2025年5月25日日曜日

【宮古木曜会合唱団】外国語で表現することの難しさ

  5月25日(日)の午後,宮古市にある磯鶏幼稚園のホールをお借りして,宮古木曜会合唱団の強化練習を行いました。スタート時点の参加者ソプラノ3,アルト5,テノール0,バス2と3パートでした…(^^;;。でも新しい方が2名来ていて,1名は数年前の宮古勤めの際に団員だったN君(大学合唱団の後輩です),もう1名は女性で合唱できる場所を探して見学に来ていた高校の英語の先生でした。

 発声練習では,ファルセットで低音域まで下がってくることや,ファルセットに胸声をを混ぜることをやってみました。

 初めはカタロニア地方の民謡《El noi de la male》。単純なハーモニーなのでさっと合わせてみようと思ったのですが,音程が悪くハモりません。発声面でも音高感覚の面でも課題のパートがあり,だいぶ時間をかけました。歌詞をつけてみることにしたのですが,単語の意味がわからず現時点では断念。「この情報化時代,次までに各自調べてみましょう」と宿題にしました。意味がわからないで歌うことには意味がないですから。

 次にビクトリアの《O manum misterium》。前回音で合わせたらとても良い感じでした。今回は言葉をつけるところまで行きたいと思ってスタートしました。残念なことに旋律を忘れていたり音が不安なために喉が固まってしまったりするパートがあり,まずは部分的ながら音取りのし直しが必要でした。その後歌詞をつけて歌ってみたのですが,(響きの良い会場だったせいか)比較的でこぼこせずに歌うことができました。

 最後にメンデルスゾーンの《Abschied vom Walde》。前回1番の歌詞の1行目の母音唱しかできなかったので,今回は言葉にして前に進めたいと思いました。1フレーズずつ,①発音と意味確認,②音読表現の試み,③楽譜に合わせたリズム読み,④各パートの音をつけて歌う,ということを1時間以上繰り返しました。でも,2番の終わりまでやって本日は時間切れ。3番は次回ということにしました。1,2番を覚えていることを期待しつつ!

 カタカナ読みで音符に合わせて声を出すならすぐにでき覚えることもできるでしょう。でもそれでは歌う意味がありません。歌い手は「自己満足」できるかもしれませんが聞き手には何も伝わりません。表現することは誰かに何かを伝える方法だと考えると,表現する側に伝えたい何かがなければ伝わるはずがありません。外国語で歌うことの難しさにともにチャレンジし,聞き手に何かが伝わる表現を目指していきましょう。

【盛岡某高音楽部】「セミナー・サポート」なるもの

  5月24日(土)岩手県民会館中ホールで「セミナー・サポート」なるものに参加してきました。岩手県高文祭合唱部門(?)の主催かと思います。セミナーのサポートですから,まぁ部活という同好の士を支える事業という設定かと思います。全国区で活躍している合唱の先生を呼び,1団体70分でレッスンを受ける,というもの。盛岡某高音楽部も13:30〜14:40の枠で参加しました。

 レッスンの課題曲は全日本合唱コンクールの課題曲と決まっていたのでパレストリーナの女声4部合唱《Sub tuum praesidium》(いわゆるF1)をもっていき,女声8名(と見学1名)で参加しました。

 主に指摘されレッスンしていただいた点は2つ,一つは音楽の流れを歌い手が作り共有する「音楽的生命力」,もう一つはラテン語ポリフォニーにおける「アクセントの表現」でした。

 「音楽的生命力」は私もとても気になっていた点でした。レッスンの工夫ポイントは①並びを変化させる,②足で(いずれは内的に)「タクトゥス」(拍)を取り(合わせたり従ったりするのではなく)共有し,その2拍子に乗る,といったことでした。指揮で引っ張っていくのではない自主的な音楽の推進力を生み出させる視点が足りなかったと思いました。

 「アクセントの表現」は,発音に関するいくつかのアイディアでした。①母音(特に「a」を明るく前に,②アクセントのあるシラブル&音符に向けて母音を前に出すようにする,③結果として各パートの「浮き沈み」が現れてくる,ということでした。

 なかなかうまくいかないと思っていた点について新しいアプローチ方法を学ぶことができ,良い機会となりました。部員にとってもいつも同じ人から同じことについて同じ言い方をされ続けるより,時々新鮮な切り口や異なった表現で(同じことを)伝えられるのは良いことでしょう。今後の様々な機会に試してみたいと思いました。

2025年5月18日日曜日

【ZホールSP合唱団・12】5月最終練習日:発声も課題

  午前中に合唱音楽研究会奥州の活動を行なった5月(17日はお休みしました)18日(日)の午後,奥州市のZホールSP合唱団の練習がありました。前回から新しい時間割となり及川貢先生と時間を半分にしてレッスンに臨んでいます(前半の私の時間,及川貢先生は合唱団の後方でずっと聴いていらっしゃるんです…(^^;)。

 日本民謡は混声の《外山節》で声を慣らし,女声合唱の2曲をざっとおさらいし,前回めちゃくちゃだった男声合唱の《酛摺歌》と進めました。《酛摺歌》は歌詞を理解してもらうために事前に会員向けLINEで歌詞とヒントを送っておいて,読んでもらっていました(見ていない人もいた!のでその場で時間をとりました…)。会話的な発声が時々顔を出して合唱からはみ出すので,良い状態を少しずつ広げていけるようにアドバイスしながら進めましたが,発声に関することはやはり時間がかかります。根気強く取り組むことでイタリア民謡にも(ひいてはその後のオペラにも)続いってほしいと思っています。

 イタリア民謡は及川貢先生のレッスン。最初の頃から比べれば見違えるほど歌えるようになりました。でもやはり発声が課題です。

 次回はもう6月,7日(土)と8日(日)です。Zホール児童合唱団との合同練習の時間も始まります。暗譜に向かって頑張りましょう!

【合唱研第45回:活動報告】オール「ア・カペラ」タイム!

  5月18日の午前中,合唱音楽研究会奥州の45回目となる活動を水沢南地区センターにて行いました。朝から奥州きらめきマラソンが開催されていて,江刺方面からいらっしゃった方は折居まで南下し迂回して来たとのこと。ご参加,ありがとうございました。

 前回はパレストリーナの《ミサ・ブレヴィス》の前半に戻って確かめましたが,今回は(「Credo」をとばして)後半の確かめにチャレンジしました。先日宮古木曜会合唱団の練習の際にやったように,発声練習時の良い音のまま歌ってみました。初めに「Benedictus」の後半ホモフォニーの「Osanna」から。前回「ホモフォニーは意外にいいかも」と思ったのでここから始めたのですが…けっこう苦戦しました。1時間ほとど格闘してある程度整い,その後3声部の「Benedictus」の前半,次に音域が広くない「Agnus dei I」,それから高音や跳躍音程が多い「Sanctus」と進めて行きました。終わり頃にはエネルギーが切れたか集中力が途絶えたか,向上的な変容が見られなくなったのですが,「お腹すいたからじゃない?」と自覚を促したらなんと改善!いい感じで終わることができました。

 この日はピアノ伴奏の八木絵美さんがお休みだったので,全時間を《ミサ・ブレヴィス》に費やしました。まだまだ苦手ではありますが,活動の全時間をア・カペラで歌い通せるようになったのは大きな成果と思います。

 今後の見通しについてもお話ししました。9月にはZホールSP合唱団の本番があり,10月に胆江合唱祭(ラター4曲と「ぜんぶ」を発表),その後11月から12月頃にZホール中ホールを借りて第2回の発表会を行う予定です。ゴールを決めると頑張れますね!

 次回は6月7日(土)の午前(9:30〜12:00)です。パレストリーナは「Agnus dei II」→「Gloria」→「Credo」の順かな,と思っています。お楽しみに!

【演奏会・聴いてきました】コールとちの葉:歴史と人のつながり

 


 5月17日(土)、宇都宮市民文化会館で「コールとちの葉65周年記念演奏会」を聴きました。指揮者の三浦紅子さんが大学時代の合唱団の先輩であること、アルトの栗原洋子さんが高校音楽部の後輩であること、そして宇都宮市近隣在住でお二人とお知り合いのH氏が熱心に間を繋いでくださったおかげで、出かけることができました(某合唱団はパート練習の時間を確保していただきました)。

 宇都宮は初めての街、強雨のなか2kmほど歩いて「オリオン通り」で昼食を摂り、さらに歩いて開演1時間ほど前に会場に着きましたら、もう長蛇の列!ファンの多さに驚きました。なお会場のホールは岩手県民会館に似た意匠。ロビーの椅子なども同じものを使っているようで見慣れた感じでした。

 発足から65年,その間5人の指導者の方々と音楽を楽しみ学んできた歴史を指揮者の三浦紅子さんがお話し紹介しながら当時の楽曲を演奏した第1部,現在伴奏やヴィオス・トレーナーで関わっている先生方による第2部,地元の男声合唱団を交えての混声合唱を集めた第3部と,歴史そして人のつながりを大切にしてきたことがよく伝わってきました。合唱曲には大学時代によく歌った懐かしい楽曲もいくつかありました。


 演奏はとても丁寧で,発声の方向性が(少々浅めな感じで)皆そろっているので,まとまりが感じられました。多くの方が暗譜で歌っていらっしゃいました。びっくり!

 終演後,指揮者の三浦紅子さん(と旦那様)とお話しすることができました。指揮者となって19年だそうで,地元の方々の信頼を得て音楽活動を続けていらっしゃること,素晴らしいと思いました。先輩方のこういった活動が刺激になります!

 なお宇都宮といえば…1日だけの滞在でしたがオリオン通りで餃子と焼きそばを体験してきました。またLIghtLineというトラムにも乗って来ました。初めての土地,(びしょ濡れでしたが)楽しく探検して来ました。

2025年5月15日木曜日

【宮古木曜会合唱団】新シーズン2回目…発声の意識の改善

  5月15日(木)の夜,宮古市の山口公民館で宮古木曜会合唱団の通常練習が行われました。第42回の定期演奏会を3月に終え4月から始まった新シーズン。私の担当練習の2回目でした。

 盛岡から宮古へ1時間半ほどかかりますが,その間,前回の定期演奏会の演奏のCDを聴きながら行きました。本番は悪くないのに録音されたものはどうも魅力がない。シビアですね。その原因を考えながら国道106線を運転して行きました。少し早めに宮古市に着いたので某店の駐車場で読書していました。コーネリウス・L・リード著,渡部東吾訳『ベル・カント唱法 その原理と実践』(音楽之友社1987年)です。OK先輩がよく引かれる書籍で,先日の仙台での演奏会練習の空き時間に古本屋みつけたので購入したのでした。

 練習開始時はソプラノ2名,アルト1名,バス1名のみ。せっかくの少人数(!)なので発声の意識を変えるべくわりと厳しく取り組みました。良くない癖のあった方も変な力が抜けたところで,ビクトリアの《O magnum misterium》のその発声時の「音」で歌ってみました。するととてもすっきりとしたハーモニーが出来上がりました。特に,ホモフォニックなところは溶け合って和音が聞こえてきました。ポリフォニックなところは苦手らしく(音程やリズムに意識がいってしまう分)ハモらなくなってしまうので,そういった部分を取り上げて整理しました。練習時間の3/4を過ぎてから歌詞をつけてみました。といっても「音質優先」の原則の下です。でもこれがまた難しい。母音や子音の構音のために口頭・咽頭周辺の形が変化し,音質が変わってしまうのです。次なる課題ですが次回にまわしてしまいました。

 次にメンデルスゾーンの《Abschied vom Walde》です。再び「音」で歌ってみるととてもよいハーモニーでした。ドイツ語をつけると崩れるのは予想されたので,「母音の発音で表現」することを課題にしてみました。単語の意味を想起し母音だけをつなぎながら表現するのです。これは難しい(特にこの部分はウムラウトが多用されている)のですが,何度も繰り返しやっているうちに言葉が少しずつ聞こえる(言葉が意味を表現しているように聞こえる)ようになったので,音楽に乗せてやってみることにしました。ここにもまたハードルがありました。でも繰り返すことで言葉のニュアンスが母音唱にも現れるようになってきました。で,本日はここまで。

 宮古木曜会合唱団は次の演奏会に向けてドイツ語の曲はもう1曲,シューマン作曲の《Zigeunerleben》にも取り組みたいそうです。前回演奏会で演奏した《O Musica》の二の舞にならないよう,徹底して(妥協しないで)取組み,乗り越えさせたいと思っています。(でも,次の私の練習は6月26日(木)と1ヶ月以上先なんだよね…。)共に頑張りましょう!

【盛岡バッハ・カンタータ・フェライン】新シーズンの始まり!

 5月13日(火)の夜,盛岡市の舘坂橋教会で盛岡バッハ・カンタータ・フェラインの通常練習がありました。4月29日の《ヨハネ受難曲第2稿》の演奏会を終えて最初の練習でした。

 2026年11月に予定している演奏会のプログラムは次です。
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【H. Schütz】
①"Meine Seele erhebt den Herrn" SWV 426
②"Ein Kind ist uns geboren" SWV 384
③"O süßer Jesu Christ, wer an dich recht gedenkt"BWV 427
【G. P. Telemann】
④"Meine Seele erhebt den Herrn"TVWV 9:18
【J. S. Bach】
⑤"Meine Seele erhebt den Herrn"BWV 10
⑥"Herz und Mund und Tat und Leben"BWV147
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 マリアのエリザベト訪問そしてイエスの降誕をテーマにしたプログラムですので,ドイツ語によるマグニフィカトが3曲(①④⑤)もありますが,同じ歌詞にそれぞれどんな音楽が付いているか,楽しみです。それから⑤は2024年6月にライプツィヒのバッハ・フェストで演奏してきたカンタータ(もう1年も前になったんだなぁ)です。日本でのお披露目がなかったので今回演奏することになりました。

 新しいスタートにあたって,指揮者の佐々木正利先生から様々なお話がありました。大学生とのレッスンのこと,シュミーダー番号のこと,東西ドイツのバッハ研究所のこと,ご自身が1970年代に東ドイツを訪れたときのこと,自筆譜のファクシミリのことなどなど。テレマンの作品番号については課題も示され,「考えることが大切」と強調されました。

 この日は有名なカンタータ147番(⑥)の第1曲の初練習でした。この曲はフェラインでは1994年7月に「第9回仙台バッハアカデミー」で演奏しましたソプラノ・ソリストはなんとカトリン・グラーフさん!)。一通り通したあと,ずっと歌詞なしで音楽を作りました。旋律の歌い方,ハーモニーの出来具合,発声の課題などやるべきことはたくさんあり,一つひとつに取り組み,始めのフレーズの部分までで時間切れとなりました(続きは次の強化練習(5/18(日)…でられないんだよねぇ,残念)。一つひとつの課題にきちんと向き合い乗り越えていくこと,あらためて大切にそして根気強く取り組みたいと思いました。

 ちなみにこの日は新練習ピアニストの滝沢善子さんがピアノを弾いてくださいました。また,今年度の技術系役員の紹介がありました(コンマス・コンミス陣は変わらず)。新しくパートリーダーになった方もいます。ピアノ伴奏アシスタントの役も新たに設けられました。新シーズンの始まり,気持ちも新たに頑張りたくさん学んでいきたいと思います。興味のある方,ぜひ見学そして入会お待ちしています!練習場所と時間はこちらのリンクにあります。

2025年5月11日日曜日

【ZホールSP合唱団・11】新時間割でチャレンジ

  5月10日(土)・11日(日)両日の午後,奥州市のZホールでZホールSP合唱団の練習に参加しました。5月から「前半は日本民謡(担当は私),後半はイタリア民謡(担当は及川貢先生)」という新時間割,これまでの時間からすると半分になる時間割での指導にチャレンジする日でした。

 10日(土)の前半は1ヶ月以上ぶりとなる日本民謡の練習でした。混声の《千福山》《子もり唄》《南部外山節》は思った以上にいい感じ。《大漁節》も基本的な感じは覚えていたようで,安心しました。
 後半は及川貢先生によるイタリア民謡の練習でした。「久しぶりでどうなるんだろう?」ととても不安でしたが,まずまず応えられたと思いました。
 11日(日)は前日より参加者が減っていました。前日に「いい感じ!」と褒めたのが原因かもと思い「今日は褒めないようにします!」と練習を始めました。前半は,声出しを兼ねて《千福山》に取り組み,その後女声合唱の《南部松坂節》。ここまで順調でしたが,男声2部合唱の《酛摺り歌》が見事にダメでした。歌詞が覚束ないためにフレーズもめちゃくちゃでした。とりあえず歌詞なしで歌ってフレーズを(少しでも)音楽的に歌えるようになることを目指すところまでやりました。前半最後は女声合唱の《外山節》。これは順調に進みました。「暗譜目指しましょう!」と伝えて終わりました。
 後半はイタリア民謡。及川貢先生の熱血指導で(招聘合唱団と合同演奏する)《フニクリフニクラ》《百万本のバラ》,その後男声合唱の《マンマ》,最後に女声合唱の3曲メドレーと練習しました。

 少ない男声陣はよく健闘していると思います。でもお客様に聴いていただく演奏となると,さらなるレベルアップは必要です。いかに効果的に高めていけるか,作戦を考えながら取り組んでいこうと思っています。次回は5月17日(土)・18日(日)です。がんばりましょう。

2025年5月10日土曜日

【合唱研第44回:活動報告】たくさんの曲の音を出しました。成果あり課題あり…

  5月10日の午前中(9:30〜12:00)に奥州市水沢の龍昇殿で第44回となる合唱音楽研究会奥州の活動を行いました。前回は大型連休前の4月27日(日)でパレストリーナのミサ曲を(1年以上かかって)一回り終わることができた回。そろそろ活動の成果をお披露目するする「第2回発表会」を想定しながらパレストリーナの《ミサ・ブレヴィス》の総復習をしようと思って,強い雨の降る中,会場に向かいました。

 参加者は30名程度,今回は(前回と違って)4パート揃っていました。初めに盛岡バッハ・カンタータ・フェライン《ヨハネ受難曲第2稿》演奏会の感想を聞かせていただきました。やはり字幕の効果は絶大のようでした。ソリストの歌唱力への驚きもありましたし,合唱の力についても「感動した」とか「心が揺さぶられた」という言葉も聞かれました。質問もありました。「対訳のコラールのところに〇〇作曲とありますが,バッハの作曲ではないのですか?」と。とても良い質問です!そこで,日本の讃美歌集にたくさんの曲もそれぞれに作曲者がいること(不明のものもありますが),ドイツのコラール集も同様で,しかも(四声体でなく)旋律のみが記されていること。つまり元となる旋律が「〇〇作曲」で,その旋律に和音をつけ(たり器楽パートをつけたりし)て受難曲に組み込んだのがバッハであるということなどを説明しました。

 さて,発声練習のあとはその柔らかい音で《ミサ・ブレヴィス》の《Kyrie》を歌いました。昨秋の胆江合唱祭以来でしたが良い響きで(音程もほとんど下がらず)歌えました。でも歌詞をつけたらやはり少々下がり気味…。続いて《Gloria》。これはまだ本番にかけたことはありませんでしたが,《Kyrie》同様にいい感じ!でも歌詞をつけるとやはり少々下がり気味…以前ほどではなくなっていますが。そして《Credo》。これは難しく,また歌い疲れてきたのか喉が力み始めて音程も悪くなり,歌詞をつけるところまで行けませんでした。次回は《Sanctus》以降がどのくらい歌えるかチャレンジし,その上で練習ポイントを重点化したいと思っています。一つ言えることはホモフォニックな部分はとても良い響きになっていることです。耳が慣れてきたでしょう。ちなみに,耳をもっと鍛える(というか音や息遣いに繊細になる)練習の方法を教えてくださった方もいらっしゃいました。学びの成果を出し合えるのはよいことだなと思いました。

 ラターの伴奏付きアンセムは久しぶりに4曲全てを音出ししました。これも思った以上に歌えていました。「口が回らないところは,月に2回だけの取り組みでは克服できないと思います。」とお伝えしました。発音も筋肉運動ですからそれなりの慣れや鍛えが必要です

 最後の《ぜんぶ》を歌いました。もう身体,特にお腹が使えなくなっていて音符歌い状態でした。2時間半歌い続けること,これもまた月に2回だけは足りないのかもしれません。活動を増やすか,各自で取り組むか…。本番を決めたらこの辺も確認して進めていきましょう。

 連休明けから発熱し寝込んだ3日間明けの音楽活動,なんとかスイッチが入りました。また頑張っていきましょう。

【追記】5/11 07:00
 この日,たくさんの演奏会の紹介がありました。一関市民合唱団定期演奏会6/14(土),これには数人が一般公募として出演するそうです。盛岡コメット混声合唱団の定期演奏会6/22(日),こちらにも数名が公募として出演します。またジャズピアニストの後藤匡徳(ごとうまさよし)さんが奥州市で行うライブ(5/30(金)19:00-於:江刺ミニヨン)です。後藤さんは会員の方の息子さんです。このように会の活動を通して音楽のお付き合いが広がり,それをきっかけにしてそれぞれの音楽性が広がり多様化していき,それをまた持ち寄って活動してくことができるようになれば,これはまた素晴らしいことと思います。それぞれ良い演奏会となりますようにご祈念申し上げます!

2025年5月2日金曜日

【演奏会・聴いてきました】日フィル in 岩手県民会館:作曲家の素晴らしさを再確認

 

 盛岡での《ヨハネ受難曲 第2稿》本番の翌日,4月30日(水)の夜にトーサイクラシックホール岩手(岩手県民会館)で「いわぎんPresents 岩手県文化振興事業団創立40周年記念事業 日本フィルハーモニー交響楽団特別演奏会」を聴いてきました。岩手県の文化振興事業団は1985(S60)年3月,私がまだ大学生だったあの頃の創立なのですね。歴史が浅く意外でした。


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指揮:沼尻竜典
チェロ:佐藤晴真
オーケストラ:日本フィルハーモニー交響楽団
【演奏曲目】
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
(アンコール:ソリスト佐藤晴真独奏によるバッハ/無伴奏チェロ組曲第1番よりサラバンド)
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92
(アンコール:モーツァルト《フィガロの結婚》序曲)
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 12列の20番の席で聴いたので,独奏チェロの音が真正面から聞こえて(そして見えて)きました。弦楽器が,Vn.1 st14, 2nd12, Vla.10, Vc.10, Cb.9 ととても厚く,全奏だと独奏チェロが聞こえなくなってしまったのが少々残念でした。一方アンコールのバッハは目の前で音楽が生まれてくる感じでした!

 ベートーヴェンの《交響曲第7番》は生で比較的多く聞く機会のある楽曲ですが,今回も「ベートーヴェンはやはりすごい!」と感じさせられました。しつこいほどのモチーフの受け渡しや呼応や展開。それを飽きさせずに聴かせる構想力。そして奏者を引き込む魅力…。

 アンコールの《フィガロの結婚》序曲は,次々と旋律が湧き出てきてドタバタ劇のワクワク感が高まり,これもまた「モーツァルトはやはりすごい!」と感じさせられました。

 演奏の良さが際立つのではなく,作品の素晴らしさが際立つ,さらには作者の音楽性が際立つ演奏のほうがいい演奏だと常日頃思っているのですが,この日はそういう演奏を聞くことができたように思いました。自分も少しでもう感じ取ってもらえる演奏をしたいものだと改めて感じました。

 次のオーケストラ公演の鑑賞予定は2つです。まずは8月23日(土)盛岡市民文化ホールでのN響盛岡公演。これは昨年ライプツィヒで参加した(残念だった)ワークショップの指導者トン・コープマンの指揮です。その翌週の8月27日(水)には昨年「さくらんぼコンサート」でステージに立った東京オペラシティでの「JOH HISAISI 祈りのうた2025」です。器楽からも音楽をたくさん学んでいきたいと思います。

2025年5月1日木曜日

【盛岡バッハ・カンタータ・フェライン】2本番終了・音楽をまとめる力


 先日ご案内していた《ヨハネ受難曲 第2稿》演奏会の2つの本番が終わりました。「2つ」というのは,ご案内していた盛岡公演の3日前に同プログラム,ほぼ同メンバーで仙台公演を行なっていたからです。

 4月13日(日) にはその仙台公演の会場で仙台宗教音楽合唱団とピアノによる合同練習をおこなったことは以前に少し触れましたが,仙台では4月26日(土)の本番に向けてその2日前からリハーサルが行われました。(アーバン号往復のカプセルホテル二泊三日の生活でした。)

 4月24日(木)は本番の会場で11:00からレチ,つまりレチタティーヴォとコンティヌオ(通奏低音)の合わせ,14:00から器楽の合わせ,18:30からテュッティ(合唱も含め全パートの合わせ)リハーサルでした。初日だったためか合唱も器楽もコンティヌオも音楽の方向がぼやけている感じで音が溢れている感じでした。

 25日(金)は(本番の会場が借りられず同じ建物の)交流ホールで午後に器楽の合わせ,夕方にテュッティでした。次第に音楽の方向性が定まり息遣いが揃ってくる感じがしました。

 26日(土)は11:00からG. P. (ゲネプロ),14:00開演のスケジュールでした。お客様はほぼ満席,うらやましい!盛岡や奥州からも聴きに来てくれていました。3日間の合わせで一つの方向にまとまっていく様子…というかまとめていく指揮者の佐々木正利先生のエネルギーと方法を実地で学び体感することができました!

 2日間間を開けて迎えた4月29日(火・祝)は盛岡市民文化ホール大ホールでの盛岡公演でした。8:30頃にはオルガンとチェンバロの搬入,山台組みに取り組み,10:00合唱団集合でG. P.,15:00開演でした。仙台公演を経験しているのは8割くらいではありましたが,やはり違った音楽になりました。(合唱や器楽で残念ながら事故が仙台公演より多かったように思います。私自身は集中力が途切れたというか初回ほどの緊張感を保てなかったというか…)。満席には遠かったけれども6割くらいのお客様の入りだったように思います。

 聞いていた知人ら曰く,合唱が飛び抜けてよかったとのこと。(字幕が出たのですが)字幕を見ながら聴いていると表現している感情が歌からとてもよく伝わってくる,ドイツの教会で聞いた演奏の響きを思い出す,合唱が群衆になったりコラールになったりする変化がすごい…。練習時には先生から「言葉が理解されなくても音で伝わるようでなければいけない。」と声楽の基本の基本を徹底的に指導されたので,嬉しく思いました。

 もう一つ嬉しかったことは聴きにきていた山響アマデウスコアの代表のOさんからレセプションの時に「一緒に聞いていた音楽評論家の方が『プログラムに載っている「鑑賞の手引き」の楽曲解説を書いてる人はどんな人?』と興味を持っていたよ。」と教えていただいたこと。「受難曲」「バッハ」「聖書」「バロック」「ドイツ語」…と高いハードルになりそうな要素満載の演奏会なので,初めて聴きにきた中高生に理解してもらえることを目安に「鑑賞の手引き」を(ほぼ毎回のフェラインの演奏会で)私が書いているので,演奏でない部分でも「いいな」と思ってもらえた要素があったとすれば嬉しいことです。(本文はまもなく盛岡バッハ・カンタータ・フェラインの公式ホームページの「あゆみ」のページに載せる予定です。ご覧ください。)

 当然のことですが,音楽に集中し一つ一つ解決しながら真摯に取り組むことが最も大切なことだと再確認した公演でした。今後盛岡バッハ ・カンタータ・フェラインはカンタータ2曲(BWV10,147)他シュッツやテレマンの楽曲を集めた演奏会を来年11月に,再来年6月には再びライプツィヒのバッハ音楽祭(リンクは2025年のもの)に出演する予定です。新シーズンも「音楽」にきちんと取り組んでいきたいと思います。皆さんもご一緒にいかがですか?