先週のことになりましたが,急遽思い立って能の鑑賞に出かけました。というのも,6月の日本音楽表現学会で文楽についてのレクチャーがあり,その際「日本の伝統文化について触れる機会が自分は少ないのだなぁ」と感じたこと,またかつて佐渡島に行った際に街中にたくさんの能舞台があって身近な環境なのに岩手では少々遠い存在だと感じていたこと,そして10年以上前に盛岡市の上田公民館で数回行われた能に親しむ講座に参加して少しは親しみがあったこと,などがありました。実は8月上旬に宮古木曜会合唱団の練習のために山口公民館に行った際に「宮古能」のチラシがあり,それを見たためにいきたくなったのでもありました。
詳細は画像として上げたチラシの面裏にありますが,大阪の山本能楽堂というところが能楽教会と一緒に主催したもので,開幕の際に山本さん(前シテ)とう方の説明つきでした。さらに公演中は「G・マーク」というアプリを使って各自のスマートフォンに字幕や解説が出るというサービス付きでした。「機内モード」にしていてもデータを受信できるってどういう技術なんだ?と悩みましたが…。
舞台はこんな感じ。能舞台全体がデフォルメされていてシンプルになってますが,能舞台であることはよくわかります。ちなみにこういう舞台の作り方,表現と解釈のお約束ごと,形式(スタイル)は,馴染んでいないとわからないものです。職場の行事で演劇を指導しようという同僚にはなかなか理解されないものです。(よりリアルさを求めるのはテレビや映画の世界の感覚からくるもののようです。)連吟「熊野」では九十代の方の朗々とした声が聞けました。毎舞台「小袖曽我」は2人の息の合った舞,狂言「清水」は楽しいものでした。メインの能「船弁慶」は結構長い時間でしたが解説もあり楽しめました。江戸時代までは能は鑑賞するというより「能は嗜むもの」と山本氏による最初の説明にありましたが,そんな時代があったなんて驚きです。(平泉の薪能はありますが)能という芸能が身近にないので,2,000円で十分に楽しめた公演でした。
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