2024年6月12日水曜日

【Bachfest-Leipzig 2024】ツアー4日目:たくさん学びました

  6月9日(日),本番というメインの取り組みを前日終えて,この日丸一日と翌日の午前中はフリータイムでした。旅行社のオプショナルツアーはドレスデンでのシンフォニーとオペラの鑑賞でしたが,せっかくのバッハフェストなのでライプツィヒでバッハに少しでも長く浸ろうと思いました。

 10:00頃にホテルを出て市内に行くと,ニコライ教会で礼拝をやっていたので入ってみました。

○演奏曲目
J. S. Bach: Es ist ein trotzig und verzagt Ding, BWV 176
J. S. Bach: Der Geist hilft unser Schwachheit auf, BWV 226
○演奏家
牧師:Bernhard Stief
独唱:Miriam Feuersinger (soprano), Elvira Bill (alto), Tobias Ay (bass)
オーケストラ:Leipziger Barockorchester
指揮とオルガン:Ingo Bredenbach (organ)

 これは「演奏会」ではなく「礼拝」のひとつです。牧師の説教やら様々なコラールやら会衆賛美(?)などといった礼拝の流れの中にカンタータ(BWV176)が組み込まれていて,バッハが作ったカンタータの本来の役割を改めて感じることができた体験でした。また,ドイツ語の持つ意味の重さというか深さというか…大切さも感じることができました。音楽以前に祈りがあるということです。

 音楽はとてもしっかりしていて,(前述のように)言葉を感じることができました。声は少し張りのある感じで,会場の響きをうまく捉えていると思いました。
 礼拝の最後には私の大好きな「Der Geist hilft unser Schwacheit auf」(BWV226)!二重合唱の作品です。コラパルテで演奏される器楽の旋律と合唱がとてもよく合って,そこに言葉が乗って届いてくる感じでした。私たちにはオーケストラと合わせる機会はあまりありませんが,自分のパートをなぞっている楽器とよく合わせていく(という当たり前の)ことが大きな効果を生むとあらためて思いました。それからこのモテットはライプツィヒ大学のパウリナー教会のための作品だったような…。「あそこの場所で…」といったリアリティを感じることもできました。

 13:00からは「Workshop mit Ton Koopman」に参加してみました。場所はバッハ博物館の「sommersaal」。テーマは「Jesu, meine Freude」(BWV227)とのことでしたから,ネットで日本から事前に申し込んだ後,Carus社の「Bach vocal」からスキャンして別冊の楽譜をつくり,久しぶりに復習して臨みました。しかし…参加者がもうめちゃくちゃで,まるで初見の人,大声で歌いまくる人,指揮を見ておらず指揮が止まっても歌い続ける人…盛岡では絶対にあり得ません。コープマンさんも「ここはこう歌って,ここはこう処理して」と指示して歌わせてみたら次に行く,という駆け足のワークショップ。とても疲れて,正直に言うと時間の無駄でした。残念…。

 15:00からはトーマス教会でのコラールカンタータの演奏会を聴きました。席は2階の北側,バッハオルガンの西隣で右手には聖歌隊席,正面にはバッハやメンデルスゾーンなどのステンドグラスが見える席でした。
○プログラム
J. S. Bach: Was frag ich nach der Welt, BWV 94
J. Harbison: Prelude Motet to BWV 101
J. S. Bach: Nimm von uns, Herr, du treuer Gott, BWV 101
J. S. Bach: Herr Jesu Christ, du höchstes Gut, BWV 113
E. Wallen: Prelude Motet to BWV 137
J. S. Bach: Lobe den Herren, den mächtigen König der Ehren, BWV 137
○演奏者
オルガニスト:Johannes Lang
ソリストと合唱・オーケストラ:Emmanuel Music Boston (USA)
指揮:Ryan Turner

 ソリストは合唱団内から代わる代わる出てきて歌っていました。合唱は「(ある意味)うまい」といった印象です。声を常に前の方に鳴らしている感じで,音程がよく聞こえるのでハモリもテンションもよくわかります。ですから所々に挟まれる現代作曲家のアカペラ曲も「きちんと」聴こえます。でも…聴いているうちに疲れてきます。単調なんですね。まるでコンクールに出てくる合唱団の演奏を聴いているみたいでした。
 その演奏が始まる前に前の席の方から「日本人の方ですか?」と声をかけられました。「歌いにきました」というと「盛岡の方ですか?」と。その方はアメリカの合唱団の方のようで(おそらく人種は日本人),「プログラムを見たら日本からも来ると言うので聴きたかったのだけれど,自分たちのリハーサルの時間と重なっていたので聴けなかったのです。」とのことでした。音楽祭に出演するってこういうことなのですね。

 終演後はホテルにもどりすぐに眠ってしまいました。気づくと時計は夜の9時,なのに空はまだ明るくまるで今時の日本なら午後4時くらいの感じでした。この日もたくさん学ぶことができました。

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