2025年12月1日月曜日

【日本声楽発声学会】第118回例会:最先端はものすごい!

 11月29日(土),東京の上野にある東京藝術大学音楽学部にて,日本発声声楽学会第117回例会に参加してきました。前回の第116回例会には参加したのですが,夏期研修会には残念ながら参加できませんでしたので半年振りの学びの機会となりました。

 今回の内容は次のようでした。
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A. 研究発表
1) 「日本近代音楽黎明期の日本歌曲研究 山田耕作の肉声の音響分析から声楽発声指導を検討する”からたちの花”」斉田晴仁・斉田正子
2) 「「頭の後を意識して声を出す」発声指導の効果について」森幹男・梅村憲子
B. 学会サロン
C. 特別講演(120分)
・講師:中橋健太郎左衛門
・演題:「日本オペラ界の未来について〜裾野を広げる為に〜」
D. 現役声楽家の演奏とお話(70分)
・講師:高橋薫子(ピアノ:服部容子)
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 研究発表では,いずれの発表でも機械を使って声を分析し,考察していました。斉田さんは残されていた山田耕作のレコードの歌声を分析したり山田耕作の解剖学的知識を前提にしながら,山田耕作がどのように身体を使っていたのかを考察し示していました。森さんは学生をモデルにして「頭の後へ息を回す」などの指導言の効果を音圧比から評価していました。ちなみに「シンガーズ・フォルマントが高まれば音が大きく聞こえるから音圧が上がる,つまり周波数特性が変わることで音圧が上がるのでは?」と初歩的な質問をしたところ,音については「物理量」と「心理量」とは別ものとして扱うので音圧が上がらなくても大きく聞こえることはある,ということを森先生に教えていただきました。

 特別講演では日本のオペラ界の現状をどのようにして改善していったらいいかについて,方向性をスポーツ界から学び,具体的な対策をご自身の実践から示してくださいました。「税金を払う側と税金をもらう側」などお金についても視野に入れていることや,稀少楽器は電子楽器でおき変えてもなんとかなること,歌手にとってオペラを上演することで役柄も含めて暗譜して演じることが重要であることなど,オペラを上演することの価値を再確認することができました。

 最後のソプラノ歌手高橋薫子(たかはしのぶこ)さんの歌は,日本語による歌曲もイタリア語もフランス語も,歌を聴いていて気持ちよくなる感じがしました。低音域と高音域では喉の使い方が変わっているようなのだけれど統一感のある輝かしい響き,そして自由に音と言葉を操る歌!とても刺激になりました。またピアノ伴奏をした服部容子さんも歌と一体となった音楽を表現していました。


 久しぶりに最先端の研究・演奏に触れてたくさん学ぶことができ,刺激されました。今後の活動に活かしていきたいと思っています。

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