2022年12月12日月曜日

The King's Singers, Japan Tour 2022, "Christmas Concert"

  12/22(日)に盛岡市のキャラホールで開催された,キングス・シンガーズのコンサートを聴いてきました。40年以上前にそのサウンド,エンターテインメントに出会ってから,いつの日か生で聴きステージを体験してみたいと思っていたのですが,ついに叶ったのでした!

 6人の声がまさに溶け合って一つの和音の塊となって響き,それが時間と共に(視覚で言えば色が変化するように)変化しながら音楽が展開していきます。聞かせたいパートの部分はきちんと区別して表現されるので,和音(ハーモニー)の中から浮き出てきます。音楽作りの際に目指してきたものではありますが,「それが実現するとこうなるのか!」と目の(耳の?)前に提示された気がしました。

 なぜこのようなアンサンブルが可能なのか考えました(プロの演奏家にとっては当たり前のことだばかりと思いますが)。①一人一人が全体を指揮者のようにわかっている!(和声の中の役割を理解して担っているように感じました。)②一人一人が全体を聴いている!(だから音量バランスも良い。)③息遣いが同じ!(同じ息の使い方で,同じように音楽を運び,歌い出しも終わりも目に見える身体的な合図がなくてもぴったりと合っていました。)④発声の方向性が同じ!(だから倍音の成分構成が似ていて,声が溶け合う。)といったことが,あの音楽を支えていると。

 プログラムは,ルネサンス期の曲をじっくりと聴かせてくれたり,クリスマスの定番曲を楽しくかつ驚異的な編曲で楽しませてくれたり,バラエティに富んだ,まさにキングス・シンガーズらしい期待通りのステージでした。出色は久石譲作曲の"I was there"。委嘱作品で,今回のツアーが世界初演とのこと。6声のキングス・シンガーズの特徴が十分に引き出され,そして聴き手自身が内面をえぐられる演奏でした。"I was there",たしかにそこに私自身がいたのだと…。

 キャラホール少年少女合唱団の共演も,音楽的にもすばらしいものでした。また,今回の日本ツアーが,仙台→東京(サントリーホール)→盛岡→川崎→広島→大阪(ザ・シンフォニーホール)→長野,と続くようで,「よくぞ岩手にきてくださった!」って感じです!盛岡市文化振興事業団さまさまです!

 一方で,岩手県内を考えると,盛岡地区と他の地区とのギャップが大きいことは残念です。広い岩手県では盛岡市まで聴きにくるために,チケット代と同額の交通費が必要な人々(そして往復で2時間以上も費やす)がたくさんいますから。当夜の会場に高校生や中学生もたくさん見えたことからも,将来にわたる文化的な差が地区によって生じるのだろうとも思いました。

 指定席(6列目を買いました)に座ったら,隣が大学時代の合唱仲間(そしてKong's Singersのメンバー!)ご夫婦で超驚きました。こんなこともあるのですね。クリエイティヴな気持ちになった夜でした。



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