2025年6月22日日曜日

【MBKV】超丁寧なご指導!

  6月22日(日)の午後,盛岡バッハ・カンタータ・フェライン(以下,略して「MBKV」)の強化練習がありました。毎週火曜日の夜に盛岡市舘坂にある舘坂橋教会で通常練習を行っているのですが,1ヶ月に1回,日曜日に強化練習を行います。今回は久しぶりに内丸教会が会場でした。ここは数年前まで通常練習の会場としてお借りしていた教会です。古いけれども大切に使われてきた歴史を感じる建物で響きも良く,エアコンなどないものの天井が高く風通しがよい(でもこの日は汗ダクでした)会場です。近くの県民会館で某合唱団の定期演奏会があったせいか(アルトの)参加者が少なく残念でした。

 「30分も発声練習の時間がとってあって,なにをやりましょう?」と思って発声練習を始めたのですが,15分ほどすると指揮者の佐々木正利先生の姿が見えたので発声練習は早めに切り上げました。先生がいらっしゃっているのですから,少しでも多くレッスンしていただきたいからです。

 しかし…先生は合唱団の代表の方との打ち合わせが必要とのことで,レッスン開始までの練習を任されました。この日取り組むのはH. Schuetz作曲の"Meine Seele erhebet den Herrn"の87小節からと予告されていたので,歌詞なしでどう音楽表現できるにチャレンジしながら先生が来られるのを待ちました。ちなみに以前お知らせした今シーズンの楽曲が一部変更(BWV10→BWV187)になっています。

 先生がいらしてから,始めに6月21日・22日と開催されている日本音楽表現学会の大会で先生が指揮されたドイツ語合唱("野ばら")の演奏についての振り返りをお話しなさいました。(詳しくは書けませんが)その評価にはまったく同感でした。先生は「でも私たちは他者を批判するとかではなく,自分たちがやるべきことをきちんとやってよりよい音楽を作って行きましょう。それがライプツィヒ(バッハ音楽祭事務局のマウルさん)やドレスデン(フレーミヒさん)からの評価を得るのですから。」とおっしゃっていました。

 そして始まったレッスンではとても丁寧にご指導いただきました。テキストのまとまり(文)ごと区切って,①歌詞なしで歌い歌詞の内容の表現に近づける,②歌詞の発音,③歌詞の楽曲に合わせたリズム読み,④歌詞唱,を繰り返しました。特にも②については懇切丁寧で,母音のわずかな違いも妥協せずに(「譲歩はするか…」とおっしゃってましたが)できるまで繰り返しました。また③では語尾をどう切るかについて3つに類型化して示されました。

 それにしてもこの日の先生は随所で「シュッツはすばらしいね!」とおっしゃっていました。ドイツ語の音や意味が活きるように付曲されていることが音にするとさらによく分かるから,とのことでした。そしてこれがバッハやヘンデルにつながっていくのですね。(G・トラシュブロス・ゲオルギアーデス著,木村 敏訳『音楽と言語』(講談社学術文庫1108, 講談社1993)を読むとその意味がよくわかります。ヨーロッパの合唱音楽に取り組む方はぜひご一読ください。)楽曲の素晴らしさが伝わる演奏は,自分が目指している演奏の一つですから,そのように感じられたことはとても嬉しく思いました。

 真摯に音楽に向かうこと,この基本をあらためて示された練習でした。

 なお,練習後のミーティングで以下の演奏会を宣伝しました。
・7月6日(日)Zホール:女声合唱団アンサンブル・コンフオーコ「第15回コンサート
・7月21日(月・祝)岩手県民会館中ホール:盛岡第三高等学校音楽部「第39回定期演奏会
・9月14日(日)Zホール:「合唱で綴る日本の・世界の民謡in奥州
(7月2日(水)Zホール:「第44回岩手県高校合唱祭」は宣伝しないでしまいました。)
 お時間のあるかたはぜひ足をお運びください。

2025年6月16日月曜日

【レコード・コンサート】さまざまな演奏のタイプがありました

 


 6月16日(月)の午後,盛岡バスセンターの3階にあるCafe Bar West38に「ジョニーのレコードを聴くかい!?」を聴きに行ってきました。盛岡は今年一番の暑さで30度もあったのですが,涼しい店内で熱い民謡を2時間たっぷり聴いてきました。

 ジョニーさん(照井さん)の今回のチョイスは「東北の民踊」。(冒頭に岩手を少しやって)青森,秋田,山形,宮城と代表的な民謡をそれぞれ3〜4つくらいの盤で聴き比べました。

 事前に前回この会で教えていただいた武田忠一郎に関する本,黒沢勉著『東北民謡の父 武田忠一郎伝 ー東西音楽の架橋ー』信山社1996を一通り読んでいたので,各盤における「民謡」の捉え方の違いを,とても興味深く聴くことができました。「民謡」の捉え方の違いは,歌にはもちろんですが伴奏楽器の編成や編曲などにも現れます

 発声的な観点からも驚くような声の使い方が随所にあり,それがその歌の「味」を出しているように感じました。民謡歌手のテクニックの素晴らしさに感心しました。さて,合唱ではどうすれば「日本の民謡らしくかつ合唱の良さを表現できるか」,新たな課題です!がんばります!

 終了後,デイリー山崎さんのピアノで,民謡に基づいた即興演奏を2曲(《花笠音頭》《会津磐梯山》)聴くことができました。これも多彩な表現で,味わい深い音楽でした。デイリー山崎さんの「ピアノ聴くかい!?」は月に1回ほぼ月曜日(7/14, 8/11, 9/8, 10/14(火), 11/10, 12/8)に開催しているようなので,時間を合わせて聴きにいってみたいと思いました。

 照井さん,山崎さんとお知り合いになることもでき,これから広がっていく音楽が楽しみになりました。

【合唱研第47回:活動報告】音楽に真摯に向き合うこと!

  6月15日(日)の午後,水沢南地区センターの音楽室で合唱音楽研究会奥州の47回目の活動に取り組みました。約30名が参加しました。

 発声では,一通り終えたところで「ソプラノの音域が十分でない」とのご指摘をいただき,ソプラノだけ高音域まで安定して響かせる発声練習を加えました。最近の(でもないか)課題は「音下がり」でしたので,音下がりへの対策のイメージももちつつ行いました。

 少しの間,前日に行われた県南部某合唱団の演奏会に出た人2名,聴いた人3名の感想を交流しました。他の人が音楽をどのように聴いてどのように評価しているかについては,普段はほとんどわかりません(だから,演奏会後にいっしょに飲んだりすると交流できて楽しいんですよね)。言葉にしてみることで自分とは違う聞き方や評価に出会えるのだと思い,これもまた合唱音楽の幅を広げることに繋がると思いました。

 ピアノ伴奏の八木絵未さんが早めに来てくださったので,《Look at the world》のア・カペラでのリフレインのフレーズから練習しました。歌詞なしではレガートに歌えるのですが,言葉がつくと音符歌い&音程まで悪くなる傾向は相変わらずでした。でも妥協せずパートごとに取り出してより良いと思う音楽の方向に進めるように取り組んでみました。その結果,ア・カペラの部分では音がほとんど下がらなくなっていき,合わせてそれ以外の所の音程の悪さにも気づき修正できるようになっていきました。続いて《For the beauty》でしたが,やはり「普通」に歌い出すと音程がアバウト過ぎ!しかしよい音程に戻るのもこの日は早かったです。耳や音高調節の精度が高まったのでしょう。学びの成果ですね。一方で気持ちが「正しく表現」することに向かうと,歌詞の中身が伝わってきません。「上手なことは良いことだし上手でありたいけれど,それがゴールではなくて,伝えたい思いが歌から伝わってくるってことを大切にしましょう」と基本の基本を確かめました。あらためて,音楽に真摯に向き合うことしかないということを思い知らされた感じがしました。

 最後の1時間は《Gloria》。歌詞の発音と意味を再確認し,音読して口馴れしてから歌詞をつけて歌ってみました。以前は一回で最後まで通ることはなかったのですが,今回はほほ通せるようになりました。音下がりもほとんどありませんでした(「ほぼ」とか「ほとんど」とか限定つきですが…)。

7月21日(月・祝)岩手県民会館中ホール:盛岡第三高等学校音楽部「第39回定期演奏会」を宣伝し忘れました(チラシ&ポスターはまだ…大丈夫か?)。

 次回は7月12日(土)の午前中(場所は未定…水沢教会か龍昇殿)です。パレストリーナは《Credo》を中心にルネサンス音楽の「様式」に近付けるように取り組みたいと思います。みなさん,ぜひいらしてください。

2025年6月11日水曜日

【岩手県高文連・岩手県高校合唱祭】お知らせ!! 7月2日Zホールで開催!!



 奥州市のZホールを会場に,岩手県高文連主催岩手県高校合唱祭が開催されます!
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日時:2025(令和7)年7月2日(水) 12:00開演(終演16:00頃)
入場料:無料!!
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 岩手県内の公立・私立高等学校が参加し,プログラムは全部で27個(合同演奏含む)あります。出場校を整理すると…
【盛岡とその近郊】盛岡北,盛岡白百合,紫波,盛岡大学附属,岩手女子,盛岡地区合同,盛岡スコーレ&盛岡市立,盛岡三(予定時刻は15:08〜),盛岡誠桜,南昌みらい,盛岡二,盛岡四,盛岡一
【県南部】一関地区合同,水沢,千厩,大東,一関修紅,黒沢尻北,花巻北&遠野,一関二,一関一
【県北部】福岡,
【沿岸部】釜石,久慈,宮古,沿岸地区合同
と,圧倒的に盛岡とその近郊が多いのです。県南部も多いけれどもそのほとんどは一関地区です。胆江地区はさびしくなりました。でも水沢高校は2名の重唱で出場(予定時刻は12:14〜)するようですからみなさん応援にいらしてください。またこのような催し物を奥州市で開催する機会を通して,奥州市の合唱が盛んになることを目指してもいるのだと思います

 前半はプログラム1から13。13:45頃から14:10まで休憩ののち後半となります。最後には講師の先生の講評もあります。今年は横地裕子先生と横山泉先生!演奏を聴いていただいてたくさん学びたいと思います。

 ポップスあり,日本の合唱曲あり,ルネサンス・ポリフォニーあり,ピアノ伴奏付きやア・カペラ,150名超の合同合唱…と(胆江合唱祭以上に)さまざまな合唱を聞くことができます。平日の午後ですがなんとかお時間をつくってぜひご来場の上お聞きいただき,感想をお聞かせいただけたらと思います。



2025年6月8日日曜日

【ZホールSP合唱団・13】やはり発声が課題…


 6月7日(土)と8日(日),急に気温が上がったこの週末にZホールの展示室にてスペシャル合唱団の練習が行われました。12月から初めた練習は13回目となりました。先日お知らせしたようにこの日は出来上がったチラシやポスターが配布されました。いよいよ「本番」というゴールというか目標が明確になってきた感じです!

 7日(土)にはZホール児童合唱団との合同練習もありました。日本民謡は《千福山》,イタリア民謡は《フニクリフニクラ》を合同で演奏します。これ以降数回,総練習時間の真ん中あたりの1時間を合同練習に設定してZホール児童合唱団との合同練習を進めて行く予定です。児童合唱団はこの日は10名弱の参加(在席は15名ほどとのこと)でした。児童合唱らしい伸びやかな声を届けてくれました。特に素晴らしいのは楽譜から目を離してじっと指揮者を見ながら歌っている子が多いことです。ですからそれまでの練習と違う,その時その時の音楽的な要求にも応えようとする素地ができていました。指導の菊池葉子先生(メゾソプラノの歌手としてもご活躍!)のご指導の賜物!今後さらなる成長が楽しみです。

 2日間を通して感じたのは,(前回も感じたのですが)やはり発声に課題があるということ。男声だけでなく女声もです。イタリア民謡を歌っている時は特に,出てくる音が全体に低め,声量が少ない,母音によって響きが大きく変わる…。だいぶ改善はしてきたのですが,このまま本番までというわけにはいかないレベルの問題。なんとか対策をとらなければと強く思いました。

 一方日本民謡の際の発声は…これは(これも?)私の課題です。というのも先日の日本声楽発声学会で話題になった日本のさまざまなジャンルの音楽の際の発声のありかたの話題以降,今回の日本民謡の合唱のテイストが定らないからです。ハーモニーをつくる声楽的な発声と,「民謡」という音楽のテイストや言葉のニュアンスと,どの辺で折り合いをつけるのかがなかなか定らないのです。先日のレコードコンサートのように,様々な演奏をたくさん聴いて学ぶことが必要だなと感じています。

 次回は6月28日(土)と29日(日)です。あと数回しかない練習,しっかりと準備して成果を積み重ねたいと思います。

2025年6月7日土曜日

【合唱研第46回:活動報告】様式感

  6月7日(土)の午前中,奥州市水沢の龍昇殿で46回目となる活動を行いました。前日からとても暑くなり天候が良くなったからかどうかわかりませんが,参加者は少なめでした(>_<)。

 パレストリーナの《Agnus Dei II》から取り組みました。母音による響きの乱れはだいぶなくなったのですが,ソプラノのカノンの旋律を全員でおさらいした後,パートごとに別れて歌い始めたら発声練習時の良い音がなくなり,喉が狭く息も上がってしまっています。そのせいで音高が低めになっていく傾向がいつもより酷い感じがしました。

 そこで(盛岡某高音楽部でやったみたいに)各パートが歌うフレーズの「山場」を考えてもらいました。まずは一人で,次はパートで考え合って,その後歌ってもらってそれを聴きあって確かめて,構想を修正していく,といった順です。言葉のアクセントはわかりやすいのですが,同じシラブルに多くの音がついている「メリスマ」ではどこを音楽的な山場にするか難しいところです。考えて歌ってもらいました。そうすると,音楽をどこに運ぶか,そのために息をどう使うかといったことが連動して音楽が前に進むようになりましたし,音高の下がりも少なくなりました。起こっている現象(音高の下がり)を指摘しその現象を修正するよう練習するのではなく,表現のより本質的な観点から見直して音楽を改善するよう取り組むことが,結果として起こっている現象を改善することになるんだなぁ…と改めて思いました。他の人の指導を見ていると気になってしまうようなことが,自分の場合は見えなくなってしまっていました。

 音楽的な「山場」を作りながら歌うことで,ルネサンス時代のポリフォニー音楽の面白さが音として明らかになってきました。「様式感」が掴めてきたというか…。これでさらに楽しむ道が開けてきたように思います。

 午後のZホールSP合唱団の練習時に事務局のOMさんと相談し,研究発表会の第2回を11月22日(土)の午後にZホール中ホールで行うことにしました。ゴールが決まったのでそこを目指して皆さんで頑張っていきましょう!

2025年6月5日木曜日

【ZホールSP合唱団】合唱・民謡 in 奥州 演奏会のお知らせ!!

  岩手県の奥州市文化会館・Zホールにて,「合唱で綴る日本の民謡・世界の民謡コンサート in 奥州」という(長い名前の)演奏会を開催します。チラシができたようなのでご案内いたします。)

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日時:2025(R07)年9月14日(日) 14:00開演
入場料:一般2000円,高校生以下1000円(当日は500円増)
プログラム:
 【第1部】日本の民謡《外山節》《酛摺り唄》《子もり唄(あずきまんまさ)》《千福山》《南部松坂節》《南部外山節》《大漁節》…千葉了道合唱曲集より,《南部牛追い歌》…江刺民謡保存会・佐藤文司(ゲスト),《ふるさとの》《初恋》…テノール・中鉢聡(客演)
 【第2部】イタリア民謡《夢見る想い》《スペインの女》《マンマ》《ナポリは恋人》《ヴォラーレ》《忘れな草》ほか
 【第3部】ロシア民謡《百万本のバラ》など


出演者:
 及川貢(第2,3部指揮),中鉢聡(テノール独唱),佐々木幹雄(第1部指揮),合唱団白樺,合唱団樫の木,ZホールSP合唱団,Zホール児童合唱団ほか
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 5年に1度,同ホールの周年記念行事として取り組んでいる本格的なオペラ公演の間をつなぐ形で毎年公募により組織されるZホールSP(スペシャル)合唱団は,毎回ほぼ百名が市内外から集います。「岩崎宏美・良美コンサート」(2023年)「福井敬ふるさとコンサートvol.3」(2024年)と歳を重ねるごとに表現力が高まっています。第1部は千葉了道氏の編曲による岩手にゆかりの民謡を演奏します。第2部は及川貢先生の指揮で同合唱団が歌います。
 第3部は関東で長く活躍している2つの合唱団が合同で及川貢先生の指揮で歌います。アコーディオン伴奏や舞踊も加わる予定です。

 女声合唱,男声合唱,混声合唱,ピアノ伴奏,アコーディオン伴奏,アカペラ,独唱,児童合唱…といったように日本の民謡そして世界の民謡をさまざまなスタイルでお届けする演奏会です。ぜひご来場の上,お楽しみください!

2025年6月2日月曜日

【レコード・コンサート】民謡漬け!タイムリー!

 6月3日(月)の13:00〜15:00,盛岡バスセンターの3階のCafe Bar West38という所に「ジョニーの「レコード聴くかい!?」」という催物に行って来ました。岩手日報紙のイベント欄に載っていて,「6月のテーマは岩手の民踊,東北の民踊」とあったので興味を引かれました。ジョニーとは開運橋ジョニーのことでマスターの照井さんが毎月第1・3月曜日の午後に開催しているレコード・コンサートです。鑑賞は無料で1ドリンクのオーダーが必要です。もちろんレコード鑑賞と関係なく喫茶コーナを使っている方も店内にはいらっしゃいました。

 楽曲や歌い手,レコードに関する照井さんの詳しい解説つきで,冒頭は《南部牛追歌》の聴き比べでした。伴奏の楽器や旋律,節回しや歌詞まで違う様々な《南部牛追歌》を聴き比べました。中には拍節感のあるものもあって,これがレコードとして発売され市中にでていたというのには驚きました。

 途中,石川啄木の短歌に曲をつけた有名な日本歌曲と合わせて,「短歌朗詠」スタイルの《啄木歌集》なる曲も聞くことができました。お琴だけの伴奏でまるで民謡のような節回しだったので「いつ頃のレコードですか?」と尋ねると1950年代レコードのSP盤と45ppmやLP盤との端境期のものだろうと教えていただけました。当時はまだそういうジャンルがあったのですね。9月14日の演奏会では,「日本の民謡」のステージに日本歌曲も入る予定でなんとなく違和感を感じていたのですが,1950年代をイメージすると納得できるかも!と思いました。

 おしまいは《外山節》の聴き比べ。これもまた様々あり(特に歌詞が様々)興味深く思いました。

 終了後,照井さんとお話しできました。興味深い選曲と解説で学びが多かったことや9月14日の演奏会のことなどお伝えできました。また,終了後には照井さんのお話にでて来た,東北民謡の父と称される武田忠一郎さんの書籍を探して(見つからなかったけれど帰宅後に「日本の古本屋」サイトで見つけて注文しました)肴町界隈を歩いてきました。次回は6月第3月曜日の16日,今度は東北の民踊がテーマだそうなので行って見ようと思っています。興味と時間のある方はどうぞ!

 【日本声楽発声学会】よい学びの場!


 6月1日(日),上野にある東京藝術大学日本声楽発声学会第116回の例会が行われ,日帰りで参加しました。昨年1年間は都合があわず夏期研修会にも年2回行われる例会にも参加できなかったので,楽しみにして行きました。東京は暖かく過ごしやすい1日でした。

 研究発表は2本。一つ目は耳鼻咽喉科の先生による軟口蓋の高さの調節機構についての発表。軟口蓋が発話時にどのような位置にあってそのためにどの筋肉がどのように働いているのか,といった内容でした。調整機構の話は難しかったのですが,発話時つまり子音や母音を発する際に軟口蓋がさまざまに位置していることがわかり認識を新たにしました。二つ目は脳科学の田中昌司先生による,声楽家の脳科学実験(fMRI)データの再評価。演奏関する心的イメージをつくる「楔前部(けつぜんぶ)」と繋がっている部位は「環シルビウス溝言語領域」を取り囲む「環・環シルビウス溝言語領域」と見ることができるので,エピソード記憶や感情と関連して脳内演奏されていることがわかる,というもの。エピソード記憶や感情が豊かだと歌も豊かになる…そんな感じでした。

 学会の今後についての活発な意見交換が行われた総会を挟んで,午後の初めにはシンポジウムがありました。佐々木正利学会長をモデレーターとして,日本音楽にも造形の深い青山恵子さん(メゾソプラノ),ドイツ歌曲や日本歌曲でお馴染みの鮫島有美子さん(ソプラノ),藝大で長く教鞭を取られた三縄みどりさん(ソプラノ)というビッグな三氏が「日本歌曲の歌唱法,指導法,選曲や発声法等々について」と題して,濃厚な「おしゃべり」を展開しました。まず,青山さんが発する民謡や謡曲の際の声の例の多彩なこと!喉の形や音色等について,今取り組んでいる民踊の合唱へのヒントとなりました。発声法の選択に当たって「どういう曲なのか,日本的な要素や西洋的な要素がどのように配分されているか」を考えているとここと。また子音についての談義やドイツの舞台語発声について,日本語の1文字目の扱いや「ウ」の母音の扱いなど,多くのヒントをもらったと同時に,盛岡で佐々木正利先生の下で学んで来たことと同じだなぁと思いました。素晴らしい環境にいることを改めて感じました。

 最後は鮫島有美子先生による公開レッスンでした。4人のソプラノの方々の日本歌曲のご指導を見せていただきました。共通するのは,表現したいことをどれだけ具体的にもっているかということ。午前中の脳内ネットワークとも繋がる話でした。またお客様に表現したいという気持ちの強さや伴奏者とのコミュニケーションの取り方などもアドバイスがあり参考になりました。

 今後は8月25日(月)〜26日(火)に東京の新大久保にある日本福音ルーテル東京教会を会場とした「夏期研修会,歌の集い」,11月30日(日)に東京藝術大学(予定)での第117回例会が予定されています。可能な限り出かけて行って学びたいと思っています。