2025年6月2日月曜日

 【日本声楽発声学会】よい学びの場!


 6月1日(日),上野にある東京藝術大学日本声楽発声学会第116回の例会が行われ,日帰りで参加しました。昨年1年間は都合があわず夏期研修会にも年2回行われる例会にも参加できなかったので,楽しみにして行きました。東京は暖かく過ごしやすい1日でした。

 研究発表は2本。一つ目は耳鼻咽喉科の先生による軟口蓋の高さの調節機構についての発表。軟口蓋が発話時にどのような位置にあってそのためにどの筋肉がどのように働いているのか,といった内容でした。調整機構の話は難しかったのですが,発話時つまり子音や母音を発する際に軟口蓋がさまざまに位置していることがわかり認識を新たにしました。二つ目は脳科学の田中昌司先生による,声楽家の脳科学実験(fMRI)データの再評価。演奏関する心的イメージをつくる「楔前部(けつぜんぶ)」と繋がっている部位は「環シルビウス溝言語領域」を取り囲む「環・環シルビウス溝言語領域」と見ることができるので,エピソード記憶や感情と関連して脳内演奏されていることがわかる,というもの。エピソード記憶や感情が豊かだと歌も豊かになる…そんな感じでした。

 学会の今後についての活発な意見交換が行われた総会を挟んで,午後の初めにはシンポジウムがありました。佐々木正利学会長をモデレーターとして,日本音楽にも造形の深い青山恵子さん(メゾソプラノ),ドイツ歌曲や日本歌曲でお馴染みの鮫島有美子さん(ソプラノ),藝大で長く教鞭を取られた三縄みどりさん(ソプラノ)というビッグな三氏が「日本歌曲の歌唱法,指導法,選曲や発声法等々について」と題して,濃厚な「おしゃべり」を展開しました。まず,青山さんが発する民謡や謡曲の際の声の例の多彩なこと!喉の形や音色等について,今取り組んでいる民踊の合唱へのヒントとなりました。発声法の選択に当たって「どういう曲なのか,日本的な要素や西洋的な要素がどのように配分されているか」を考えているとここと。また子音についての談義やドイツの舞台語発声について,日本語の1文字目の扱いや「ウ」の母音の扱いなど,多くのヒントをもらったと同時に,盛岡で佐々木正利先生の下で学んで来たことと同じだなぁと思いました。素晴らしい環境にいることを改めて感じました。

 最後は鮫島有美子先生による公開レッスンでした。4人のソプラノの方々の日本歌曲のご指導を見せていただきました。共通するのは,表現したいことをどれだけ具体的にもっているかということ。午前中の脳内ネットワークとも繋がる話でした。またお客様に表現したいという気持ちの強さや伴奏者とのコミュニケーションの取り方などもアドバイスがあり参考になりました。

 今後は8月25日(月)〜26日(火)に東京の新大久保にある日本福音ルーテル東京教会を会場とした「夏期研修会,歌の集い」,11月30日(日)に東京藝術大学(予定)での第117回例会が予定されています。可能な限り出かけて行って学びたいと思っています。

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