他の団体の演奏する良い音楽をたくさん聞いて,音楽を通して交流できればいいなと思っています。

2025年7月4日金曜日

【宮古木曜会合唱団】大切なことに丁寧に

 7月3日(木)の夜,宮古市の山口公民館で宮古木曜会合唱団の通常練習を行いました。今度久慈への転勤のため退団するテノールのIさんがみなさんへのご挨拶のために開始時刻前から会場に来ていました。

 前に来たのは1週間前の通常練習。この時は身体を使って表現しようとしていない様子に驚き,なんとかせねばと焦ったので,間を1週間しか空けずに次の練習に取り組めるというのはともてよい設定になりました。そこで「レガートな旋律で発声練習を生かしながら声の響きを整えたら,子守歌のドイツ語にチャレンジ」という練習プランで行ったのですが…。この日はVictoria作曲の"O magnum misterium"のそれも前半だけで時間切となってしまいました。

 この日やったことはまとめていうと「大切なことに丁寧に取り組む」ということ。合唱する上で大切にしなければならないことはたくさんありますが,合唱を音楽たらしめる大切なことをなおざりにしていくら音とりをしたり発音を吟味したりしてもだめなのだということを,(終わってみて)強く感じました。では「合唱を音楽たらしめる大切なこと」とは何だったかというと,まずは音質でした。どんな音でも良いからといって喉の狭い息の浅い声で(楽譜通りに誤なく)歌っていても,音楽にはなりません。身体から出てくる音,聴いていたくなるような音で音楽したいわけです。それから旋律のレガートさ。音符一つ一つに息を入れるような歌い方では音楽として生きてきません。さらに旋律をどう音楽的に聞かせるか。高い音はでかく低い音は聞こえないとか,音が平板に並んで続くとか,そうではなくて自分の旋律を歌う際に均質な音を保つように気をつけながらも音楽的な豊かさをどう表現するかといったことを考えて表現することが必要です。そういった「音楽する上で大切なこと」に向き合わないでいたら,いつまでたっても充実した音楽が生まれてこないように思ったのでした。そしてこのことはこれまで自分が先生方から教えられてきた「当たり前のこと」ことでもありました。手を抜いてきた自分を反省しました。

 団員のみなさんには次のようにお話しました。「徹底してやったのでみなさんお疲れになったことと思いますが,ここを超えて身に付けなければ,この先のレベルには行かれません。筋肉に覚えさせて習慣化したり鍛えたりしなければいけないので,日本語の歌を歌う時でも今日やったことは同じですから,意識して練習に取り組んでください」。次の練習に参加するのは,3回の通常練習を挟んだ(つまり3週間以上)後の7月27日(日)の強化練習です。意識の変化が続いていればいいなぁ…と思いました。

2025年7月2日水曜日

【岩手県高文連・岩手県高校合唱祭】本番終了!丁寧に充実した音楽ができました。多くの人の繋がりも!


 7月2日(水)奥州市のZホールで,【岩手県高文連・岩手県高校合唱祭】に定期演奏会を控えた盛岡某高音楽部を引き連れて参加してきました。以前お知らせしたように岩手県全域から合唱をやっている部が集まり,合同演奏なども含め計27の発表がありました。

 1年間で最初の発表の場となるこの時期のステージです。どの団体(学校)も工夫を凝らして発表していました。その工夫の中に,その団体の価値観が現れているように思いました。少人数ながら丁寧に音楽に取り組んでいるところ,声を大きく出すことを楽しんでいる(と思われる)ところ,楽しい振りを付けて見せるステージにしているところ,大人数で歌いまくっているところ…。

 一緒に行った知人曰く「盛岡の県民会館でやった昨年より,歌の力が落ちているところが多いんじゃない?」とのこと。なるほど,そう言われればそんな感じも否めませんでした。

 この先定期演奏会を7月半ばに控えています。今回を一つのステップとしてしっかりと振り返り,この後の活動や演奏にいかしていきたいと思います。また,合唱音楽研究会奥州の方々やZホールSP合唱団の方々が何人も聴きにきていたので,紹介して良かったなと思いました。聴かれた皆様,ぜひ感想をおきかせください。子どもたちにも伝えて今後の糧としたいと思います。

 加えて,多くの先生方と繋がることもできました。特にもここ数年つながりを持つチャンスがなかった水沢高校音楽部の先生が学ぶ意欲を示してくださったので,これからが楽しみになってきました。(乞うご期待!)

【出前講座①】真似が上手な「小学生」からどう引き出すか

  7月1日(火),午後には盛岡某高音楽部,夜にはMBKVの通常練習を控えた午前中に,遠野市の(昨年とは違う)某小学校で,昨年同様の「出前講座」の音楽授業をやってきました。3年生から6年生まで全部で30名ほどを相手に松長誠作詞・作曲の《きっと明日は晴れる》という曲を使っての歌唱の学習です。今回は音楽室でした。

 事前に「発声が悪くて高い音が歌えないのが課題」とNR校長先生から言われていたのですが,最初に一通り聴かせてもらい高い音もそれなりに工夫して歌えていたので,急遽方針を練り直しました。また全体に歌う意欲は高く,特に3年生は反応も良い感じでした。

 はじめ,山場となっている部分の旋律を使って,調をヘ長調からト長調に上げて伴奏しながらうたわせたのですが,自分の準備が悪く自在にピアノ伴奏をすることができませんでした。そこで諦めて「真似させ作戦」に移りました。私が児童の音域まで上げて歌うことで高い声の使い方を真似させてようとしたのです。真似が上手が「小学生」ですから,私の変な声に少しくすくすしましたが,すぐに(特に3年生が)真似してくれて,喉を開いたまま高音を出すことをクリアしていきました。身につくには時間がかかるので音域が低くなると元のように喉が狭くなってしまうのですが,それでも良い感じを掴んでくれたので,それでじゃんじゃん歌わせました。

 途中で,難しい歌詞の部分の意味を確認したり(意外に意味が難しいのです),フレーズごとに場面が違うことを歌詞の面から理解させ,音楽の変化にも気づかせたりしながら,何度も歌ってみました。

 授業の始めに「声を大きく出せるようになりたい」とか「良い声で歌えるようになりたい」といったことを子どもたちが課題に選んだので,終わってからその達成具合を尋ねると,ほとんどの児童が,自分や周りの声が良い方に変わったと感じていました。

 終了後に担当の先生と1コマ分の時間を使って指導について話し合いました。さまざまなことに悩んでいるようでしたので,「私ならこう考える」ということをいろいろと話してきました。秋に開かれる連合音楽会をなにか特別な姿を見せる場と思い込んでいるようでしたので,「音楽会だって学習の一つなのだから,どんな力(特に音楽的な力)を伸ばしたいのかというねらいを明確にして,そうすれば選曲のことも表情のことも学習の進め方のことも方針がつかめると思いますよ。」とお話してきました。また,特に伴奏法に興味をもってもらえました。時間がなかったので教えることまではできませんでしたが,コード伴奏の仕組みや機能和声,移調の仕方などについて紹介してきました。

 音楽を苦手と感じている小学校の教員は結構多く,その苦手意識がマイナスな考え方(「立派に声を出していれば間違いない。」「間違えないで歌えていればよい。」など)に繋がっていく場面を現職時代によく見ました。若い先生にはそういう風に捉えるのではなく,音楽の本質をもっとよく掴んでほしい,そのためのお手伝いができたらな,と思った時間でした。

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